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異世界宇宙戦艦の大家さん  作者: 井上尭彦
戦闘詳報第三号 異界接触編
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宇宙戦艦の集団面接

 俺の返事に答えるように重々しい両開きのドアが開いてカスミを先頭に数名の女性が執務室に入って来た。彼女らは背格好も服装も各々異なるが見目麗しい若い女性の姿であるという一点が共通している。


 23世紀に至っても性差別に厳しいという状況は俺が地球で過ごして居た時分と変わらず、彼女らAIを男性から見ていかにも美しい容姿の女性で統一するということには色々と議論があったようだが21世紀初頭のレトロなゲーム雰囲気を尊重するという建前で乗り切ってこのような素晴らしい結果となったのである。

 カスミやマミヤがそうであるように彼女らも姿は『軍これ』内に登場するキャラクター(通称:軍娘(ぐんむす))とは全く異なり全員外見は十代後半から二十歳前後の美女である。別に俺はババァ……もとい少々お年を召した女性とか初等教育児童にしか興味がないとかいう倒錯した性癖を持っているわけでは無いので問題ない。


 などという考えはおくびにも出さずに重々しい感じで椅子に深く座りながら観察していると入室した面々は整然とした様子で横一列に並び、カスミがその前に一歩出て俺に告げた。


「マスター。

 追加要員として招集したAI七名全員出頭致しました。ご命令に従い現在我々が置かれている状況については既にインプット済みです。今後、我々の任務を遂行するにあたりお目通りを兼ねましてご挨拶させていただきます」


「よろしい、許可する。

 それぞれ名前と所属を述べよ」


 と自分でも何様だよと思わんでもないが不本意ながらこの艦のトップであらせられる俺としては円滑な組織運用のため、ある程度の威厳を保つために大仰な感じで答えた。


 それに応じて右端の女性が進み出てカスミの横に並んで俺の前に来ると

 

「マスター。お初にお目にかかります。

 私はヒュウガ級宇宙戦艦一番艦『ヒュウガ』の航海科航海長兼操舵員長AIを務めさせて頂いております"オオヨド"と申します。主にこの艦の航行制御全般を担当しております」


 と敬礼しながら自己紹介をした。

 見た目は肩より少し長い黒髪で理知的な感じの美人である。胸は普通……全体的に中肉中背で白い旧日本海軍の第2種軍装に似た衣装に身を包み金モールを合わせた格好はいかにもできるキャリアウーマンという感じであった。


「うむ」


 俺はいかにも上位者であるように振る舞ってそう短く答えた。

 彼女は一礼をすると踵を返して列に戻り、次の者が続けて俺の前に出て自己紹介をする。


「私はヒュウガ級宇宙戦艦一番艦『ヒュウガ』の砲術科砲術長兼射撃指揮官AIを拝領しております"タマ"と申します。この艦の艦砲及び火器制御を担当しています」


 オオヨドとは対照的に黒の旧日本海軍第1種軍装に身を固めた女性が敬礼する。髪はこげ茶のショートポニー、背丈はこのメンバーで最も低く全体的に小ぶりで整っている顔もやや幼く見えるためにその軍人然とした態度も子供が背伸びしているようにも見えてなにやら微笑ましい感じがした。


「私はヒュウガ級宇宙戦艦一番艦『ヒュウガ』の通信科通信長兼情報分析官AIの"ハツシモ"です。この艦の通信及び情報分析を担当しています」


 俺より若干背が低い位の女性が腰の辺りまで伸ばした濃いグレーの髪をなびかせながら敬礼する。服装は海上自衛隊の演奏会などで使用する女性用演奏服装でこの面々では唯一スカートを着用している。今にも眠りそうな感じで瞼を伏せていて顔には柔和な感じの微笑を浮かべ全体的に温和な雰囲気を漂わせている。


「私はヒュウガ級宇宙戦艦一番艦『ヒュウガ』の飛行科飛行長兼飛行部隊指揮官AIを任されております"アキヅキ"です。この艦の航空兵器指揮・統制を担当しています」


 そう告げた女性は背丈は俺と同じくらいだが細身で髪がやや色素が薄い茶色の少し癖のあるショートかつ中性的な容姿なので美少女というより美少年だった。着ているのは海上自衛隊の白い男性用の常装第三種服装である。敬礼しながらにっこりと微笑まれると背景に無数の薔薇が浮かんでくるようでこちらもなにやらイケナイ感じになりそうでヤバかった。


