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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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10-3 探りを入れる

 

「でも、地震が起きなかったらわかりませんでしたわ」あまりにもショックを受けているキラに理由を話す。


「エントランスにあるカウンターの下に(もぐ)ったとき、ササドさんとショウさんが、わたくしたちとあなたがガラスの破片でケガをしないように、奥へ押し込んでくださいましたでしょう? その時、ああ、この方は女性なんだと思いましたの」

「あの時ですか?」


「非常時には、本当の姿を知っている場合、とっさに出てしまいますでしょう?」

「僕を(かば)ったことがですか?」

「それもそうですけど、あなたを(かば)うショウさんの表情がそう言ってましたわ」

「俺ですか!」


「いくら変声器を付けてまで男のフリをなさっていても、女性は女性。危険が降りかかれば、本当の姿を知っている人は、どうしても女性として見てしまいますわ。とっさに出る表情は隠せませんものね」


「はあ、そんなものですか」と言いつつ(確かに、あの時はケガをさせられないと思って行動してた)思い出すショウ。


「でも、あの非常事態のときに、よく冷静でいられましたね?」キラが感心すると「冷静ではありませんでしたわ。でも、あれだけのガラスの破片を背に受けて、大丈夫かしらと思ってお二人のお顔を見たとき、そう感じましたの」


「……そうですか」さすが大会社の社長の地位にいる人だと、納得するショウ。

「僕が変声器を使ってることまで見通されてるなんて」甘く見ていたと反省するキラ。

「男装するには必ず必要なものですもの」またニッコリ笑う社長。

「……ええ」

「心配なさらないで。女性だからといって、追い返したりしませんわ」

「……はあ」


「男のフリをなさるのは大変でしたでしょう?」

「いえ、だいぶ慣れました。女を忘れるくらいに」ヘヘッと笑うと「まあ、それはいけませんわ。女性としてのオシャレを忘れることになるんですよ」

「でも、兄を見付けるためには、オシャレなんかしてられないので」


「そこまでお兄様のために覚悟を決めていらっしゃるなんて。あなたのお兄様を見付けるお手伝いをさせていただきますわ」


「いえ、そこまでしていただくなんて。ペラノイオまで乗せていただくだけで十分です」

「何をおっしゃるの。土地のことは土地の者に聞くほうが、手間が(はぶ)けますでしょう?」

「でも……」

「もう、男性のフリをなさる必要はないのですよ」


 その後、ケッドマン社長は秘書のセリーナに呼ばれて、船内へ戻っていった。


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