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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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16-3 代役

 

 その後、パーティが始まるまで時間があるので、戻ってきたショウはキラの部屋に来ていた。


「ちょっと予定外なことが起きたけど、計画どおりに会長の屋敷へ行けることになったから助かったよ。ありがとう」ミランドに声を掛けると彼女は無表情で『お礼なんていいです。あの鏡のせいで、私たちの生活が(おびや)かされてるんですから、いくらでも協力します』


「君たちの生活?」

『彼女たちがいなくなったら、私たちは存在していけません』

「君は鏡の精霊なんだろう? 直接自然と関係ないんだから、大丈夫なんじゃないのか?」

『自然界のバランスが崩れたら、影響がでます』


「バランス?」

『大地の気の力がバランスを崩すと、場所によっては力の強弱が出て歪みがでてしまうんです。そうなると気のエネルギーが分散して、正常な形を保つことができなくなってしまうんです』

 答えてソファに座るので「そうか。それは大事(おおごと)だな。動植物が正常に生育できなくなるってことだろう?」

 ショウも向かいに座ると『よくわかりますね』驚いた顔を向けるが、その顔はキラなので「頼むから、その顔で驚かないでくれ」


『どうしてですか?』

丁寧語(ていねいご)で話されるのも違和感ある」ショウは複雑な表情をすると「身振りから話し方までソックリだなんて、あんな短時間で引き継げることじゃないだろう?」

『ああ、鏡はなんでも写すんですよ。その人の性格とか(くせ)も』


「仕草もね」キラがクローゼットから出てくるので「なんだ。まだいたのか」

「外はまだ暗くなってないよ。それに、丁寧語で話さなくて悪かったね」

「逆だよ。俺に丁寧語で話さなくていいという意味だ」ミランドを見ると「よそよそしくて変に疑われてしまうだろう?」

『それもそうですね。気を付けま……気を付ける』


「でも、うまく行ったみたいだね」キラがミランドの隣に座ると「気持ち悪いからこっちに座れ」一人掛け用の椅子を指す。

「気持ち悪いってなんだよ」

「いいから」

 文句を言いながらも移動すると「ちょっと余計なことが入ったが、計画どおりに進んでるから、心配するな」


『明日、会長宅へ行けることになったけど、試験を受けないといけないの』ミランドが困った顔をするので「試験? なんの?」キラが聞き返すとミランドが先ほどの話をして『身が軽いかどうかを調べるらしいの。私では無理だわ』

「その時は代わるから大丈夫」


「でも、彼女はこの部屋のドレッサーについてる鏡の精霊なんだろう? この屋敷から出られないんじゃないのか?」

「彼女たちは場所には(しば)られないんだ。鏡というものの存在を維持するために、彼女たちは存在するんだよ」

「ヘェ、そうなのか」


『ドレッサーの付属で付いてる、この手鏡を持ってってもらえば大丈夫です』立ち上がるミランドがドレッサーの引き出しから手鏡を出すと『ぺアで作られたものです。これを持ってってください』

 差し出された鏡を受け取るキラが「変なことをお願いしてごめんなさい」申し訳なさそうに言うと『いえ。私でできることがあったら、何でも言ってください』

「ありがとう」


「で、これからどうするんだ? ここで入れ替わっても、どこであの鏡が出てくるかわからないぞ」

「今日はミランドに任せる。あとで例の鏡をいつ持って帰るか聞きだして。会長宅へ行くときは僕が行かないといけないから」


「そうだな。この後パーティがあるから、その時に(ほめ)めちぎって聞きだすよ」腕時計を見ると「そろそろセリーナが呼びにくる時間だ。あとの話はパーティが終わってからにしよう」

「じゃあミランド、よろしく」

『任せといて』

 キラがクローゼットの中に隠れると、セリーナがドアをノックする。


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