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1-4 夫婦喧嘩は二十歳になってから!


次の日俺はいつも一緒に登校しているメンバーを待つために集合場所の公園にいる。

登校するメンバーは俺、ヒデと瀬間美奈(ミナ)弘前早希(サキ)の幼なじみ4人組で、入学したときからずっと4人で登校している。

ちなみにケンは中学が違う。知り合ったのも高校になってからだ。



「あ〜ノブ早いね〜」


「5分前集合は当たり前だ」


まずサキが来た。

サキは小さくてショートカットの似合う俺にとっちゃ妹みたいな存在で、部活はブラスバンドだ。


そして待つこと5分…


「みんな遅いね〜」


「いつものことだろ。あいつらは」



ヒデとミナは時間にルーズだ。

だからいつも長くて5分は待ってやっている。



「ごめん、待った?」


ミナが来た。

ミナは身長が160センチちょっとあり、ヒデと大して変わらない。髪型はいかにもスポーツしてます的なポニーテールで女子バドミントン部の次期主将という噂を聞いたことがある。



「いや、今来たとこ」


「な、何?デートのつもり?」


「お前とデートなんかするわけない」

言った後はっとする。ミナにこの手の冗談は通用しない。


「悪かったわね!魅力のない女で!」


一気にキレるミナ。そして鉄拳。


「イッテェ!思いっきり殴ることないだろ!」


「女心を理解してないからよ…」


何かボソボソ言ってる。


「ん?何だ?」


「何でもない!」


「ぐはっ!」


そんな…理不尽な暴力。



「お二人さんラブラブなのはわかったから、早く学校行かないと遅刻するよ〜」


「「誰がラブラブ…あっ!ヤバい!」」


「息ぴったりだね〜夫婦みたい」


「「誰が夫婦だ!」」


「本当に夫婦みたい…」



サキが何か呟いていたが、追求している場合じゃない!飛ばさないと!

俺たちはチャリに乗ってダッシュで学校に向かった。

あれ?なんか忘れてるような…












「「セーフ!」」


「だからそういう所が夫婦なんだって…」



ダッシュでチャリをこいだ結果、なんとかホームルームにギリギリ間に合った。俺たちはみんな同じクラスで2−1だ。キーンコーンカーンコーン

ガラガラガラ…



始業のチャイムが鳴ると同時に我らが担任教師の白石亜弥が入ってくる。

若くて優しくて気さくな性格でいつもニコニコしているので人気のある先生だが、遅刻には死ぬほど厳しい。

だから俺たちの焦りようも納得がいくだろ?


「さーあ、始めるよ〜。ありゃ?小出と中田はどうした?」


あっ!ヒデを忘れてたのか。

すまんな…まぁ自業自得だ。


ドタバタ…


おっ!来たか?


「よっしゃギリギリセーフ!」


ヒデか…ご愁傷様。


「どこがセーフじゃぁ!もっと早よ来んかぁ!必殺チョークマシンガン」


「甘いですよ先生!必殺心眼!」


なに!?あのチョークマシンガンを前にして目をつぶるだと!?


ズガガガガガ!!



うん、全弾命中だ。


「くっ…軍曹よ…あ、後は頼んだ…」




「任せてください曹長!俺に任せ…痛い!ちょっ!タンマタンマ!」



勢いよく出たはいいが、チョークの餌食となっている軍曹(ケン)


「しぶといわねぇ…必殺黒板消しバズーカ!」


「ぐはっ!お、俺の髪の毛がカラフルに…」



あ〜黒板消し掃除してないから、頭がすごいことになってる。

よくやるよな、あれ。



「とっとと遅刻届け取りに行きなさい!」


「「アイサー…」」



2人はチョークの粉だらけの顔面で職員室へトボトボ歩いて行った。



「はい、今日の予定は…」


何事もなかったようにいつものニコニコ顔に戻り今日の予定を説明していく白石先生。


今日も平和な朝だったな。












そして昼休み。

俺たち5人は外庭で昼飯を食べていると…



「お邪魔してもいいかしら?」


唐突にリオとレイ登場。


「いいよっ!ささ、リオちゃん俺の隣へ…」


「隣いい?ノブ」


見事にスルーされたな…ケンは


「ちょ、ちょっといきなりなによ!」


ミナはなんか怒ってる…のか?


