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第四章 第39話 ダンジョン街探索

 

 明るくなったタイミングで建物を出るとダンジョン内の街を探索する。今いる宿屋(仮)を拠点とし街の奥に安全な建物を見つけ次第、新たな拠点としたい。できれば早めに下への階段を見つけたい所だ。


「この建物にも何もなかったな」


「ああ。あったのはこの丸薬が引き出しの中にあっただけか」


「それにしてもこの丸薬一体何なんだ? まさか各建物にあるわけではないよな。本当にこの丸薬に害は無いんだよな?」


「ああ。むしろ、ペロッ。何というか癖になる。それに僅かではあるがこの丸薬を口にすると景色が変わる」


(仮説の一つは当たりか? 俺ももっと積極的に口にするべきだろうか?)


 ガイブとナンナはぺろぺろと丸薬を舐めながら街を歩く。先程コルセイが丸薬を口にしてからだいぶ時間が経つが今のところ体調に異常はない。遅効性の毒でも無い限りはもう体調を崩す事は無さそうだ。次の建物でまた丸薬があればコルセイも手に入れておくことに決める。


「そろそろ暗くなり始めるはずだ。次の建物で問題がなければそこで休憩をしよう」


 建物の目星をつけ扉を開けるとガイブの鼻と耳を使い中の様子を確認する。ナンナも役に立とうとして耳をピコピコさせ異常がないか建物の中の気を巡らしている。


(あのピコピコ可愛いな)


 コルセイが横目でナンナを見ていると視線を感じたナンナとコルセイは目が合う。


(あっ)


「グゥ」


 悪意はないのだがナンナに警戒されてしまう。コルセイが気まずさから少し口角を上げ微笑むとむしろそれが良くなかったようで小さく後退りガイブの方へと駆けて行ってしまう。


(打ち解けるまでにはもう少し時間がかかりそうだな)


「コルセイ大丈夫だ。建物の中には何もいない」


 ガイブがこの建物の安全を知らせる。ガイブとナンナは二階へ。コルセイは入口をゴブリンで固めつつ三階を探索する。特徴のある建物である。広さこそ宿屋(仮)より狭いものの、高さはこの街の中でも一二を争う高さであろう。それにしても各階の床から天井までの高さが他の建物に比べてかなり高い。この奥にその答えがあるのだろうか? 扉に手をかけると部屋の中に入る。


「これは、すごい」


 天井近くまで備え付けられた棚にはびっしりと本が詰められている。華美な装飾で施された見るからに高そうな本から、日に焼け色褪せたみすぼらしい本まで様々な本が並べられている。奥行きもあり、三階のほとんどが書庫となっているようである。


「本は高いからな。この建物の主は金持ちだったのだろうな」


 金持ちであり、変わり者だったのだろう。この本の量は個人で集めるには多すぎる。特に気にせず一冊の本を取り出して目を通して見るがやはりそこには知らない言語が書いてありコルセイでは読むことはできない。


(挿絵でもあれば少しは情報が得られるのだが)


 突き当たりまで歩き、部屋の入り口に戻ろうとすると一冊の本に目がいく。


「これは?」


 その本はちょうどコルセイの目線にあり横一列に綺麗に並んだ背表紙の中で一冊だけ毛色が違う。コルセイはその一冊の本を手に取り本を開く。開いたページの中身はやはりコルセイには理解ができない。


 しかし、ページ終わりの一文に唐突に読める文字が現れる。


「ここだけ読めるぞ! 《よく、ここまで来てくれた》だと? どういうことだ?」


 コルセイは急いで次のページを捲る。


 《コボルト族の助けは得られているだろうか?》


 何だこれは? こちらの行動を分かっているかの?


 《コボルト族の助けを得られていればあの薬は手に入れられたはずだ? 君も口にしているだろうか?》


 俺がここに来るのを分かっているのか? いやここに来る誰かに向けて書かれた文面だと判断するべきだろう。


 《口にしていないなら早く口に含んでくれると嬉しい。君にとって世界が変わるのが分かるはずだ》


 やはり予想はあっているようだ。周りの警戒を怠らないようさらにページを捲る。


 《名乗ることはできないが私は君の支援者だと思ってくれ。私のことを知りたいなら地下二十一階に答えがある》


 ページを捲る


 《君の目的も同じ階にあるだろう。たどり着いてくれると嬉しい》


 やはり完璧にこちらの目的を理解している。このページの先にコルセイが求める事が書いてあるだろうか?


 《街の住人はいないであろうが悪い意味で住人は存在してしまっている。この建物が示す無骨な建物に君達に相応しい武器がある。それを君達が手に入れればこの先の旅も楽になるだろう》


やはりこの街は実在した街だったのだ。


 《さて、申し訳ないがそろそろ最後にしなくてはならない》


(えっ。終わり?この建物が示すってどこだよ!)


 コルセイはページをペラペラと捲るがその先に新しい言葉は書かれてはいなかった。


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