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LOVE DAYS  作者: 美環
8/44

最初の・・・。

ラストに15禁あります。


土曜日。育美は予定の時間より十分も早く着いた。

ファーのついた黒のジャンバーに白のタートルネックにジーンズ木地のスカート、その下は黒のタイツに白いブーツ。前回のデート同様、育美は派手な格好で決めてきた。

十分後、駅のホームの向こうから、千里が大急ぎでやってきた。黒いTシャツに赤いジャケット、白いズボンにスニーカー。前回同様、いつもの千里の姿がそこにあった。


「ごめんね、遅くなって。」


「ううん、私もさっききたところなんだ。」


前回同様、育美の嘘は相変わらずだった。


「千里行こ。もうすぐ始まるよ。」

育美は千里の前に手を差し伸べた。千里はちょっと躊躇ったが、すぐにその手を握った。二人は、手を握りながら映画館へ向かった。




二時間後、二人は映画館をあとにして、近くのカフェでお茶していた。


「本当にあれ面白かったよね。」


千里は、クリームソーダを飲みながら言った。


「本当だよね。私ラスト泣きかけた。」


育美はブルーベリームースを飲みながら言った。


「この後どうする?まだ時間あるけど。」


「じゃあ、あそこ行っていい?」


二人は会計を済ませると、二人は千里の言うあそこへ向かった。




「ここって・・・。」


「そう、パラダイスランドだよ。」


二人が立っている所は、カップルに人気のパラダイスランドだった。


「千里もしかして、あの話聞いてたの?」


「うん、実は・・・。」


2ヶ月前、育美は真奈美達と恋について話していた。その時に、パラダイスランドの話が出てきたのだ。


「恋が実るパラダイスランド!?」


当時彼氏がいなかった育美が敏感に反応した。


「そう。そのパラダイスランドで片思いの子が行くと両思いになれて、両思いの子が行くと恋が進展するんだって。」


「いいなぁ。私も行ってみたいなぁ。」


「無理無理。育美が行っても意味ないって。」


「ちょっと加奈。ひどすぎるよ。」




「あの話、信じてたんだね。私、冗談のつもりだったのに。」


「俺、育美さんと付き合ったら、絶対ここに行こうって決めてたんだ。」


すると、千里は、育美の手を引いた。


「行こう、育美さん。」

「・・・・育美って呼んでくれたらいいよ。」


「・・・・行こう、育美。」


「うん、行こう。」


二人は、手を繋ぎながら、パラダイスランドの中に入って行った。




二人は、ジェットコースターとカーレースに二回ずつ乗って、コーヒーカップでぐるぐる回し過ぎて気持ち悪くなったり、お化け屋敷でギャーギャー叫んだり、メリーゴーランドで同じ馬に一緒に乗ったり、子犬ランドで子犬と戯れたりした。


「こんなに遊んだの久しぶり。楽しかったね。」


「うん、すごく楽しかった。」


二人は、園内のカフェでチョコアイスを食べていた。

数分後、二人はアイスのコーンを綺麗に食べ終わると、ゴミをゴミ箱に捨てた。


「次はどこに行く?」


「そうだなぁ・・・。」


二人はどこに行こうか悩んでいた。その時、


「ガッシャーーン。」


店内で何かが割れる音がした。二人は入り口の壁から中を覗くと、店内は何やら騒がしいことになっていた。


「何だ。この不味いスープは!こんなの飲めるかよ。」

どうやら、店で食事をしていた若い男三人が、料理が不味いと文句を言っているらしい。


「申し訳ございません。すぐに代わりのスープをお持ちしますので。」


「はぁ!?こんなスープ作る暇があったらとっとと店畳みやがれ!!」


男は持っていたスープの器をウェイトレスの女の人に投げつけた。


「きゃあああああ。」


熱いスープが女の人の体や顔にかかった。男達がゲラゲラ笑っていると、女の人は泣きながら割れた器を片付けていた。それを見て、二人は黙ってはいられなかった。


「ちょっとあんた。いい加減にしなよ!!」


最初に男達に詰め寄ってきたのは育美だった。小さな体で、大柄な男達に立ち向かう育美は、何かカッコよかった。


「お前誰だよ!勝手に首突っ込んで来るんじゃねえよ!!」


「そんなのどうでもいいでしょう。そんなことより、男三人が女一人をいじめるなんて最低。謝りなよ!!」


さすが育美。男三人に対して怖がるどこか、怠慢を張ってきた。


「うるせー!ガキが割り込んで来るんじゃねえ。」


背の高い金髪の男が、育美の胸ぐらを掴み、壁に投げつけた。


「痛ったー。」


育美は、壁に投げつけた拍子で足首をひねった。

「おい。お前達いい加減にしろ!!」


それを見て、千里がキレた。


「はぁ!?お前も怪我したいのか!?」


ブチキレた男が、千里の胸ぐらを掴もうとしたその時、


「バシャーーー。」


さっき怪我をした育美が、大きなバケツの水を男達にぶっかけたのだ。


「いい加減とっとと帰りやがれ!そして二度とその面見せんじゃねえ!!」


さすがの男達もこれには参ったのか、何も言わずすごすごと帰って行った。


「ありがとうございます。私、恐くて何もできなくて。」


「いえ、私は何も・・・痛っ!!」


育美は、足首をひねってたのを忘れてたため、怪我が更にひどくなったらしい。


「大変!早く医務室へ。」


女の人が、育美を担いで医務室へ向かった。




「大丈夫、育美?」


「平気だよ。それより千里、私重くない?」


「前にも言ったじゃん。育美は軽いって。」

その事件から三十分後、千里は怪我をした育美をおんぶして園内を歩いていた。


「ねぇ、観覧車乗らない?千里おんぶして疲れたでしょ。」


「うん、いいよ。」


二人は観覧車に乗った。数分ぐらい二人は黙っていた。すると、


「育美、ごめんな。俺、育美のこと守れなくて。」


「千里は悪くないよ。ただがむしゃらにぶつかってった私が悪いんだから。」


すると、千里は育美の手を握った。


「俺、弱いけど絶対育美のこと守ってやるから。もう絶対育美を怪我させないから。」


「・・・・千里は十分強いよ。」


すると、千里は育美に近づき、そっと育美にキスをした。育美は突然の出来事に目をぱちくりした。数分間、二人はずっとそのままだった。すると、千里の唇が離れた。


「これ、初めてだよな。」


「うん・・・・。」




こうして、二人の初めてが幕を閉じた・・・。

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