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 「俺と……仲良くなりたい……?」



 あまりにも単純明快で、意外な返事。

 驚きのあまり横峯さんが言ったことをオウム返ししてしまう。



 「そう! 私と相澤くんって絶対仲良くなれると思うんだよね」



 横峯さんは、顎下に親指を添えて一人で頷いている。

 それも何故か得意げに。



 「なんで俺と横峯さんが仲良くできると思うんだ……? 横峯さんはクラスの人気者なわけだし、俺と関わる理由が見つからないんだが」



 俺と違って『いろんなもの』を持ってて、みんなに期待されているのに。

 すると、横峯さんはきょとんとして俺をじっと見つめてくる。



 「なんでって言われても……相澤くん、深夜アニメの鼻歌よく歌ってるじゃん? 私も深夜アニメとかよく見るし、相沢くんが読んでるラノベも私ほとんど読んでるんだ。だから、これは仲良くなれる……! って思ってさ」



 「え、ちょっと待て。俺って鼻歌とか歌ってるの?」



 「歌ってるよ? もしかして、気づいてなかったの? え~、普段澄ましてるのにかわいいところあるんだねぇ」



 口元を猫のような形にさせて、ニヨニヨとおちょくってくる横峯さん。

 そもそも、いつも人に囲まれているのに俺の鼻歌とかよく聞こえたな。



 「て、ことで私これから相澤くんの家通うから。三日に一回ぐらい」



 「三日に一回って、俺の家は塾か何かか?」



 呆れたような口調で返事をするが、内心まんざらでもない俺。

 所詮は年頃の男。学年の美少女が俺の家に通うって言ってくれるのは嬉しかったりする。



 「塾……ね。相澤くんが塾の先生だったら毎日楽しいだろうなぁ~」



 そう言いながら、目線を落とす横峯さん。

 心なしか声のトーンも少しだけ落ちたような気がした。



 「……横峯さんの方が頭いいだろ」



 ただ、俺には友達もいないせいで、気が使える言葉もかけてあげられない。

 下手なこと聞いて地雷に触れるのも嫌だから、この場はスルーした。

 誰にでも地雷はあるだろうし、聞かれたくないないことの一つや二つぐらいあるだろう。

 俺だってそうだし。



 「あ、バレた? まぁ私定期テスト毎回学年一位だし、言いたくなくてもバレちゃうかっ」


 そう言いながら、きゅるるんと人差し指をほっぺにあてて、かわいい子だけがするのを許されたポーズをとる。



 前言撤回。

 元気がなさそうだったのは俺の気のせいだったっぽい。

 というか、横峯さんしれっと順位の自慢しやがったな。この野郎。

 そんな自信満々なところも可愛い。可愛いって罪だな。



 「それじゃあ、そろそろおいとましますかぁ~」



 横峯さんがそう言った時には、もうすっかり雨はあがっていた。

 窓には水滴が残っていて、外には虹がかかっている。いかにも、雨上がりの空模様って感じだ。



 「じゃあね。相澤くん。また明日」



 「ああ。気を付けて帰れよ」



 スクールバックを手に持った横峯さんは、玄関のドアを開ける。

 まだほんのり雨の香りが残っていた。

ご覧いただきありがとうございます(ㅅ´ ˘ `)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 気になる要素がちりばめれた、ココからがスタートと感じられる回。 [一言] 帰り際に見えた虹には、初めての家での邂逅は短めだったけど、先が明るいものになると予感させますね。 そんな事より、…
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