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第一章 第1話 神殿騎士団入隊


 神聖ヒエルナ皇国で疑ってはいけない事が三つある。


 1、神の視覚を疑ってはいけない。


 2、神の導きを疑ってはいけない。


 3、神の言葉を疑ってはいけない。


 神聖ヒエルナ皇国においてその三箇条を疑わなければ信じた者全てが幸せを約束される。


 ※※※


 王国、帝国、連邦国と国の形は様々な形がある。しかし、神聖ヒエルナ皇国が他の国と大きく異なるのは差別が無いことであろう。それは何故か? 国自体が一つの宗教でまとめられているためである。


 一つの信念に皆が従う。人、亜人、ハーフ、全ての国民がヒエルナ皇国に属している限り、同じ価値感の中で幸せを共有できるのである。もちろん、そんなヒエルナ皇国では他の国々に比べると断然治安も良い。そんな安全な国の治安維持組織【神殿騎士団】に今日一人の少年が配属される。


※※※


 日に二度鳴らされる大聖堂の鐘に今日も人々は祈りを捧げる。しかし、その祈りは本当に神に届いているのだろうか? 歩きながら少年はそんな事を考えていた。もし神様がいるなら自分は……。


「今日から配属になるコルセイです。宜しくお願いします」


 小柄でまだあどけなさが残る少年。背筋を伸ばし、あらん限りの大きな声を出す。短めの茶髪は少し黒みがかっており、体格も貧相とは言わないが決して立派とは言えない。


「宜しい。お前の入隊を認めよう。これからしばらくはランドルフ伍長の元でオルタナ一等兵と共に歩哨任務に着く様に」


 壮年の男性は声を張り上げ、コルセイに初めての命令を下す。


「ランドルフ伍長。以後、コルセイ二等兵の実務を指導するように!」


 大隊長の前には巨漢の身体が立っている。金髪で革鎧の隙間から見える手足は、節々が筋肉のコブで盛り上がる。男の名前はランドルフ、コルセイの直属の上司になるようだ。その体型に似合わないつぶらな瞳が、いやらしい目付きなのは勘違いであって欲しいとコルセイは静かに目を逸らした。


 ヒエルナ皇国神殿騎士団。総勢24,748人。皇帝を頂点に元老院によって管理される行政機関で、3つの内部部局、各地方を管轄する6つの地方機関で構成される治安維持組織だ。その末端の末端で治安を守るのがコルセイの仕事となる。わかりやすく言えば周辺の魔物やならず者から人々を守る兵士である。


「新人、宜しくな! 俺も入って日が浅い。これから頼む!」


 横から声をかけてくるのはオルタナ。スッキリと背の高い好青年で、年齢もコルセイとそこまで変わらなそうである。キラリと見せる笑顔は男からしても好感を持ってしまう。


 基本的には下士官に兵卒3人のフォーマンセルで行動しているようなのだが、訳あって1人かけているらしい。


「コルセイちゃん宜しく。早速だが適正を教えて欲しいの。今後の立ち回りや、配置について考えたいから」


 ランドルフが言う適正とはA〜Eで評価される国の身体検査で、発行される適正で職業の向き不向き、個人の資質を記載した証書である。


 登録名

 コルセイ


 種族

 ヒューマン


 身体能力 C

 知的能力 C

 判断能力 C

 交渉能力 C


「至って平均ね」とランドルフ。

「ええ。模範的一般人です」とコルセイ。

「いやいや皆のど真ん中って事ですよ。弱点がないことは良い事じゃないですか!」とオルタナ。


(イケメンで性格が良いとは僻む気持ちさえも湧いてこない)


「早速だが三人で歩哨任務に着きます。装備を整えて門の外に集合するように」


 支給された革鎧に袖を通し、短剣を鞘に収める。詰所から門は直結しており、コルセイはさっそく外に整列させられる。


「訓練生とはいったものの、実際はいきなり現場よ。合間を縫って訓練を行うわ。もちろん最初から給金も出るわよ!」


 ランドルフの指示のもと、のんびりと俺の兵士ライフが始まる……と思いきや、何やら外が騒がしい。よく見れば神殿騎士団の兵士が右往左往としいる、中にはフルプレートに身を包んだ指揮官クラスや、大隊長もあれこれと指示を出しているのが見受けられる。ランドルフは駆け足で指揮官に指示をもらう。しかし、こちらに帰ってくる顔色は何故かワントーン薄くなっていた。


「早速で悪いんだけど、これは……まずいわね。魔物がこちらに向かっているそうよ。恐らくスタンピードよ」


 コルセイの騎士団着任初日は、波乱の幕開けで始まった。


至らない事もあると思いますがよろしくお願いします。

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