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第一章 第31話 コペルニクス2


 コルセイ達を見失ったコペルニクス。彼は、その後、五日間うつろいの森を彷徨い歩く事となる。ただでさえ分かりずらい道程の上に、移動の際には墓石に気を使い、森の魔物だけならまだしもアンデッドまで出る始末、戦闘能力を持たないコペルニクスにとって地獄と言える環境であった。


「はぁはぁ。こんなにキツイなんて聞いてないぞぉ!」


 何とか狩りの痕跡を見つけ追跡していくと人影が見える。新入りのコルセイと呼ばれていた小僧と前傾の小人だ。力を振り絞り木陰に隠れる。


 ここでコペルニクスはコルセイの様子がおかしい事に気付く。


「あの動き、それに小僧の言動。どういう事だ? あの小人が自発的に動いているようには見えない。ゴブ? まさかな」


 コルセイと小人は近くの魔物にはショートソードと鉈、遠距離の魔物にはスリングと上手いこと戦闘を進めている。コルセイが誘導し、小人が倒す。素人目線から見ても中々連携が取れているようにも見れる。いや、連携のレベルと言えるだろうか?


 戦闘の所々に拙さが見えるもの阿吽の呼吸とでも言えばいいのだろうか? 一心同体と言えるレベルだ。入って数日の兵士と雇われのポーターにこのような動きが出来るだろうか?


 反王族派の謀と思いきや、もしかするともしかするかもしれない。キーマンはあの小僧と小人のようだ。更にコルセイの後をつけ、以前使われていたと思われる砦を見つける。ここを拠点にして活動をしているようだ。


「室内で寝泊まりだと……。いくら古びた石造りの部屋とはいえ、こちらは野宿だ。クソ。段々あいつらが憎く思えてきたぞ。いや、しかし、焦点はそこではない。奴ら……一体ここで何をしてるのだ?」


 コペルニクスは悪態をつきながらも、その後、数日間を三人の尾行に費やす。オルタナはラマダンの古城を中心に遺跡の調査、鴉頭の女は雑事に今後の準備であろうか? コルセイはただただ魔物狩っていおり、特に進展が見られない。コペルニクスは気付かれる可能性を考慮しながらも、三人が砦に集まる夕方に直接聞き耳をたてる事にした。


 ある程度予測していたが、砦の壁は厚く会話全てを聞き取る事は難しそうである。しかしながら、注意深く話を聞けば、何が目的でうつろいの森で動いているかのはある程度()()はできる。全力で集中し聞き取る。聞き取れない部分については予測を元に補完すれば良いだろう。


 〜〜〜


「コルセイ遅いな?」


「まったく。今後の方針を決めるて言ってあったはずですよね。※※※※※※※※※※?」


「まあまあ、※※に熱が入りすぎて遅くなっていんだよ。とりあえずコルセイが来るまで今後の方針の確認をしようか」


 ●コルセイ※※プラン

 コルセイがやつ※※※次第魔物※※を開始。


 ●※※※※城

 城門付近に※※※※が複数有り。現状の戦力では攻略は難しい


 ●巨大スケルトン

 作戦に向け下準備済み。コルセイ※※プラン後に移行


「ってな感じだな。コルセイの様子次第では今後半月で※※※※※※※※※もな」


「※※※※城攻略が出来ず、カルディナ様にお叱りを受けるかもしれないのにさらにこんな※※※※※。憂鬱です」


 〜〜〜


 最初は事態を飲み込むことができなかった。自分の勘違いではないのか? しかし補完されていく文面にコペルニクスの信憑性が増していく。


「――やはり、間違いない。神よ! 何という事だ」


 コペルニクスは戦慄を覚える。足に力が入らず、その場に座り込む。底しれぬ恐怖。コルセイはまだ戻ってきてないようだが、あの二人の声の様子。まるで遊びにでも行くようなテンションで話していた。書き留めたメモにコペルニクスの解釈を加えた物を見返す。


「早急に本国に伝えなくては!」


 コペルニクスは道具箱から何やら丸い金属を取り出し、窪みに力を入れる。金属は瞬く間に展開し金属製の小さい小鳥となった。


「もしかしたら私は殺されるかもしれない」


 怯えながら声を絞り出す。展開した小鳥にコペルニクスが書いた報告書を加えさせると金属の小鳥は間もなく飛び立った。


 ~~~


 ※コペルニクス報告書※


 ワルクーレより依頼された報告書を送る。国家に叛逆を意図する内容であるのは間違いない。これは非常事態だ、以下が逆賊の会話である。


「コルセイ遅いな?」


「まったく。今後の方針を決めるて言ってあったはずですよね。あの魔物はどうしたんですか?」


「まあまあ、戦闘に熱が入りすぎて遅くなっていんだよ。とりあえずコルセイが来るまで今後の方針の確認をしようか」


 ●コルセイ放逐プラン

 コルセイが【奴】を狩り次第、魔物放逐を開始。


 ●ヒエルナ城

 城門付近に見張衛兵が複数有り。現状の戦力では攻略は難しい


 ●巨大スケルトン

 作戦に向け下準備済み。コルセイ放逐プラン後に移行


「ってな感じだな。コルセイの様子次第では今後半月でヒエルナも壊滅かもな」


「ヒエルナ城攻略が出来ず、カルディナ様にお叱りを受けるかもしれない。さらにこんな所で足止めとは憂鬱です」


 ※以上が三人の会話分である※


 (やばい、やばい、やばい。あいつらいかれてる。ヒエルナに魔物を放つ気だ。素知らぬ顔をして作戦に参加しておきながら、この間のスタンピートも裏で糸を引いていたのはあいつらだったのか!? クソっ騙された。しかし、魔物を連れて行く? 本当にそんな事が出来るのか? ほぼ確実ではあると思われるが聞き間違いの可能性もある)


 考えに耽るコペルニクスが顔を上げると叫び声が聞こてくる。


「ぉーーぃ」


「ぉーーーーーぃ」


 土煙と共にコルセイが見えて来る。


「キャーーーーーーーー!オ、オ、オルタナーーー!」


 尻餅をついたアヤカの前に立っているのは血だらけコルセイを咥えているあの巨大スケルトンであった。


 (ま、魔物を使役しているだと? 決まりだ。コルセイが血だらけで咥えられてきたのは演出。ヒエルナの将来を暗示しているのだろう。趣味が悪過ぎる。ま、まさか自分が生きている間に見る事となるとは、コルセイは人類の敵ネクロマンサーだ!)


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