番外編3〜育美、五歳。最悪男との出会い〜
「LOVE DAYS」の番外編第三段。育美の嫌な過去を公開しつつ、育美の誘拐事件の続きと繋げたいと思います。m(_ _)m
私は夢を見ていた。とても懐かしく、そして最悪な・・・。
私は当時、五歳だった。普通の幼稚園に通うごく普通の女の子だった。あいつが来るまでは・・・。
七瀬は、私が年中組の時に引越して来た。その時にあいつは私にひとめ惚れしたのか、すぐに私に近づいて来た。
「俺、篠崎七瀬。よろしくね。」
「私は緒形育美。よろしくね。」
その時の私は、異性のことには何も思わず、普通に話しかけていた。しかし、今思うとそれが間違いだったのかもしれない・・・。その日から、あいつは私にべったりになっていた。
「育美、おはよう。」
「育美、一緒に遊ぼう。」
「育美、お弁当美味しいね。」
「育美、一緒に帰ろう。」
七瀬は一日に何度も何度も『育美、育美。』だった。他の女の子には目もくれず、育美にぞっこんしていた。まるで私は、七瀬に全てを監視されているようだった。
そうして過ごしている内に、私は幼稚園を休むようになった。七瀬がいると息が詰まりそうだった。お母さんに嘘をついてまで必死で休みたいと言った。しかし、さすがに何日も休むと怪しまれるので、時々行くしかなかった。七瀬は、私が幼稚園を休んだ分、徹底的に付きまとってくる。
幼稚園の先生に相談してみたが、『七瀬君は育美ちゃんのことが好きなんだから。
』と言って、全く相手にされなかった。
思い余った私は、車に跳ねられて死のうと決意した。
もう、こんな生活送りたくない。あいつといるのが苦しいと言って、バイクに跳ねられた。幸いにも、足の骨を折る程度で済んだ。事情を知った七瀬の両親と幼稚園の先生は、泣きながら謝罪をした。しかし、どんなに謝っても七瀬はなんとも思ってない。自分のしたことが悪いことだと言うことに気づいていないのだ。
そして一ヶ月後。七瀬の家族は遠い所に引越すことになった。七瀬は、引越しの日に私の家に来てこう言った。
「また、育美に会いに行くからね。」
「いやああああああ。」