7-2 情報交換
キラは間を取ると「最初は一名だけ助けるのに多くの人員を割けないから、腕の立つメンバーをチョイスしたんだろうと思ってたんだけど、私が所属してるチームで数名、同じ指令を受けた人がいて、その中の一人が妙な噂を拾ってきたの」
「どんな噂なんだ?」
「PFS上層部の誰かが裏取引してる、という噂よ」
「誰と! どんな裏取引をしてるんだ!」また大声を出すので慌てて注意すると「やべえ」もう一度、周りの客に頭を下げる。
「やめましょう。こんな所で話題にする話じゃないわ」
「気を付けるよ。もう大声出さないから、続きを話してくれよ」
「他の人に聞かれたらヤバいでしょう?」
「音楽が掛かってるし、ザワついてるから聞こえないよ」
「あんたの大声が聞こえるでしょう」
「気を付けるって言ってんだろう。で、誰と、どんな裏取引をしてるって?」
「まったく」呆れると「決まってるでしょう? 彼らを欲しがってる金持ち連中よ」
「そんなバカな!」
「シッ! 声が大きいってば」
「マズッ!」慌てて口を押さえる。
「こういうのを、舌も乾かぬうちからって言うの、知ってる?」
「言った傍からって言うんだろう? それくらい知ってるよ」
「じゃあ、話は終わりってこともわかるわよね?」
「本当に気を付けるから、話してくれよ」
「何回言ったら守れるのかしら?」
「今度こそ守るから」
信じられないという顔をすると「今度こそ、絶対大声出さないよ。だから話してくれよ」食い下がるのでどうしようか考えるが「今度大声出したら、絶対話さないからね」
「わかった」
真剣な顔をするので仕方ないと諦めると「仲間内で伝わってきた話によると、同じ子を二度助けたという人がいるらしいの」
「それ、本当か?」今度は小声で聞く。
「本当よ。一人じゃなく、何人か同じ体験をしてるらしいわ」
「裏取引で、彼らを引き渡した相手のところへ救出メンバーを差し向け、連れ戻す。それを繰り返してるってことか?」
「そうよ」
「私服を肥やすために彼らを使ってるというのか? それじゃあ、何のためのPFSかわからないじゃないか。でも、これが本当だとしたら、あの事件は、この事が原因で起きてるのかもしれないな」深刻そうな顔をするので「あの事件て何?」聞き返すと「俺が請け負ってる事件だ」
「どんな事件なの?」
「このところ、PFS支局が何者かに襲撃されてるんだ」
「襲撃ですって!」
「シッ!」
今度はキラが口を押さえ、周りの客に頭を下げる。




