19 代わりのメンバー
その日の夕食後、リビングで食後のお茶を飲んでいると「お前の体調が戻ったから、これからの事について話したい」とショウが声を掛けてきた。
「グループは、俺のことについてなんと言ってるんだ?」
「……不安要素は、作りたくない」
「消せって?」
「……そうね」
「まあ、それが妥当だな」
「……」
「どうするかは、お前に任せる」
「ショウ」
「お前が決めろ」
「いいの?」
「……ああ」
「目標があるんじゃないの?」
「……代わりメンバーの手配はまだ付かないのか?」
「今朝、手配ができたと連絡がきたわ。二・三日中に来る予定よ」
「そうか。じゃあ準備をしとかないといけないな。二階奥の部屋が空いてたな」カップを置いて立ち上がるので「いいわ。私がやるから」
「いい。俺がやる」立ち上がろうとするキラを止めて、二階へ上がっていく。
二日後のお昼近く。
「すみませーん! お荷物を届けに来ました!」
玄関から声を掛けられ、出てみると、大きなトランクが二つ、配達人の足元に置いてあった。
「ここにサインをお願いします」
配送伝票を差し出すので受け取ると、差出人のところにアルバート・トライアンと書いてある。
サインをして伝票を返すと「毎度」配達人は明るく笑って帰っていった。
「何か来たのか?」ショウがリビングから顔を出すので「ああ、これ。代わりのメンバーの荷物だから、部屋に運んでくれる?」
「ああ」部屋から出てくるとトランクを両手で持ち、二階へ上がっていく。
それから二時間後に本体がやって来た。
玄関の呼び鈴が鳴ったのでキラがドアを開けると、どこかで見たことのある顔が笑顔で立っていた。
「ああ、キラさん、お久しぶりです」
「ハ?」
「僕ですよ。以前、幽閉されて、餓死しそうだったところを助けていただいたアルバートです」
「アアッ! どこかで見たことのある顔だと思った! 身体の調子はどう?」
「まだ本調子ではないんですけど、だいぶ良くなりました。リハビリも兼ねて、ここの任務を仰せつかったんです」
「じゃあ、あなたが代わりのメンバーなの?」
「はい。よろしくお願いします」
「そう。さあ、入って。ショウもビックリするわ」
「ああ、彼と会う前にあなたと話がしたいので、どこか部屋を用意してもらえますか?」
「話し?」
「はい」
ショウに会わないように奥の客間へ案内すると「すごい所に滞在してるんですね」中に入ってから周りを見回して驚いている。
「グループが手配してくれたのよ」ソファに案内してティーセットを持ってくると、お茶を入れはじめる。
「いつもこんな感じなんですか?」
「まさか。グループに確認したら、ホテルよりウイークリーで借りるほうが安かったんですって」
「ヘェ、そうなんですか。古い都市だからでしょうか」
「そうだと思うわ。はい、お茶どうぞ」
「ありがとうございます」受け取ると飲みはじめる。
「それで、話ってどんな事?」
「もちろん、彼、ショウとのことについてですが、その前に、ダークルーラに捕まったときのケガの治療をしますので、捕まったときの状況を教えてください」




