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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第一章 保護活動
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6 ダークルーラ

 

 秋も深まってきた晴れた日、山奥の村で、冬支度のために山へ狩りに出ていた猟師(りょうし)が、偶然、土に()もれた鏡を見付けた。


 その場所は、村の者でさえあまり足を()み入れない奥地だったので不思議に思い、掘りだしてみると、見事な彫刻が(ほどこ)された(ふち)がついている豪華な鏡だった。


 猟師は価値あるものに違いないと思い、その鏡を家に持ち帰り、友人と一緒に帰郷していた大学生の息子に見せると、二人は鏡を丹念(たんねん)に調べ、歴史的価値があるものかもしれないと、通っている大学の考古学研究室へ持ち込んだ。


 その結果、この鏡はどの文明にも属さない異種のものと判明し、その研究室では早速チームが組まれ、鏡が見付かった場所の調査が始まった。


 ところが、周辺を掘り起こしていくと、同じような模様が掘りこまれた縁を持つ鏡が五百枚近くも出土したである。


 掘り起こされた鏡は発掘された土地の名前ルーラを取り、ルーラ文明と名づけられた。


 復元された発掘品は大学がある街の博物館で展示されることになり、初日には大勢の人が招かれて、盛大にオープニングパーティが催された。


 鏡しか発掘されなかった異種文明だからこそ、人々の関心を引いたのは当然のことである。


 事件は、ある大会社の社長が専属秘書をつれて、飾り立てられた入り口から入ってきたときに起こった。


 入り口の正面には、発掘された鏡の中でも見事な細工が施された縁をもつ、一番大きな鏡が展示されていたが、二人の姿が映ったとき、突然、その鏡がものすごい光を放ったのである。


 騒ぎの中、鏡の前でうずくまる女性秘書を見付けると、数名の招待客が彼女のところへ行って声を掛けたが、すぐに黙り込んでしまった。


 それというのも、今まで見たことのない光景が目の前で起こっていたからである。

 それは、女性秘書の変わりゆく姿だった。


 しばらくしてその女性が顔を上げると、周りにいた招待客は息を呑んだ。

 彼女は、見事な銀髪にグリーンの瞳をした、あの伝説に出てくるシルバーフェニックス族の姿をしていたからだ。


 このハプニングはパーティ会場に取材にきていたTVカメラが偶然撮影していて、緊急速報として全国に放映されることになり、神秘的な姿に変わっていく女性をリアルタイムで見ることになった。


 “架空の種族だと思われていたシルバーフェニックス族は実在する種族だった!

 なんと彼らは我々と同じ姿に変装し、一緒に生活していたのである!

 もしかしたら、あなたの隣人がシルバーフェニックスかも!”


 新聞やテレビはこの事件を大々的に取りあげ、時間枠を広げて連日放送した。

 当然すごい反響を呼び、もちろん、発掘された鏡のことも話題になった。


 これらの鏡は隠れたシルバーフェニックス族を見付けることができる貴重品として、ダークルーラ(闇の支配者)と呼ばれるようになり、騒ぎの中、この鏡は何者かによって全部盗まれてしまったのである。


 それからだった、シルバーフェニックス狩りが始まったのは。


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