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第六章 第5話 募兵

 

 城内に入るために考えられた作戦は二つ。オリビアの神官としての能力を売り込み城内に入る。もう一つはこれから始まる戦に向け準備しているのに便乗し、寡兵として侵入するの二つ。


 今回確保してきた物資もオリビアの治癒の能力の対価としてもらってきた経緯もあり、当初は神官侵入作戦で行こうかと考えた。


 しかし、残りのメンバーはいらないという話になりかねないのでやはり寡兵として侵入するという話でまとまった。


 ※※※


 サンアワード城出入り口


「ダメだ、ダメだ。どこの馬の骨かも分からんやつを兵として雇うわけにはいかない。帰れ、帰れ」


 入口近くに立つ募兵担当官はコルセイの話をまったく取り合おうとしない。力を証明するにしても兵と立ち会うという訳にもいかず、コルセイは途方にくれる。コルセイがおずおずと戻ってくると今度はオリビアが兵に話しかける。


「無理だ無理だ。誰が来ようとも入れる訳にはいかない」


「では何か証を立てれば良い? ギルドで難易度の高いクエストを受けるそれはどう?」


「ギルドなんだそれは?」


 ヒエルナにも冒険者ギルドは存在する。城の兵がギルドを知らないのは流石におかしい。やはりこの城はヒエルナではなく、よく似た別の国か、もしくは違う世界なのかもしれない。


 募兵担当官をオリビアが悩ませていると奥より神官服に身を包んだ女性神官が近づいてくる。白いローブを羽織りところどころに国のマークらしき刺繍も入っている。目元は布で隠され口元だけしか見ることはできない。


「これはリーフ様。どうしてこのような場所に」


 兵士は頭を下げると緊張した面持ちとなる。どうやら位がだいぶ高い人物のようだ。


「そちらのご婦人が気になったので、お名前は」


「オリビア」


「そうオリビアさん。義勇兵に参加してくださるの?」


「参加したい。でも私の仲間は四人。全員で参加したい」


 オリビアがコルセイに視線を送るとコルセイが軽く頭を下げる。リーフはコルセイをしばらく見ると口元を抑えて何やら考え込む。


「後ろの方は本当にオリビアさんの仲間なのですか?」


「大事な仲間」


「そうですか。オリビアさんだけなら今すぐにでも兵として参加して欲しいのだけどお仲間さんも一緒ということならそういう訳にはいかないわね。そうですね。何か善行を積んできて頂けますか? はっきりと分かるものならなんでも構いません。そしたらこの募兵担当官に話しかけてください。私が推薦します」


 意外なところから助け舟が来る。担当の兵もリーフ様の推薦ならと小さく承諾してくれた。オリビアは近いうちに戻ることを伝えるとコルセイと共に入口を後にする。


「ありがとう。助かったよ」


「運が良かった。でも安心はできない。あのリーフという女、コルセイのことを疑いの目で見ていた」


 確かにジロジロと見られていたように思う。しかしこれ以外に城内に入る手段は思いつかない。もし成功すればガイブの見た目さえどうにかできれば全員で城内に侵入できる。


「そうと決まれば善は急げだ。オリビア急ごう!」


 コルセイとオリビアは小走りでアヤカとガイブの待つ街道へと向かった。


 ※※※


「状況は把握しました。お二人ともお疲れ様でした」


「いや、俺は全然ダメだった。オリビアのおかげだよ」


「確かにコルセイは他の人族と比べると人相が悪い。人との交渉は脅しやハッタリなどの場面が良いかもな」


 ガイブにはっきりと言われ肩を落とすコルセイ。しかし事実は受け入れるしかない。幸いこちらには見た目が良い二人の女性がいる。今後は荒事以外の二人に交渉は任せよう。


「ではコルセイあそこに行くのだな!」


「渡りに船とはこのことだな。あの男が足を洗ってあの場にいないことを願うよ」


 四人はコルセイが遭遇した野党討伐に舵を切ると夜に夜襲をかけることにする。四人は森の中へと戻ると夜襲に備えて各々準備にとりかかった。


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