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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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8 出港

  

 翌日の午前十時。

 キラたちは赤ら顔の社長とササドと一緒に社長専用車で港へいき、船着き場に着くと、一際(ひときわ)目立つコバルトブルーの船の前でケッドマン社長と秘書が二人を迎えてくれた。


「ようこそ。お待ちしてましたわ」

「お招きいただいて光栄です」答えるショウとキラは、会社が用意してくれた例のスーツを着ている。


(男物のスーツを着るとは思わなかった)内心複雑な思いをしつつ笑顔を作る。


「お世話になりました」向き直って赤ら顔の社長とササドに挨拶すると「帰りを待ってるよ」と社長。

「気を付けてな」とササド。

「では」

 手を振る二人に応えながら、パラダイス号と書かれた船に乗りこむ。


 船内に入ると、やはり桁違いの金持ちとわかる豪華さ。

「すげえな」呆気に取られるショウ。

「すごすぎ」三百六十度見回すキラ。


 二人は階段を上がって二階へ連れていかれると「あなた方のお部屋はここよ」社長自ら部屋へ案内する。

 その部屋は、中央に螺旋階段(らせんかいだん)が設置されていて、豪華な装飾が(ほどこ)されていた。


「この部屋を使っていいんですか!」目を丸くするキラに「もちろんですわ。あなた方はわたくしたちの命の恩人ですもの、遠慮なさらないで」今度は部屋の中を案内してくれる。


 一階は二十畳はあるだろうと思われるリビングルームになっていて二階には二部屋あり、バスルーム、トイレなどがそれぞれ備え付けてある。


「まるで一流ホテルのスイートルームみたいですね」目を輝かせるキラに「気に入っていただけたかしら?」

「もちろんです!」


 そのあと一階へ戻ると「何か必要なものがありましたら、遠慮なく(おっしゃ)ってくださいね」

「はい。ありがとうございます」

「着くまでゆっくりなさってて」

「はい」

「では、のち程」社長は笑顔で部屋から出ていく。


 社長たちを見送るとキラが(かばん)から小さな機器を取り出すので「それは何だ?」

「シッ!」機器のスイッチを入れる。


 ピピピピピピッ、


「大丈夫だな」

「何してんだよ」

「この部屋に盗聴器類が仕掛けられてないか調べたんだよ」

「そんなもの仕掛けてどうすんだよ。俺たちは招待されたんだぞ。その俺たちから何を聞きだすっていうんだ?」


「念のためだよ。油断は禁物だろう?」

「そりゃそうだけど」

「隠しカメラもないようだし」

「細かいな」

「どんな時でも、チェックは(おこた)らない」


「そんなものを持ってながら、なんで俺が付けた盗聴器類を見付けられなかったんだ?」と聞くとキラの動きが止まるので「なるほど、あの後に(そろ)えたのか」

「フン!」機器のスイッチを切って(かばん)にしまう。


「そろそろ出港の時間だ。デッキに出てみないか?」腕時計を見るショウがデッキに繋がる窓を開ける。


 螺旋階段(らせんかいだん)の正面にある窓からデッキへ出ると、太陽がまぶしくて目を細める。


「今日もいい天気だね」手をかざして太陽の光を(さえぎ)ると「地震の後遺症はないみたいだな」前方で荷物の積み込みをしている大型船を見る。


 その時、エンジン音が聞こえてきて、パラダイス号が動きはじめた。

 ペラノイオへは翌日着く。

 パラダイス号は堤防(ていぼう)を抜けて外海へ出ていく。


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