「私はヒュウガ級宇宙戦艦一番艦『ヒュウガ』の陸戦科陸戦長兼警備指揮官AIの任に就いております"アサシモ"です。この艦の陸戦隊指揮及び艦内警備を担当しています」


 俺より頭一つ大きい女性が俺を見下ろしながら敬礼姿で答える。全体的に大きいが肉感的でグラマーだと言ってもいい。おっぱいデケえ。髪は腰まである茶色がかったくせのある赤毛の長いポニーテールで歯を見せながら快活そうに笑っていた。腰には軍刀を携えカーキ色の旧日本海軍第3種軍装という出で立ちでいかにも部隊を率いる偉丈夫という印象だ。


「私はヒュウガ級宇宙戦艦一番艦『ヒュウガ』の機関科機関長兼工作科工作長AIを担当している"アカシ"です。この艦の機関長及び艦内設備メンテナンスを担当しています」


 今度は普通の女性位の背丈の少女がお辞儀してそう告げた。見た目は女子高生っぽく可憐な文学少女のようで黒縁のメガネをかけ、頭に肩までかかる流れるような滑らかな黒髪を頂いている。ウエストに大工のような工作道具を携帯するベルトを巻き、この艦で標準仕様のオレンジ色のつなぎの作業服を身にまとっていた。


「私はヒュウガ級宇宙戦艦一番艦『ヒュウガ』の医務科軍医長兼環境調査官AIに就任している"イスズ"です。この艦の医療及び環境管理を担当しています」


 最後に俺より少し長身の美女が両手を前にそろえて腰を曲げながら頭を下げる。おっぱいが大き……メリハリのある体型で包容力がありそうな緩やか表情をした顔に紺色のウェーブがかったうなじまである髪を揺らしていた。保健室の女医さんのような白衣をベージュのセーターと黒いスラックスの上にまとっている。


 全員の自己紹介が終わると再びカスミが横に整列した各員の前に一歩出て


「マスター。

 13:00(ヒトサンマルマル)、ご指定ありました追加で任務にあたる合計七名のAIについて招集が完了いたしました」


 と告げてこの場を締めた。


 俺は鷹揚な感じで改めて目の前のAI達の顔を右端から左へ視線を移しながら確認すると口を開いた。


「ご苦労。

 俺はこの艦の最高責任者である草壁総次朗(くさかベそうじろう)だ。

 これより諸君は俺の指揮下において地球外生命体調査ミッションに就いてもらう。現在この艦の置かれている状況はカスミより与えられた情報の通りである。太陽系とは通信が途絶した状態ではあるが地球外生命体調査については予定通り遂行する」


 と宣告すると俺は一旦言葉を切って各員の顔をもう一度見回した。

 するとオオヨドが一歩前に出て答える。


「ご命令拝領致しました。

 航海科航海長オオヨド、

 砲術科砲術長タマ、

 通信科通信長ハツシモ、

 飛行科飛行長アキヅキ、

 陸戦科陸戦長アサシモ、

 機関科機関長アカシ、

 医務科軍医長イスズ。

 以上、ヒュウガ級宇宙戦艦一番艦『ヒュウガ』所属AI七名これより当艦最高責任者である草壁総次朗様の命により地球外生命体調査ミッションの任に就きます」


 そう儀礼通りに話し終わるとオオヨド以外の各員も一歩前に出て全員で奇麗に揃って俺に向かって敬礼をした。


 元来、小市民にすぎない俺は内心少しビビりながら座ったまま敬礼を返し、全員が一歩下がったタイミングで告げた。


「よし。それでは続けて今後の地球外生命体調査ミッションについて基本方針を確認するために会議を行う」


 こうして俺は多大な不安を抱きつつ望んだ訳でも無い地球人類として恐らく初めての地球外知的生命体調査組織運用の長に就任したのである。

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