1-3 お酒とタバコは二十歳になってから!
ども、ノブっす。
リオを護衛し始めてから1週間が経ちました。
でも全く何も起きないし誰も来ません。
「なぁ、もういいんじゃねぇか?新城さんの気のせいだったんじゃない?」
ヒデはすっかりやる気をなくしている。
「そんなことはないはずよ。絶対誰かつけてる人がいる」
「んなこと言っても現に1週間何も起きてないんだし。俺らも暇じゃないし」
「そんなことはないだろう!?
ヒデよ!お前は彼女もいない暇人だろうが!」
「お前もな」
「俺は今から作るんだよ!ね〜リオちゃん」
「ごめんなさい。迷惑かもしれないけど…ノブ君これからもお願いできる?」
リオは上目遣いで頼んでくる。ちょっとそれ反則だろ…。
「あ…うん。」
「ほら、ノブも言ってる」
「お前自分がシカトされたこと気にしないんだな…」
「え?」
「もういい…めんどくさい」
「大変だね、ヒデ」
「あ〜もう。大変だ」
いつの間にかヒデとレイは仲良くなってる。
展開早くね?
そんな他愛のない話をしていると、前からヤンキー5人組が歩いてきて、俺たちに絡んできた。
「おい、そこの女こっちに渡せ」
いきなりかい。
絡んできたのは真ん中のおそらくリーダー格のヤンキー。身長は俺ぐらいでしかも俺より横に太い。
「それは無理だ」
ここで簡単に渡したら俺たち何やってんのかわからんしな。
「いいから渡せ、岡アニキの命令だ」
「渡さなかったら?」
「力ずくで奪いとるまでだ!!」
5人組のリーダー格がメリケンサックをつけて俺に殴りかかってくる。
「くそっ!」
俺はそれを間一髪でかわし叫ぶ。
「おい!ケン、ヒデ加勢してくれ!」
「無理、俺は一般人だ。頑張れ」
ヒデの非情な一言。後で覚えてろ!
ケンは…
いねぇ!逃げやがったな!
後で死刑だ!
リオは怯えてるし、レイも戦力として考えないほうがいいだろう。
なら俺1人でやるしか…
「なにをゴチャゴチャやっとんじゃ!」
リーダーのリー君(ネーミングセンス良いだろ?)が思いっきり殴りかかってくる。
甘いな、モーションが大きすぎて腹ががら空きだ!
ドコ!
鳩尾に一発入れると、リー君は崩れ落ちた。
「李君!」
他のヤンキーどもがリー君の周りに集まる。マジでリーだったのか…
「オラ!来いよ!お前ら如き俺1人で十分だ!…ってかぁ?」
「んなこと言う暇あったら手伝ってくれ!」
「やだよめんどい」
ヒデを一発殴ってやりたい気持ちを抑えて、前の敵に向かう。
−−−−
「大丈夫なの?ノブ君」
「あの程度だったら俺が行かなくても余裕だよ」
俺は心配そうな新城さんを落ち着かせようとする。
「でも…」
「大丈夫だって。見てみ?」
ノブは残りの4人を蹴散らしている。
中学時代でも思い出してんのかね?
「すごいねノブ君」
レイが感嘆の声を漏らす。
「あいつ中学んとき荒れてたからな〜。おかげで俺もとばっちりをよく受けたよ」
「とばっちりって?」
「俺らが1年のときあいつが3年にケンカ売って一緒にいた俺もボコされそうになったこともあったなぁ…」
「そ…そう。ヒデって苦労人だね。」
苦笑するレイ。
全くだ、あの時のこと思い出すと…
俺は平和主義者だってのに。
「でも今のノブ君からは想像できないね」
「まぁ、ちょっとしたきっかけで変われるもんなんだよ」
「きっかけ?」
「俺からは言えんなあ」
「なんでよ〜!?」
レイは不満げだが俺の口から言っていいのかわからんしな。
「ノブ君強い…格好いい」
新城さんもかわいそうに、あいつは彼女作るつもりなんてないのに…
ノブはヤンキー共の攻撃を喰らうことなくどんどん倒していく。
また強くなったな〜親友として俺は嬉しい!
