22-1 次の任務地
「……どういう意味だ?」
「言葉どおりです。自分の命は惜しいでしょう? だから、彼女と一緒に任務を続けるのはやめてくださいと言ったんです」
「その理由は?」
「では、僕たちのために命を掛けられますか?」
「なぜそんな事を聞くんだ?」
「仲間を裏切ることができますか?」
「仲間?」
「そうです。あなたの仲間、人間をです。この先、彼女と一緒に行ったら、あなたは仲間を裏切ることになるんですよ」
「……そうか。これからの任務は今までと違うんだな?」
「……」
「さっきアイツが持っていったUSBの内容を、君は知ってるのか」
「ええ、知ってます」
「どういう任務に就くのか話してくれ」
「そうですね……」どうしようか考えるので「どんな任務なんだ?」さらに聞くと「話を聞いたあとで断っても、罪悪感を感じることはないですよ」
「話してくれ」
アルバートは少し間を置いて「わかりました。では、これからの任務についてお話しします。デンジャーゾーンと呼ばれてる場所をご存じですか?」
「赤道直下にある無法大陸だ」
「そう。世界でも有数の資産家、と言えば聞こえはいいですが、正体は裏世界を牛耳る大物が住む大陸」
「そうか。デンジャーゾーンの任務が回ってきたのか」
「降りても構わないんですよ。誰もあなたを責めません」
「アイツも来るなと言うだろうな」
「言うでしょうね」
「もし俺が降りたら、誰がアイツのサポートに付くんだ?」
「グループのメインメンバーは単独行動なんですよ。彼女は話しませんでしたか?」
「聞いたよ。ただ、あんな所へ行くんだったら、複数で行動するのが常識だろう?」
「メンバーから要請があったときのみ、複数で行動します」
「基本は一人か。危険すぎるな」
「まあ、常識からいえば無謀ですね」
「無謀だと知ってて、なぜ単独で行動させるんだ?」
「それは……それは、複数で動くより単独のほうが、捕まったとき、被害が少ないからです」
「……そういうことか」
「リスクは最小限に留めないといけませんので」
「……そうだな。ところで、今まであの大陸に行ったメンバーはいないのか?」
「何人もいましたよ。すぐに連絡が取れなくなってしまいましたが」
「当たり前だ! いくら特殊能力を持つと言っても、あそこに単独で乗り込むなんて、捕まりに行くようなものだろう!」
「だから、グループの中でも最強のメンバーを派遣することになったんです」
「最強?」




