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第六章 最終話 二人の行方

 

 一昼夜休み、ガイブの体力が回復したのを確認すると四人は食事の準備を始める。アヤカの提案通り二人には転移先での出来事はまだ何も伝えてはいない。今のところここにホワイトドラゴンが戻ってくる様子はなく、おそらく安全だろうと判断する。


 皆の荷物。コルセイが使役する魔物の棺桶など、荷物はかなりの量があったが、移動する際は体力、気力共に満ちたランドルフが担当するので問題はない。


「――それで、アヤカどうするの?」


「はい。それでは私たちがどこへ向かい、どのような事が起きたのか説明します」


 アヤカはホワイトドラゴンにより過去のヒエルナに渡り、ヒエルナ教の原型となった神殿騎士団との出会い。ケッフェルン廃城でのルイとの出会いや、巨人との戦闘を経て魔王に助けられた話を丁寧に話す。


「――ということはコルセイちゃんは……」


「いえ、まだあきらめるのは早いです。最後にもう一つだけ皆さんにお話しすることがあります。これはガイブさんも知らない話です」


 今まで聞くだけに専念していたガイブの耳がぴくぴくと反応している。


「ホワイトドラゴンの攻撃を何とか退けた私達は、次元の渦に巻き込まれ各々この時代へと戻ってきました。私も皆さんと同じように次元の渦に巻き込まれたのですが、実はこの時代にたどり着く寸前にルイを見たんです」


「ルイ?」


「コルセイが契約を結んだヴァンパイアの王です。ケッフェルン廃城で契約を結んだ魔物です」


「ヴァンパイア……。改めて考えればあの伝説のヴァンパイアなのよね? コルセイちゃんがどんどん普通じゃなくなっているのは知ってはいたけど……」


「そうですね。そこに関しては私も同意見です。私が見たルイには意識がないと思われます。シルエットだけを残したような影のような形をしていました。ルイはコルセイとは一緒にはいませんでしたが、私を見ると頭に直接声を送ってきました――ケッフェルン廃城に向かえと」


「ケッフェルン? 確か、貴方たちが行った過去のヒエルナに行った際に行ったお城よね?」


「はい。私たちが見た時より時間が経過し、うつろいの森が形成されています。地形、建物共にかなり変わっているはずですがケッフェルン廃城はあるはずです。


 ここからでしたらそこまで遠くありません。ルイの言葉が何を指すのかは分かりません。しかし、必ず何かあります! ですので、私はこれからケッフェルン廃城に向かいたいと思います。できれば皆さんにもついてきて欲しいのですが……」


「ちょっと待って! コルセイちゃんが生きている可能性があるなら私もケッフェルンの廃城を目指すのに反対はしないわ。でもオリビアがまだよ。誰かが残らないと」


「これは私の予想にすぎませんがオリビアだけは恐らく違う場所、あるいは時代がずれて転移した可能性が高いです。念の為ですが、一人分の荷物と連絡用のレリックをここに残していこうと考えていますがいかがですか?」


 アヤカが皆を見回す。できる事なら全員で行動したい。しかし、不確かな情報を元に動くのにはリスクが伴う。皆は考え込んでいるのか中々口を開けようとはしない。


「――俺が残ろう」


 口を開いたのはガイブであった。ガイブは正面を見据え決意を固めた表情をしている。


「できればコルセイが生きていると信じたい。しかし、俺はコルセイの死をエグスメントより聞いている。俺はコルセイの意志を継ぎオリビアをヒエルナに無事に連れていきたい。アヤカ連絡用のレリックを俺に貸してくれ。……なに、しばらくしたら俺もお前たちの後を追う」


「えっ。でも」


「心配するな」


 二人のやり取りを見て今まで黙っていたナンナが声を上げる。


「じゃあ、私もお兄ちゃんとオリビアを待ってるよ! ランドルフ、しばらくお別れね!」


「お別れなんて寂しいじゃない。すぐにまた会いましょう!」


 ナンナがランドルフに飛びつくとランドルフがその背中を優しく抱きしめる。アヤカは二人のやり取りを見て少し寂しそうにすると、ガイブに二人分の荷物と連絡用のレリックを手渡す。


「何かあればすぐに連絡してください!」


「ウム。アヤカ一つ頼みがある。コルセイが生きていたら俺の代わりに一発殴っといてくれるか?」


「フフフッ、そうですね。さんざん心配かけたのですからそれくらい許されますよね。喜んでやらせて頂きます!」


 アヤカが満面の笑みを浮かべると二人はそれぞれ荷物を背負う。涙を流しながら大きく手を振るナンナに手を振り返し続けるアヤカとランドルフ。


「またみんなで会いましょう!」


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