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『Chaos Hero UNIverse』〜厨二で一番強くナルッ!〜  作者: きょうぞう
第3章 ドラゴンマスター登場!
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23 絶対絶命 ナル 閃光に消ゆ!

 竜と呼ぶにはあまりに(いびつ)、怪物と呼ぶにはあまりに荘厳(そうごん)

 なので今から俺は目の前のソレ、【四大精霊竜(エレメントドラゴン)】を怪獣と呼ぶことにした。


 怪獣の身体の下半分は初めに倒した【大地竜(グランドドラゴン)】そのものだ。そこはまだ普通。

 背中の岩山から向かって右側、真紅に燃える焔の翼が見える。【火炎竜(フレイムドラゴン)】のものだ。対称的に左側には【氷結竜(アイスドラゴン)】の翼が生えている。

 カメの頭の上には左側から氷、風、火のそれぞれの首が伸びていた。

 これを怪獣と言わずしてなんだと言うのか。ここからは見えないが風竜の部分もどこかにあるのだろう。


 文句無しの最大級の強敵、攻撃方法もド派手だ。

 大きく広げた両方の翼から、氷と炎の破片を隕石の如く撒き散らす。

 無数に降り注ぐ攻撃に俺は避けることすらままならない。剣でガードするだけで精一杯だ。


「そこだっ! 狙い撃て」


 グリモの掛け声に合わせて、それぞれの首から(ブレス)が吐かれる。威力も性質も一体の時とはまるで違った。色の着いたビームだ。


 四本同時の一斉斉射。

 熱線は触れたさきから地面を抉った。大地を()きながら俺に迫る。


 幸い草原は地平線まで続いている。俺は剣を捨てると一目散に逃げ出した。


 冗談じゃない、こんなの勝てるわけがない。

 怪獣の相手は自衛隊や巨大ヒーローだと相場は決まっている。ちょっと強いゴスロリ少女では断じてない。


 四本の柱はしつこく俺を追ってくる。

 チラリと振り返ると、風竜の頭の上にグリモが立っているのが見えた。


 安全圏まで逃げた後、思い切り叫ぶ。


「バカーアホー卑怯者ー! そんなデカイの反則だー!」


 小学生並みな罵倒だが、他に言葉が出てこない。それ程までに俺は追い詰められていた。


「そうなんだよねー。初めて見た人はみんなそう言うんだ」


 ムキー!

 余裕綽々といった声が耳に届く。ゲーム内では互いの距離が離れても、会話はある程度可能なようだ。


「モチロン下準備があってのことさ。再召喚(リキャスト)不可、さらに【四大精霊竜(エレメントドラゴン)】の召喚には制限をかけてある

 そう。例えば()()()()()()()()()()()()が必要、とかね」


 ゴガヲオオオオオオ!!


 世界を震わす四竜の咆哮、俺は思わず耳を押さえた。近づくだけで鼓膜が破れそうだ。


 グリモの言う切り札の意味がやっと分かった。

 あの怪物は確かに無敵だ。だが裏を返せば、四匹を失った状態でなければ召喚出来ない。


 杖を警戒するあまり、後手に回った俺のミスだ。知らなかったとは言え後の祭り。


 それでも絶望的な状況とは反対に、俺の心は不思議とワクワクしていた。


 チューニは俺の知ってるゲームとはまるで違う。レベルやステータス、決められた性能なんて無い。

 好きな姿、好きな技でイメージ通りの戦いが簡単に出来る。それは自分の生み出したキャラクターへの理解や愛がそのまま強さに反映すると言うこと。


 グリモはその上で、デバイスを自作するくらいまでチューニとグリモ(アバター)入れ込んでるんだ。

 どこまで言っても奥が深い。


「そりゃあ、強いはずだよ。アンタ」


 不意に賛辞の言葉を口にしていた。


「お褒めに預かり光栄だね……では部屋へ戻ろうか。ニャミィさんに頼まれたのもあるが、君には中々見込みがある」


「まだだ」


「え?」


「まだ勝負はついてないぜ。コスモ・メビウスーー射撃(シューティング)形態(モード)


 俺はカードを引き直し、その場で膝を着いた。メビウスの射程なら十分に届く距離。俺は慎重に狙いをつける。


 グリモの漏らした溜め息が耳に当たった。呆れとも苛立ちとも取れる感情を含んでいる。


「それが意地を張って出た言葉なら聞き流そう。そうでなければ、無謀を超えてもはやボクに対する侮辱だ」


「ごめんよ、悪気は無いんだ。ただこんな機会滅多にないから足掻いてみたくなったのさ」


「君の手札は初期構成のままだ、【ファイヤーボール】に【ヒール】がそれぞれ二枚づつ。結果は見えてると思うけど?」


(マスター)、このままフレイムブラスターと【四大精霊竜(エレメントドラゴン)】の全ての首からの(ブレス)が衝突した場合、威力を相殺できずに(マスター)は消滅します。

 投降することをお勧めします』


 さすがAI、慈悲はない。

 だが俺だって全くの無策ってワケでもない。


 四つの首が俺へと向く、離れていても分かる威圧感。八つの眼から膨れ上がる殺気に、グリモの命令が重なる。


「ならば望み通り、塵ひとつ残さず消滅させてやるーーゴッドドラゴンブレス!!」


 ドラゴンから放たれる四本の(ブレス)。それは俺へと迫りながらも互いに絡み合い、大きなうねりとなって襲いかかる。俺に届く頃にはビームや光の柱などではなくなっていた。

 光の波だ。俺を押し潰さんと打ち寄せる。


 俺はあえてライフルを降ろした。覚悟を決めて、左手のアイコンを見つめえう。


 程なくして俺の身体は輝きに包まれた。

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