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『Chaos Hero UNIverse』〜厨二で一番強くナルッ!〜  作者: きょうぞう
第1章 ゴスロリは可変大剣と共に
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7 おしえて! ニャミィさん

「カードドロー、【拳銃(ハンドガン)】」


 試合を開始して早々、ニャミィさんは端末からカードを取り出した。変化した拳銃で俺にピタリと照準を合わせる。


 ニャミィさんの端末はちょうど左胸の位置にある。アメリカの警官が肩バンドなどでホルスターを固定しているアノ位置だ。

 ドローと同時に変化させているので、ホントに拳銃を取り出した様に見える。


「あの、ちょっと良いですか?」


 俺は手を挙げて質問した。レッスンなので気になるところで止めて良いと、事前に言われている。


「ハイどーぞ」


「ソレってどうやって手に入れるんですか?」


 俺はニャミィさんの拳銃を指差した。

 ザッと見た限りでも、ここの連中は初心者のクセに色んな武器を持っている。盾に槍に棍棒、魔法も水や雷なんかもあった。


「ソレってコレのこと?」


 ニャミィさんはトリガーをクルクル回す。


「そうです。俺まだ剣しか持ってなくて」


 俺の言葉を聞くと、ニャミィさんは真剣な顔をする。口元に手を当てて、ブツブツ言いながら考え込んでしまった。

 時折、「あー」とか「そっからかぁ」とか聞こえてくる。俺何かマズイ事言ったのだろうか。


「ぶっちゃけると、このゲームの武器や技は全部イメージすれば使えます」


 考えが纏まったのか、あるいは色々諦めたのか。ニャミィさんは満面の笑みを浮かべて答えてくれた。


 折角のステキな笑顔だが、俺は対照的に顔をどんより曇らせた。流石に説明が乱暴過ぎないだろうか。


「ってことは、イメージすれば俺も拳銃出せるんですか?」


「モチロンよ。色、形状、材質、内部構造なんかはより正確に、詳しければ詳しいほど高性能になるわよ」


 やっとこれで合点がいった。みんなが色んな武器を持ってるのはそういう仕組みか。

 しかし俺はゲーム初心者だ。仕組みが分かったとしてもイメージなんか全然湧かない。


「そこでコレを使います」


 俺の不安を察してニャミィさんはドヤ顔で自分の胸、もとい端末を指差した。


「セットしたスマホのデータを読み込ませるのよ。武器の画像とか技の設定を予め用意してね」


 それなら俺でも何とかなりそうだ。使いたい武器の画像を集めるだけならイメージもクソも無いだろう。


「なんかゴメンね。凝ったアバターだったから、知ってるモノとばかり思ってたよ」


 アハハハ。作り笑いで誤魔化す。別にやましい事は無いが、何となくバツが悪い。


「ドロー、【ソード】」


 ともあれ講義は一旦終了。負けるのは確定とは言え、ニャミィさんの前で無様な姿は見せられない。胸を借りるつもりで行かせてもらいます。

 ……いけない、つい胸とか意識するには童貞の悪い癖だ。


 タンッタタン!


 発砲音で身体が硬直する。

 ニャミィさんは銃口を天井に向けていた。さっきのは威嚇射撃だ。


「アラアラ、まーたヤラシイ事考えてたのかしら」


 その目は真剣そのもの。ゆっくりと下ろした銃口を静かに俺に向けた。


「あははは。お手柔らかにお願いします……ねっ!」


 俺は不意打ちよろしくカードを投げつけた。ご存知【ファイヤーボール】だ。


 今日何度も試しては、その度に返り討ちに遭った戦法。しかし今はこれ以上の手は考えつかなかった。


 ()()の火球はニャミィさんを挟む様に弧を描いて飛んで行く。そして俺は中央から剣を握り締めて吶喊した。


 二枚の火球を使用した、三方向からの同時攻撃だ。


「なるほどね。【ダブル】」


 ニャミィさんの二枚目のカードは、またもや拳銃だった。左右に腕を広げると、二丁拳銃の射撃でアッサリ火球を相殺する。


 流れる様な動きで俺の斬撃も受け止められてしまった。銃身とトリガーの間に挟まれて自由が効かない。


 タタタンッ!


 無防備な腹に球を撃ち込まれる。

 痛みこそない……はず。なのに視界が真っ赤に点滅する。


 演出なのか、思い込みなのか、それすらも分からない。ただピンチなのは理解出来た。


「【ヒール】」


 後ろによろけながらも、俺は回復カードを掲げた。これで少しは耐え


「【バスター】」


 みぞおちにめり込む重い衝撃。今までの銃撃とは明らかに違う、大砲のような一発だった。


 吹き飛ばされた俺は神殿の床を削るように転がされる。何かに背中をぶつけて止まる頃には、俺は目を回していた。


「キミ、大丈夫かい?」


 目を開けると数人のモブ兵が俺の顔を覗き込んでいた。他のプレイヤーに突っ込んだらしい。


 身体を起こすと、俺はモブ兵達が只のプレイヤーでない事に気がついた。観客(ギャラリー)だったのだ。

 ニャミィさんを意識していて気が付かなかった。周りの兵士達は戦っていない、俺とニャミィさんを取り囲んで観戦していたのだ。


 目立つ者同士の戦い、こうなる事は理解出来る。理解は出来るけど、これはあんまりでは無いか。


「ふっふえぇ」


 俺はもう限界だ。涙腺の制御が効かない。くそッこんな所までしっかり再現しやがって。

 視界がどんどん曇ってきやがる。


「ううぇええええええええん」


 俺は泣いた。アヒル座りで口を大きく開けて赤ん坊みたいに泣いた。

 こんなのは小学校の帰りでトイレを我慢できずに道で漏らした時以来だ。


 少女の姿で本当に良かった。落ち着いたら端末を外して押入れの奥にでもしまい込んどこう。

 このトラウマもいつかは笑える日が来るといいなぁ。


(マスター)の遊戯意欲低下を確認』


 変なアナウンスが耳に入る。


『対戦相手の総プレイ時間、並びに彼我のランク差を確認』


 無機質な女性の声は尚も続く。チューニにはこんな機能も付いているのか。


『状況から初心者狩りと判断。アバターの主導権を(マスター)より移行します』


 主導権を何だって? 腕を見れば端末が七色に光っている。

 なんだ、何が起きてるんだ? 遂に壊れたのか!?


『人工知能NAL起動』


 とうとう人工知能とか言い出したぞ。周りのモブ兵もザワついてるし、絶対普通じゃないだろ。


(マスター)に勝利を」

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