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第一章 第15話 うつろいの森 後半


 コルセイ達の進行方向の地面からはボコボコと骨の腕が生えてくる。視界は悪くなりつつあるが立ち止まっている暇はない。今は強引に駆け抜けるのだ。躱し切れない腕だけはゴブリンがモグラ叩きの要領で石で潰している。


「ゴブリン上手く使えるようになってきたんじゃないか?」


「ゴブの瞬発力や機動力かは把握したかな。手先なんかは器用になってきた。素早い俺がいると思ってくれていいよ」


「コルセイが二人いて戦力になるんですか? それにゴブ? めっちゃ感情移入してるじゃないですか! 大丈夫なんですか?」


「うっ。でも、今はゴブの事色々わかるようになってきた気がするんだよ。俺と戦った時は確かに敵だった。それに、今は何か通じるものがあるよ」


「いや、それどうなんですか? 本当に人間やめ始めてるんじゃないですか?」


「そ、そんなこと言わないでくれよ。自覚は少しあるんだ」


 オルタナとアヤカから漏れる失笑。二人はコルセイを無視して、そのまま走り続ける。


「逃げ切れたんじゃないかな? と言いたいところだが、……どうやら大物からは逃げ切れなかったようだ。もう少し走ったら俺とコルセイ、ゴブで迎撃、アヤカは援護を頼む」


 だいぶ距離を引き離したはずだが、すぐ後ろからは繰り返し聞こえる足音と、何かを引きずる音。オルタナの合図で反転するとアヤカが後衛、三人が前衛のフォーメイションで戦闘態勢をとる。


 まもなく現れたの下半身がない巨大スケルトンであった。骨は黒ずみ手のひらの指は何本か欠けている。顔のあった所には変形、あるいは生前に受けた傷なのか大きな穴が空いていた。後ろから聞こえてきた足音は手で、引きずるような音は下半身を引きずる音だったようである。


「でかい!」


 コルセイとゴブが手に鉈を持ち、巨大スケルトンに走り出す。巨大な腕に向けてコルセイ、ゴブと連続で斬りつけるが、骨が欠ける程度で大したダメージは与えられない。巨大スケルトンはすぐさま反撃を繰り出し、斬り付けられた腕と逆の手でコウセイとゴブを叩きつける。コルセイは紙一重でなんとか躱したものの、ゴブはまともにくらってしまい地面に叩きつけられてしまう。二人の攻防の隙にオルタナもスリングで攻撃を試みるものの、頭に当たった小さな石では大したダメージが入っていない。


「くっ。ゴブが動かなくなった」


 スケルトンの一撃でゴブが再起不能となる。見た目通り、巨大スケルトンの打撃はかなり重い一撃のようだ。態勢を整え、再び襲おうとする巨大スケルトンに対しアヤカがありったけの瓶の中身をぶち撒ける、空気中には先程の数倍の水滴が固定され三人の前に水の障壁を作る。


 しかし巨大スケルトンは気にした様子を見せずに、そのまま巨体をこちらに向けると固定された空気中の水滴に全身に突っ込む。巨大スケルトンが水滴に触れると凄まじい煙を上げ、流石の巨大スケルトンも大きくたじろいだ。


「今ので聖水、全部使っちゃいましたよ! これを突破されたら終わりです」


「わかった。今から時間を稼ぐ。コルセイはゴブを回収後、全力で砦に向かって走れ。アヤカ足止めの援護頼めるか?」


「「了解」」


 水滴の障壁が薄くなり始める前にオルタナが動き出す。


「行くぞ!」


 ロープの先に大きめの石を括り付け、円を描くように振り回す。巨大スケルトンの腕がこちらに向けられる瞬間を狙い投擲する。ロープが二本の腕に絡みついた所をオルタナが一気に引っ張り上げる。


「くっ。やはり俺一人では縛り上げれれない。アヤカ頼めるか!」


「これなら!」


 アヤカが丸い陶器のようなものを、巨大スケルトンの掌の部分に目掛けて投げつける。着弾と共に破裂音がすると、巨大スケルトンがバランスを崩す。すかさずオルタナがロープを締めあげると巨大スケルトンは一時的ではあるがジタバタする巨大な物体と成り下がる。


「お手製の魔力手榴弾です。殺傷力は無いですが衝撃はなかなかですよ」


 コルセイはすばやくゴブを回収すると、三人は巨大スケルトンを背に砦に向けて走り出した。


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