第二章 第10話 二股の尾
コルセイはガーランドという男が嫌いではなかった。一見、横柄に感じる態度ではあるが、話には筋が通ってる。団員の気持ちを汲む場面も見受けられる。傭兵団を見渡せば同じように考えているものも多く、人望があるのは一目瞭然だった。
好きか? と聞かれると、それはまた違うかもしれないが、少なくとも傭兵団の居心地は悪くなかった。自分に無い何かに惹かれていたのかもしれない。だからからこそ、ガーランドらしく無い顛末は心のどこかでしょうがないと考えつつ無性に腹が立った。
(帰ったら一言言ってやるのは確定として、今はオリビアだ。ダレスに合流して詳しい場所を確認しなくては)
月明かりがある夜で良かった。勢いで出てしまったが、月が出てなかったら朝まで待たなくてはならないのは確実だった。馬を止めると持ってきた荷を確認する。少し大きな棺が一つ、中身はスケさんことリュケスが入っている。大きめのリュックにはアヤカから教えてもらった旅装一式、そしてもう一つ、一回り小さい棺。その棺の扉を開けるとその中身に向かいコルセイは魔力を込める。
棺桶の中から首をあげる獣。コルセイよりやや小さく、魔物としてはやや小さめのサイズである。毛色は青くふさふさとしている。厚い毛並みは寒さから身を守るのに最適だろう。一般的な獣との違いは尾が二股に別れているという事だろうか? 遠征中に仕留めたアイスミレ二股狼である。
「今回はお前が頼りだ。よろしく頼む」
アイスミレ二股狼は遠征中に襲われた魔物で、群れで囲われた所を撃退した魔物だ。相性が良かったのか、それとも何かしらの縁があるのか魔力の繋がりを感じ、今に至る。
アイスミレ二股狼の大きな特徴は大きく三つ。厚い毛皮と脂肪に覆われた耐熱、耐冷。夜行性故の夜目が効き、魔物の中でも特に優れた嗅覚である。特に嗅覚は優れており、臭いの元さえあればどこにいてもある程度は探し出せるだけのスペックを持つ。
「あれから二年経つけどまだオリビアの匂いするよね。大丈夫かな」
コルセイは以前オリビアから渡さられたネックレスの匂いを嗅がせるとしばらくしてアイスミレ二股狼は勢い良く走り始める。
「良し! 頼んだぞ!」
最低限の休憩を挟みつつ、夜通し二日間走り続ける。コルセイの魔力によって動き続けるアイスミレ二股狼はまだ走り続けられそうだが、そろそろ馬が限界に近かい。休憩場所を探していると、大きな谷の入り口に小規模なキャンプが張られているのを見つける。その集団に近付くと中に見知った顔が確認できた。
E 黒革の軽装鎧
E ショートソード
E お手製スリング
使 アイスミレ二股狼(二股狼)