「ああ、この前護衛してるって話したリオだ。」


「新城莉央です。よろしく」


自己紹介しながら俺とケンの間に座るリオ。なんか緊張するな…


「よ、よろしく…って何でノブの隣に!?」


「あら?何でダメなの?あなたノブ君とどういう関係?」


「……っ!あんたもニヤニヤしてんじゃないわよっ!」


「す、すいませぐほぁ!」


またもや、拳が飛んできた。

なんか今日殴られてばっかり。



「うわ、リアルな修羅場だ」


「修羅場だね〜」


「昼ドラ観てるみたい」


「なんだかんだ言って俺の隣に座ってるじゃん。素直じゃないなぁ」



なんのことかわからんが、ケンが的外れなこと言ってるのはわかった。









そして放課後。

ミナとサキは部活に行ってまたいつもの5人で下校。



「昨日みたいに何があるか分からんからな、気を引き締めていくぞ」


「お前が言ってんじゃねえ。昨日真っ先に逃げたくせに」


「なんのことだ?さあ行くぞ」



ダメだ…こいつは本物のバカだ。昨日のことなんてきれいさっぱり頭から抜けてやがる。なんでこんな奴がうちの高校に受かったんだ?結構偏差値高いんだけどな。


そうしてゆっくりとチャリをこいでいると昨日ヤンキー共と遭遇した場所に着く。

やはり何者かの気配がある。


「気をつけろ。またいるぞ」


俺は気付かれないように小声で注意を促す。


「マジか…帰っていい?」


「私いる意味ないよね?帰ろうかな…」


「よし。このケン様に任せなさい」


「やだ、怖い…ノブ君守って」




四者四様の反応を示す。ヒデはだるそうだし、レイも帰りたそう、ケンは口だけで、リオは俺に後ろから抱きつく。

ん?抱きつかれてる?

ヤバいって、そのスタイルで抱きつかれたら当たる物当たって、俺のかわいらしいムスコが凶暴化してしまうじゃないか!

ちなみに俺とリオは2ケツしている。

登校は歩いて来ているらしい。

まだ4月だから学ランで隠れるから良かった。夏だったら大変なことになるところだった。


そんなアホなこと考えているとゆっくりと短ランのいかにも不良ってな感じの男が曲がり角から現れた。どうやら待ち伏せされていたようだ。

しかし、昨日より多い人数で来ると思っていたが、今日は原付バイクに乗った昨日のリーダーのリー君1人だ。

なんか拍子抜けだな。

「よう、また殴られにきたか?」


「違う。オカのアニキから呼び出しだよお前ら。着いて来い」


挑発に動じることなく機械的に俺たちを連れていこうとする。


「どうするの?」


「行くよ。こういうのは元を絶やさないとな」


向こうから来るとは願ってもないチャンスだ。戦力は整ってるし、一気に潰してやろう。


「じゃあ俺たちはこれで」


「私も帰ろっ」


「あっ!待てお前ら」


ヒデがレイと逃げやがった。あいつ…

俺1人でやれってか


「おおお、俺はにに逃げないぞぉ」


こいつは頼りにならんし。

リオを守りながらだったら厳しいな…


俺たち3人はリー君に着いていく。大通りからはどんどん逸れて、海辺の廃工場が立ち並ぶ不良のアジトにはもってこいの場所だな。


「ここだ」


そしてNo.13と書かれた倉庫に到着した。この中にいるんだな…。


「覚悟はいいか?」


俺は2人に問いかける。


「ノブ君が守ってくれるから平気」


「かかか覚悟なんかと、とうの昔にできとるわわわぁ」




俺はめちゃくちゃ不安を抱えながら、No.13の重い扉を開けた。

別に二十歳になる前にしてもいいような気がします。

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