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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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5 意外な出会い


 それからほどなくすると、ササドに案内された赤ら顔の社長が、大きな体を揺らしながら医務室へ入ってきた。

 あの社長も、ここではきちんとスーツを着ている。


「ケッドマン社長、おケガはありませんか?」汗を拭きながら声を掛けると「ええ、わたくしたちは大丈夫ですわ。こちらの方々に助けていただきましたから」


 隣にいるショウたちを見るので「そうですか。おケガがなくてよかったです」ホッとすると「ケガ人の手当てを手伝っていただいてありがとうございます。あとは他の者がやりますので」


「でも」

「ここまでしていただいただけで十分です。さあ」

「あとは僕たちが引き受けますから」キラが声を掛けると「そうですか?」

「はい。ありがとうございました」

「途中で抜けてしまってごめんなさい」

「大丈夫です」


「さあ、こちらへ」ササドが(うなが)すとケッドマン社長はキラたちを見て「あなた方はここの社員の方ですか?」と聞いてくる。


「僕たちは臨時のアルバイトです」キラが答えると「そうですか。助けてくださってありがとうございました。お礼が遅れてごめんなさい。あなた方が来てくださらなかったら、落ちてきたガラスに当たって大ケガをしてましたわ」


「いえ、お礼なんて」

「では、お先に失礼しますね」ケッドマン社長は一礼すると、ササドたちと一緒に医務室から出ていく。



 数時間後、ケガ人の手当てが終わると社内の掃除もほぼ終わっていて「腹減った。今何時?」ショウに聞くと、ため息を吐いて「午後二時過ぎだ」腕時計で確認する。

「お腹空いたよ。何か食べにいこう」


 医務室内を片付けてレストランのような食堂へ向かう途中「開いてるかな?」キラが心配そうに(つぶや)くと「さあ、どうだろうな。開いてなかったら売店のパンだな」

「開いててよ」


 祈りが通じたのかどうかわからないが、食堂は開いていた。


「開いてる! よかった!」

「今は麺類しかできませんので」受付で対応しているスーツ姿のウエイターが声を掛けてくるので「食べられるなら何でもいい」と言うと「では、右奥の列にお並びください」


 二人は指定された列に並び、キラは肉が入っていないキノコソースを、ショウは鶏肉と野菜が入ったチリトマトソースのスパゲティを取ると、空いている席に並んで座る。


「ここはあまり被害がなかったんだね」食堂の中を確認すると「窓ガラスは割れてるが、電気は来てるようだな」ショウが厨房(ちゅうぼう)の中を見る。


「ガスも使ってるみたいだよ」

「人が少ないところを見ると、さっきまで閉めてたようだな」

「点検が済むまで閉めてたんだろうね」

「では、いただきます」フォークを取ると食べはじめる。


 三十分後「ああ、おいしかった」食べ終わってブランド物のおいしい紅茶を飲むと「それにしても、さっきは驚いたね」一息つくキラが小声で話し掛ける。

「驚きすぎて、大声を出すところだったぞ」ショウも紅茶を飲んで、興奮を落ち着かせる。


 二人の最初の目的は、オーラスコーポレーション会長なのだ。


「行先が違う船に乗せられてどうしたもんかと思ったが、メチャクチャラッキーじゃねえか」

「こんなところで最初のターゲットに会えるなんて、すごすぎ。うまくいけば、目的の会長の屋敷に行けるかもしれないよ」

「そうなると、さい先いいな」ショウがニッと笑うと「日頃の行いがいいからね」キラもニッと笑う。


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