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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第四章 無法大陸
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1-2 潜入開始 面接

 

「でかい船」見上げるキラ。

 夕日をバックに黒いシルエットが海に浮かぶ。


「もう少しまともな声にしろよ。顔と合ってねえぞ」無精髭(ぶしょうひげ)に聞こえないように小声で言うと「今更変えられないよ」ムッとして言い返す。

「風邪引いてたとか言って誤魔化せばいいだろう」

「わかったよ。変えればいいんだろう」


 船内に入ると寝泊りする部屋に案内された。


「お前たちのベッドはこことここだ」

 二十人分のベッドが両脇にズラッと並び、指定されたベッドはドアの近くだった。

「枕側に荷物が入れられるように棚がある」と言われ、二人が荷物を入れると、今度は船内を見て周った。


 キッチンに入るとごつい男たちが器用に包丁を操って、野菜の皮をむいている。

「食事は当番制だ。一週間交代で回ってくる。お前たちは明日からの当番だ。新人はやることがたくさんあるから、肝に(めい)じとけ」

「覚悟してるよ」キラが答えると「それはいい心掛けだ」


 その後、甲板に出た。


「やけに海鳥が騒いでるな。こんな時間に飛び回るなんて、どうなってんだ?」無精髭は空を見上げると「そろそろ住処に戻らないと、帰れなくなるぞ」


 ショウも初めて見る光景に、少し気味悪さを感じた。


「明日の出向は延期したほうがいいよ」声を掛けるキラ。「明日、大きな地震がくる。今の内に、外に出てる荷物を倉庫へ運んどいたほうがいいよ。岸が崩れたら荷物がパアになるからね」


「なんでそんな事がわかんだよ。デマかせ言ってんじゃねえだろうな」無精髭が声を荒げるので「あれを見なよ。空を割るように雲が南北に細長く伸びてる。あれは地震雲だ。海鳥が騒ぐのは予兆を感じてるからだよ。信じないのなら、船の中のネズミを探してみるんだね。きっと一匹も見付からないよ」


「……ここで待ってろ」そう言い残すと無精髭が船内へ入っていく。

「キラ、本当に地震がくるのか?」


「ここではビーだよ。どこに人の耳があるかわからないんだから、気を付けろよ」

「そんなこと予告なしにいきなり言われても、すぐに対応できるかよ」

「呼びづらかったら、オイでもお前でも、呼びやすいように言えばいいだろう。下手に言って正体バレたら、作戦が失敗するじゃないか」


「わかったよ。で、なんで地震がくるとわかるんだ?」

「地震のことは海鳥たちが教えてくれた。それに、空の色が気になる」

「鳥とも話せるのか?」

「仲間だからね」


「仲間ね……で、何時頃にくるかわかるか?」

「マラ ルクスに聞けばわかるだろうけど、もうここにはいないだろうね。とっくにほかの海に行ってるはずだよ」

「マラ ルクスって?」

マラ ルクス(うみのひかり)とは海の精霊のことだよ」


 そこへ無精髭が戻ってきて「お前の言うとおりだ。ネズミ一匹いねえ」

「どの船にもいないはずだよ」

「絶対に明日、地震がくるんだろうな?」胡散臭(うさんくさ)そうな顔をするので「何にでも誓うよ」と言うと「わかった。俺はこの事をボスに報告してくるから、お前たちは戻ってくるまでここにいろ」


「船内には入っていいんだろう?」キラが後ろ姿に声を掛けると振り返り「ああ」と答えて船内に消えていくので「ラウンジみたいなところがあったね。そこへ行こう」ショウを(うなが)して二人も船内に入る。


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