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『Chaos Hero UNIverse』〜厨二で一番強くナルッ!〜  作者: きょうぞう
第1章 ゴスロリは可変大剣と共に
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9 ゴスロリは可変大剣と共に

 怒り心頭なニャミィさん、それ故に銃弾の雨は止まるところを知らない。

 彼女の手にした武器は拳銃だ。だがこの連射速度は余りにも異常だ、マガジンを替えた素振りもない。

 機関銃並みといってもいいだろう。こういうゲームだ、見た目と性能は別と言うことか。


 ナルの身体は小さいので、剣の後ろにいる限りは安全だった。しかしこのままでは埒があかないと思ったのだろう。


 ナルは臆する事なくニャミィさんに突撃した。間合いに入ると、再び手首を返して攻撃する。

 最小の動作から繰り出される最大威力の斬撃。


 防御は不可能と判断したのか、ニャミィさんは空中へと回避した。ナルの頭上を飛び越えつつも、身体を捻って逆さまになりながら発砲する。

 ナルが怯んだ隙にニャミィさんは再び間合いを離した。


 頭と肩に銃撃を受けたナルだが、その手には既に【ヒール】のカードが握られていた。

 傷を回復させつつ、ニャミィさんに肉薄する。


 どうなってんだよ一体。

 目まぐるしく変化する戦況に俺の思考は追いつかない。なんとなく察するだけで精一杯だ。


「しつっこいわねぇ。【ダブル】!」


 ニャミィさんは引いたカードを自分の前方、ナルとの射線上に放り投げる。どうやら二丁拳銃以外の使い方があるようだ。


 対するナルは追撃しながら再び剣を盾にする。

 ニャミィさんの目がギラリと見開く。猫なんかじゃない、あれは獲物を仕留める虎の眼光だ。


 ニャミィさんの銃撃。しかし狙いはナルでは無い、【ダブル】のカードだ。

 打ち出された銃弾はカードを通して二つに分裂する。二本の弾道は弧を描きながら、ナルの両脚を正確に撃ち抜いた。


 勢いがついていたので、ナルは前のめりに転倒した。すぐに身体を起こすが、大剣の届く距離ではない。


 ニャミィさんは後方へと跳ねた。警戒してるのか、更に間合いを離す。

 胸の端末からカードを引くと、慎重に狙いをつけた。おそらく次で仕留めるつもりだ。

 ならばあのカードは恐らく……


「【バスター】」


 カードが銃口の中に吸い込まれていく。


 もうだめだという絶望感。しかしそれ以上に、この悪夢から解放されるという安堵が僅かに上回った。またどデカい一発を貰うのは恐いが、そこは仕方がない。


(マスター)、御安心下さい』


 え? ちょ。


『【コスモ・メビウス】ーー射撃(シューティング)形態(モード)


 両手で抱えた大剣が変形を開始する。中央の溝から剣身が二つに割れると、内臓されていた銃身が姿を現わした。

 柄の部分をくの字に曲げて、割れた溝の間に押し込む。即席グリップの完成だ。


 その間にも、ニャミィさんの銃口が輝きを増している。確実に倒すためにパワーを溜めているようだ。


 ナルは次に鍔の部分、取り分け大きい赤い箇所を開いた。中には自販機や改札にある、カードの投入口があった。


『【ファイアボール】、セット』


 カードを入れて赤い蓋を閉じる。その瞬間、武器全体が激しく震え出した。中央の玉も真っ赤に変色し、燃える様に輝いている。


「バスターカード、チャージショット!」


 ニャミィさんの渾身の一撃。通常の銃撃とは明らかに違う、彗星の様な眩い光弾。

 喰らえば神殿からも飛ばされて、果てのない青空にダイブする事になるだろう。


『フレイムブラスター、シュート』


 ナルも負けじと砲撃を放つ。

 大剣の間からは、まるでマグマを思わせる赤いエネルギーが噴き出した。


 落下する彗星対噴火するマグマ。まるで世界の終わりみたいだが、決して大袈裟なんかじゃない。

 逃げ出したのか、ゲームを辞めたのか。ギャラリーの数も殆ど残っていない。いつしか勝負はそれ程までに危険な状態に突入していた。


 二つの巨大なエネルギーの衝突。想像を絶する爆発が起こり、ニャミィさんもナルもお互いタダでは済まないだろう。


 しかし現実(ゲーム内だが)はそうは行かなかった。


 大剣のマグマは瞬く間に彗星を飲み込むと、勢いを落とす事なくニャミィさんには直撃した。

 着弾した地点を中心に炎の嵐が巻き起こり、逃げ遅れた兵士を取り込みながら周りを焼き尽くしていった。


 神殿の中は一瞬で火の海と化した。

 ある者は逃げ惑いながら火に焼かれ。またある者は恐れから神殿から空へと飛び降りた。


『対象の殲滅を確認、アバター操作を(マスター)に移行します』


 カシャカシャ音を立てながら、コスモ・メビウスは元の剣の姿に戻る。


 俺はしばらくの間、呆然と燃え盛る神殿を眺めていた。砕かれた大理石の柱は割れた床へと倒壊する。

 ふと、無意識に拳を握りしめている事に気がついた。身体の自由が戻ったのだ。


 もう何もする気が起きない、何も考えたくない。


 俺は結局ニャミィさんの教えを無視する事にした。そんな彼女も火の海に消えてしまった。


 腕の端末を掴み無理やり引き抜くと、目の前はすぐに暗くなった。

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