お、最後の1人の胸倉を掴んだぞ。
「おい。リオをつけてたのもお前らか?」
「そ…そうだ」
「何故リオをつけてた?」
「岡アニキが連れて来いって…」
「なんで?」
「し…知らねえよ。アニキは俺ら下っ端には何も言わねえし」
「そうか…」
ノブはそのヤンキーにとどめをさしてこっちに来た。
「お疲れ、ケンカ後の一服どう?」
「止めろ。せっかく禁煙してんのに」
「あぁそうだったな…悪かった」
中学んときはヘビースモーカーだったから禁煙はさぞかし大変に違いない。
俺は無理だからしないけど。
え?未成年じゃないかって?うん。未成年の喫煙は身体に及ぼす影響が大きいから吸っちゃいかんよ?
俺はもう手遅れ。「ヒデ煙たくなるって」
「やっぱ吸っちゃだめ?」
「だめ」
「レイは厳しいな…」
苦笑する俺。
正直ニコチンが足りんくてイライラする。
「ヒデはなんで煙草吸うの?」
「ノブのとばっちりその2だ…」
嫌みったらしくノブに言う。
自分だけ禁煙成功しやがって。
「俺のせいにすんなよな。お前も禁煙すりゃいいじゃん。煙草なんか吸うから身長止まるんだろが」
「そう簡単にはいかないだよなぁ〜。それと身長は関係ないだろ!」
失礼な奴だ!全国の低身長のみなさんに謝れ!
「それはともかくこれからどうするの?私をストーカーしてる人たちの正体は分かったけど…」
新城さんにそれはともかくって流された!悲しっ!
「このリーって奴に岡の居場所を吐かせて、俺らが乗り込む」
「無茶だ…いくらなんでもお前1人じゃ…」
「俺らって言ったろ?お前も来るんだよ」
「やっぱお前1人で十分だろ。あっ!俺用事思い出したから帰るわ〜アハハ〜」
冗談じゃねぇ!もう俺はケンカしたくない!バレたら色々めんどいし。
さっさと帰るか…
「待てや」
「ぐへぃ!」
ノブの奴後ろから襟掴みやがった。ちょっと!締まる!ギブギブ!
「止めてあげなよ?苦しそうじないの?」
苦しそうじゃなくて苦しい!
「だめだ。離すと逃げる」
「分かった!逃げないから話せ!」
「本当だな?」
そう言って手を離す…
チャンス!
「じゃっ俺はこれでバイバ……ぐへぃ!!」
ちょっ!強いって…
観念した俺は抵抗を諦めた。
ノブはリーを起こして岡の居場所を吐かせようとしたが、リーも他のヤンキー共も一向に起きないので、今日は家に帰ることにした。
ってか最後まで残った奴にとどめささなかったらよかったんじゃ…ま、いいか。
「今日もありがとう。またしばらくお世話になるわ」
「いやいやいいって。じゃあな」
ヘラヘラすんな、新城さんかわいいからやってんだろ?
トラウマも克服できてねぇのに、期待させるだけさせといて終わるつもりかこいつ…
俺にもそういうのがあったらいいのにな。
「ヒデ、レイ。またな」
「おう」
「また明日〜」
ノブとわかれてレイと2人で帰る最初は2人で帰るのには抵抗があったけどもう慣れた。
この娘話しやすいしね。
「元ヤンのノブ君と仲が良かったってことはヒデも中学時代は不良だったの?」
「まぁ…そうなるな」
「アハハ、なんかそんなイメージないな〜、じゃあケン君も?」
「いや、あいつとは高校で知り合った」
「へぇ〜」
こんな感じで話しながら帰ってるともうレイの家に着いた。ちゃんと家まで送る俺って紳士だよな〜。
「じゃあね…あっ!そうだ、メアド交換しよ?」
「おう、しよう」
努めて冷静に切り返す俺。
交換が終わって
「じゃっ。暇なときにいつでもメールしてね」
「うん。バイバイ」
レイは笑いかけてくれたので俺もなるべく自然に笑い返す。
レイと別れて俺はUターンして自分の家へ帰る。
困った…俺メール苦手なんだよなぁ…。
もちろんメアドくれたのはうれしいけどね。
お酒とタバコは二十歳になってからです!