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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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12 上陸

 

 翌日のお昼過ぎ、晴天の中、パラダイス号は無法大陸最大の都市ペラノイオに着いた。

 港には数名の出迎えが待機していて、ケッドマン社長が降りていくと次々に声を掛けてくる。


「社長、ご無事でしたか!」

「おケガはありませんか?」

「お顔を見るまで心配で」


 あとから降りてきたショウが見え()いたお芝居を見て「どこに行ってもこの光景は見るな」呆れた顔をすると「いい大人がみっともないね」キラが情けないとため息を吐く。


 ケッドマン社長もその事は心得ているのか途中で(さえぎ)り、キラたちのほうを向いて「あのお二人が助けてくださいましたのよ」と紹介すると取り巻き連中が駆け寄ってきて「あなた方にはなんとお礼を言ったらよいか。社長を救っていただいてありがとうございます!」


「本当に、なんと温情に(あふ)れた方々でしょう!」

「あなた方のような素晴らしい方々がいるなんて、世の中、捨てたものではありませんな」


 入れ代わり立ち代わり握手を求めてくるので「いえ、当然のことですから」キラが戸惑っているとケッドマン社長が来て「わたくしは社へ戻って報告しなければいけませんので、代わりにこの者がご案内いたします」後ろに控えている運転手を紹介し「セリーナ。お二人についていて差し上げて」


「承知いたしました。では、こちらへどうぞ」彼女が向く先に黒塗りの大型車が停まっていて、後部座席に乗り込むと、社長や取り巻きたちに見送られて港をあとにする。


 その後、車が街中に入ると「結構大きな都市なんですね」窓の外を見るキラ。


 きれいに整備された道路に高層ビルが立ち並ぶ街。

 有名な大都市と比べて、引けを取らないくらい活気に(あふ)れている。


「先ほどはお見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ございません」セリーナが謝罪してくるので「社長さんが皆さんから(した)われていらっしゃるのがわかります。素晴らしい方ですから」キラが返事をすると「ええ。社長はとても素晴らしい方です。先代が築かれた会社をさらに大きくされていますから」


「優しい雰囲気の方だからおっとりされているのかと思ったんですが、経営手腕があるんですね」

「お父様である会長の秘書をされていらっしゃったときから、手腕を発揮されていらっしゃいました」


 お姉さま方からの裏情報、その二。

 秘書のセリーナは大企業の社長秘書の地位が自慢で、(おだ)てると極秘情報を話してくれる。


「では、優秀な社長の秘書をされているセリーナさんも、手腕を発揮されていらっしゃるんですね」早速ショウが持ち上げに掛かると「いいえ、わたくしはまだまだ社長の足元にも及びません」と謙遜(けんそん)する。

「でも、社長はセリーナさんを頼りにされていらっしゃるから、優秀な方なんだと思いましたよ」

「まあ! そんなに(ほめ)めていただいて、嬉しいです!」かなりご機嫌になる。


「そういえば、社長のお屋敷にお招きいただけるとのことですが、さぞかし立派な邸宅なんでしょうね」

「もちろんでございます。有名デザイナーがデザインしたこともあって、建築雑誌の表紙を飾ったことがあるくらいです」


 この後、ショウとキラはセリーナを(おだ)てつつ、欲しい情報を聞き出していった。


 社長と会長は広大な土地の中に建つ別々の屋敷に住んでいること。

 社長は結婚して子供が二人いるが、一流校の寄宿舎に入っているので屋敷にいないこと。

 社長は一人娘のため、会長がよく社長宅へ顔を出すこと。

 

 会長宅には秘密の地下室があり、入り口には特殊な鍵が掛かっているため、数名の側近しか行くことができないこと。

 会長が大事にしている大きな鏡がリビングに飾ってあること。

 会社関係や側近に見えない、年齢もバラバラな数名の男が出入りしていることなど。


 しばらく行くと、この街の象徴の一つであるランドマークタワーが見えてきた。


「ここも世界で指折りの大都市ですね」ショウが窓の外を見ると「ここは世界の中心ですわ」満足げに言葉を返すセリーナ。


(確かに、ここは裏世界の中心だ。しかも、裏世界を牛耳るだけでは物足りなくて、表の世界まで支配しようとしはじめてる)


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