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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 運命の輪が作るストーリー
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20 気の性質の違い

 

 二時間後、リビングへ案内すると、ショウがお茶を飲みながら本を読んでいた。


「お久しぶりです」

「エッ? あれ? もしかして……アルバート?」

「先日は、危ないところを助けていただいて、ありがとうございました」


「驚いたな。誰かと思った。人間の姿になるとやっぱり雰囲気が違うな。でも、元気そうでよかった。他の人達はどうしてる?」

「みんな元気です。会ったらお礼を言っといてくれと言われました」

「そうか。ああ、荷物は部屋へ運んどいたから。座って」


「はい」ショウの向かいに座るとキラがお茶を持ってきて、テーブルにカップを置くと「次の任務のデータをもらったから、確認してくるわ」と言ってUSBを見せると、部屋から出ていく。


「もしかして、アルバートが代わりのメンバーなのか?」

「はい。僕は治癒再生能力を持ってるんですよ。ですから、救出された仲間のケアとか、負傷したメンバーのケアが仕事になります」


「では、君がここに来たのは」

「彼女のケアに来ました。ダークルーラに捕まったと連絡がありましたので」

「ああ。相当ひどくやられたよ」

「報告書を読みました。本当はもっと早く来なければならなかったんですが、あいにく対応できるメンバーが出払ってて、急きょ、僕に指名が来たんです」


「そうか。ケアはどのくらい掛かりそうだ?」

「そうですね。かなり無理してるようなので、しばらく掛かりそうです」

「以前と比べて、かなり()せたよ」


「彼女はここで、大地の精霊から気を貰ったんですよね?」

「ああ。お陰で元の姿に戻ることができるようになった。体力も回復してると思う」

「そうとは限らないんですよ。土地によって気の質が違いますから」

「気の質が違う?」


「気も土地によって性質が違うんです。運よく体質に合えばいいんですが、もし合わなかったら反動が来るんです」

「どんな反動が来るんだ?」


「そうですね、こういえば理解してもらえるでしょう。土地や国によって食べ物が違いますよね。あなたもいろんな国へ行ってるからわかると思いますが、食の違いに驚かれたことがあるでしょう? 口に合う物や合わない物がありませんでしたか?」

「ああ、経験がある」


「普通なら口に合うものを探しますが、動けないときはどうしますか?」

「動けないとき?」

「疲れ切ってるときや空腹のときは、食べられるものだったら、どんなに口に合わなくても食べてしまうでしょう?」

「……そうだな」


「しかし、問題はその後です。どうしても体質に合わなかったら反動がきます。例えば、お腹をこわしたり湿疹や発作を起こしたり。時には、熱を出して寝込んでしまうことがありますよね?」

「確かに」

「それと一緒です」


「じゃあ、もしかしたら」

「彼女もこの事は知ってるので、体質に合わないとわかれば対応するでしょう」

「そうか。では、どこの気だったら一番いいんだ?」

「食べ物も、自分が住んでる所のものが一番でしょう?」

「なら、王国に帰ればすぐに回復するんじゃないか」


「僕たちの王国があることを知ってるんですか!」

「ああ、知ってる」

「彼女が話したんですか?」

「いや。前に裏情報で、それらしい噂が流れたことがあるんだ」

「……ああ、あの事件ですね……」

「知ってるのか?」

「もちろんです。僕たちの仲間が連れ去られたんですから」

「……そうだな」 


 しばらく沈黙が続くが「話を元に戻すが、なぜ王国へ帰さないんだ?」

「……今は、王国に戻ることが許されてないんです」

「そこが解らない。なぜ?」

「話に出たあの事件が原因です。あれ以降、特例以外は王国へ戻ることを禁止したんです」

「……そうなのか」

「だから、僕のような者がいるんです」


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