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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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14 一時避難

 

 ショウが廊下へ出ると玄関のほうからセリーナが歩いてくるので「すみません。ちょっと外へ出たいんですが、いいですか?」呼び止めて声を掛けると「構いませんが、お疲れになっていませんか?」


「こいつが船酔いしてたみたいで、それを隠してたらしいんですよ。なので、外の風に当たればよくなると思うので」


「まあ、ビー様、大丈夫ですか?」

「ちょっと頭がボーッとするだけですから」

「それはいけません。お部屋の支度が整ってますから、横になられたほうがよろしいのではありませんか?」

「そこまでひどくないので、少し風に当たって頭を冷やせば大丈夫です」


「そうですか? もしご気分がすぐれないようでしたら、お薬をご用意いたしますので、いつでもお申し付けください」

「ありがとうございます」

「それで、どこから出られますか?」ショウが聞くと「こちらから外に出られますので、ご案内いたします」セリーナが奥へ歩いていく。


 突き当りを右に曲がると左側に整えられた広い庭が見え、その庭沿いにガラス張りの廊下が続き、真ん中あたりにバルコニーが作られていて、バラの()かし模様が描かれているガラスが填め込まれたドアを開けると外に出る。


「ワァ、きれいな庭ですね」

「社長は花がお好きなので、どの季節でも花が咲いているようにされていらっしゃるんです。特にバルコニー周辺にはかなりこだわっていらっしゃるんですよ」


「さすが社長さん。腕のいい庭師を雇ってるんですね」

「会長が、お嬢様である社長のために、わざわざガーデニングで有名な国から連れてこられたんです」

「会長さんが」

「はい。のち程ご挨拶に参りますので、その時にご紹介いたします」


「今日、来られるんですか?」

「はい。社長を助けていただいたお礼を直接言わないのは失礼だと申しておりました」

「そんな。屋敷に招待していただけるだけで十分なのに」

「では、お飲み物をこちらへお運びいたしますので」一礼して屋敷へ入っていく。


「本当に見事な庭園だね」キラがバルコニーの端へいく。

「なに呑気なこと言ってんだよ」

「まあまあ、きれいな庭園なんだから、少し歩こうよ」バルコニーの端にある階段を下りていく。


 庭はブロック毎に区切られ、色鮮やかな花が咲いている。

「人間にも腕のいい庭師がいるんだ」一つずつゆっくり見ていく。


 あとから付いていくショウは、そんな悠長(ゆうちょう)な気分にはなれなかった。

 しばらくは花を愛でているキラに何も言わなかったが、いい加減しびれを切らし「おい、どうするんだよ」

「うん、何とかするよ」

「何かいい手があるのか?」

「今、考えてる」再び庭園を見ていく。


 そして、庭の真ん中にある噴水のところへ行くと後ろから走ってくる足音が聞こえてくるので、振り返ると、メイドが息を切らして走ってくるのが花の間から見えた。


「どうしたんだろう?」

 立ち止まり、彼女が来るのを待つと「お茶をお持ちしましたので、冷めない内にお召し上がりください」

「そのことを言うために、わざわざここまで走ってきたの?」

「はい」ハアハアと肩で息をしている。

「ありがとう。戻るときはゆっくり歩いて戻ってよ」

「はい。では失礼します」(きびす)を返して花の中に消えていく。


「例の鏡を部屋に持ってきたのは彼女だ」

「そうなんだ……鏡……」

「どうした? 何かいい案でも思い付いたのか?」

「そうか。その手があったんだ」


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