1-1 万事団始動
前の連載ほったらかして新連載始めました(笑)
前のは気が向いたら更新します…
「なんでも部を作ろう!!」
「は?」
唐突にそんなことを言い出すのは俺の腐れ縁の中田健吾。
「だから、なんでも部。あっ、気に入らなかったら万○屋でもスケ○ト団でもなんでもいいぞ」
「いやそういう問題じゃない。てかお前ジャンプ読み過ぎ」
以前こいつの部屋に行ったときに俺は絶句したのをよく覚えている。
四方八方ジャ○プで埋め尽くされた部屋なんてそうそうあるもんじゃない。
「いいじゃん勝手に作れば?」
今まで黙っていた少し小柄な小出秀康がどうでもよさげに言う。
「何を言っているのだい?貴公らも部員であるぞ」
なんかイラッときた。
「まだ創部してるわけじゃないだろう」
ヒデは心底迷惑そうな。顔をしている。
俺だって迷惑だ。
「いや、もう許可は取ってある…これを見ろ!!」
自慢気に言い放ったケンは一枚の紙切れを俺たちに見せる。『万事団を正式に同好会として活動することを認める
高城高校校長 よっちゃん』
よっちゃん!?あの堅物校長が自分のことをよっちゃんなんて書くわけがない。
こんな紙切れ偽物に決まってる。
「全くふざけるのも大概にしろ。けーるぞ、ヒデ……ヒデ?」
「よっちゃん直々か…こりゃあ参ったな」
なんか言葉を失ってます。
帰りたいんだけど。
「よっちゃんの命令なら入部するしかないか…」
ヒデは諦めの表情を浮かべながら溜め息混じりに言った。
なんでそんな顔してんの?
「おい、お〜いヒデ。けーるぞヒデ」
「ノブ…お前この紙が目に入らんか?」
「………目には入んねーな…痛いし」
ちなみにノブとは俺だ。本名は大島信義。
「そうじゃねーよ。お前正気か?」
む、せっかくボケたのに流された…
なにやらさきほどのやる気のなさから一変。真剣な顔つきのヒデ。帰りたいんだけど。
「いや、正気だけど」
「お前…よっちゃんの命令を無視すると………ヤられるぞ」
「何を?ナニを?つーか認めてくれただけじゃないの?強制じゃないだろう」
帰りたいんだけど。帰ってナニしたいんだけど。
「校長の命令には絶対服従。これ、校訓だ」
ニヤリと笑うケン。
「マジで作っちゃったの?」
「マジだ。それに部員登録もしてある。俺たち3人のな」
「なんで勝手に俺を入れんだよ!!嫌だ絶対入んねぇ」
なんでこんなめんどくさいことをしなくちゃなんねーんだ!!俺は忙しいんだよ!!家帰ってナニとかナニとかナニとかしなくちゃなんねーのに!!…あれ?俺の青春ナニだけ?
だったら入っても…
いやいや負けるな俺。大体こういうのは男2人に女1人だろう。なにが楽しくて男だらけの3バカトリオで人助けとかしなくちゃならんのだ。むさ苦しくて依頼人来んわぁ!!
「つーことで入らん」
「どういうことだよマイフレンド」
バカなケンにはテレパシ−は通じなかったらしい…
「まぁいいじゃん。放課後に部室でだらだらしてたらいいんだろ?」
ヒデが人事のような言い方をする。
「依頼人が来たときは働かなきゃいけないんだろう?めんどくさい」
「こらっ!!ノブ!!めんどくさいとか言わないの!!めっ!!」
お前が一番めんどくさいよ、ケン。
帰りたいんだけど。マジで。ナニしたいんだけど。マジで。
「まぁ…もう活動スタートしてんだよなぁ。
ここ、万事団の部室だし。いつ依頼が来てもおかしくないだよディアマイフレンド」
じゃあここで依頼が来たら早速部活スタート?
「冗談じゃねぇ。帰る」
と吐き捨て…いつの間にか部室になっていた我らが2−1の教室のドアを開けると…。
「あの〜。万事団ってここですか」
そういっておずおずと問い掛けるセミロングの美少女。
身長は一般的な女子高生。人の良さそうな柔和な目におっとりとした感じの良い声。体つきはちょうどいい感じの凹凸が…ゲフンゲフン。
「おぉ早速の依頼人じゃないか〜。まぁ座りたまえ。八ハッハ」
最悪のタイミング…
そしてケン、お前何キャラだ。笑い方ミスってるぞ。
「2−4の古河玲です。私の親友のリオが最近下校するとき背後に人の気配を感じるって言ってるんです…ストーカーじゃないでしょうか」
「リオって2−4の新城莉央のこと?」
ヒデが古河さんに聞く。
「はい。」
新城莉央…容姿端麗、頭脳明晰で親はどっかの社長のお嬢さん。しかも胸まで…ゲフンゲフン。
「しばらくの間リオの下校を警護してくれませんか」
警護か〜ベタな展開になってきた。
「わかったよ〜。よろこんで。んで、リオちゃんどこいるの?」
ケンの鼻息が荒い。大方いきなり学年でトップクラスの美少女が絡んだ依頼だから舞い上がっているんだろう。わかりやすい奴。
「リオはもう今頃自転車置き場に…」
「待ってろ!!愛しのリオちゃん」
飛び出して行くケン。
呆気にとられる古河さんに何もなかったかのようにヒデが問う。
「そういやどうして新城さんが依頼してこないの?」
確かにそれは俺も思っていた。
普通は本人が依頼するもんだけどたな。
「リオは護衛なんかいらないって…でも私、心配で…誘拐とかされたらと思うといてもたってもいられなくて」
心配そうにそう言う。よっぽど仲がいいのかお人好しなのか…
「まぁ俺たちに任したら大丈夫だ。行こう古河さん」
古河さんを促しヒデは出て行く。偉そうなこと言って。これが初仕事なのに。
「お前も来いよ」
「わかったよ行けばいいんだろ」
正直気は進まないが、古河さん可愛いし、何よりお嬢さんにお近づきになりたいから仕方なく一時的に入部してやろう……なんだよ悪いかよ。
こうして俺たちは自転車置き場に向かった。
週一更新が目標です。(多分無理)