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LOVE DAYS  作者: 美環
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育美、誘拐事件!?


それから三日後。千里は育美と帰ろうと席を立つ。すると、


「桜井君。ちょっといいかな?」


千里は七瀬に呼ばれる。千里は少し警戒するが、すぐ様七瀬の後をついて行く。千里の前を歩く七瀬がニヤリと笑う・・・。




屋上に着くと、七瀬は千里に言った。


「桜井君ってさ、育美と付き合ってるんだって?」


「えっ・・・そうだけど・・・。」


すると、七瀬がいきなり千里に殴りかかってきた。七瀬の拳が千里の頬を捕らえた。千里は硬いコンクリートの地面に倒れる。


「な・・・七瀬君。どうして?」

千里は赤く腫れた頬を抑えながら、七瀬に言った。すると、七瀬は千里の肩を踏み潰す。千里の肩がゴキッと鈍い音がするのがわかった。


「お前が育美の彼氏だって聞いた時からムカついてだんだよ。お前みたいに弱っちい奴が、育美にノコノコと近づくのが。俺はずっと育美だけだった。なのに育美は俺から離れようとする。それは、お前がいるからだ。お前がいる限り、育美は俺のものにならない。お前が消えない限り育美は・・・。」


そういうと、七瀬は千里に殴りかかる。狂ったように何度も何度も。千里は必死で避けようとするが、七瀬の拳が止むことなくくるため、千里は避けきれず、何発が殴られる。力が強すぎて、千里は立つことすらできなくなる。しばらくして、千里はついにノックアウトしてしまった。身体中痣だらけで失神している。そして、七瀬は千里の頭を蹴る。


「お前はずっとここで寝ていろ。育美は俺がもらっていくからな・・・ハハハハハハ。」


七瀬は笑いながら、屋上をあとにした。


まだ辛うじて意識があった千里は、横たわれながら動く。


「い・・・育美・・・。逃げ・・・ろ。」


千里は再び気を失ってしまった・・・。





その頃、育美はまだ教室にいた。千里は来るのをずっと待っているのだ。


「千里、どこにいるんだろう?」


育美は何度も電話をかけてみるが一回も電話に出ない。それもそのはず、千里は屋上で気絶しているのだから。その時だった。


「育美。」


育美は千里が来たと思い、入り口の方を見た。しかし、期待とは裏腹にそこにいたのは七瀬だった。


「なんだ七瀬か。何の用?」


育美は不機嫌そうな声で言った。育美は真奈美にメールの返信をしようと携帯をカチカチと動かしていた。


「あのさ、今日一緒に帰っていいか?」

その言葉を聞いた瞬間、育美は一気に凍りつく。


「はぁ!?何であんたなんかと。だいたい、私は千里と帰るんだから。」


そういうと、七瀬はいつもとは違ってどすの効いた声で言った。


「あいつはいないよ。だって、俺が殺したんだから。」


「カシャーーーン。」


その言葉の直後に、育美は携帯を落とした。携帯の地面に落ちる音が教室中に響く。


「七瀬・・・今なんて・・・んぐっ!」


言った。と喋る前に、育美は口をハンカチで塞がれる。七瀬の仕業だ。育美は必死で抵抗するが、押し付けられたハンカチにはクロロホルム(麻酔用の薬品)がついており、その匂いで意識が朦朧としかけているのだ。しばらく格闘するも、育美はクロロホルムの匂いにやられ、その場で眠ってしまった。


「寝顔も可愛いね、育美。」


そういうと、七瀬は育美をお嬢様抱っこして学校の外へと運ぶ。そして、外に出ると用意してた車に育美を乗せる。


「爺、すぐに例の場所に行け。」


「はい、坊っちゃま。」


七瀬は執事の爺に命令すると、爺はすぐ様車を走らせた。七瀬は育美の横に座り、育美のふわふわの髪をサラリと撫でる。


「ずっと一緒にいようね、育美。」




「桜井君、桜井君起きて!!」


千里は、はっと目を覚ます。千里は保健室のベッドにいて、顔中絆創膏だらけだった。千里の横には、真奈美と加奈がいた。


「佐藤さん、木村さん。どうして?」


千里はベッドから起き上がると、二人に理由を聞いた。すると、二人の話によると、二人が屋上に来た時、千里が倒れていたので、保健室に運んだのことだ。


「そうだ。育美は・・・育美は見なかった?」


「育美?いや、見てないけど。あ、教室にこれが落ちてだんだ。」


そういうと、真奈美はポケットの中から何かを取り出し、それを千里に渡す。それは、熊の携帯ストラップ・・・育美のものだ。育美がクリスマスの時にお揃いにしようと言って買った大事なものだ。


「ねぇ、桜井君。育美がどうかしたの?」


「実は、篠崎七瀬が俺に殴りかかって来たんだ。育美は俺のものだと言って、俺がいる限り育美は俺のものにならないって言いながら。」


「そういえば、朝学校に来る時、校舎の裏に変な車があるの見た。多分、七瀬の車だと思う。あいつ、確か金持ちだって聞いたことあるから。」


千里は急に青ざめた。


「やばい。急がないと育美が危ない。ねぇ、あいつどこに行ったかわかる?」


千里は真奈美の肩を掴みながら言った。


「さぁ、わからない。私達、桜井君を運ぶのに精一杯で。」


その時、真奈美の携帯が鳴り出した。真奈美はポケットの中から二つ折りのピンクの携帯を取り出し、画面を見た。


「桜井君、さっき友達があの車を見たって。それでその中に七瀬と育美が乗っていたんだって。」


「何だって!!!」


千里は勢いよく起き上がる。


「それで、その車どこに行った?」


「えーと、川崎工場の方に行ったって。あそこはとっくに潰れていて、人は誰もいないって。」

川崎工場・・・。あそこは俺も知ってる。育美と電車に乗ってる時、何度も見たことある。


「俺、育美を助けに行って来る!!」


そういうと千里はベッドから出て、保健室を出ようとする。


「待って。桜井君怪我してるでしょう。無理しちゃ駄目だよ。」


「・・・俺には育美しかいないんだ。育美は俺にとって全てなんだ。育美が助かるなら・・・俺は命なんかいらない。」


そう言い残すと、千里は保健室を勢いよく飛び出し、走り出した。


「育美、いい彼氏持って幸せだね。」


「うん。育美、あんたの目は正しかったよ。」


真奈美と加奈はただ、千里の勇姿を見届けるしかなかった・・・。




育美、待ってろよ。必ず俺が助けるからな。そして、俺は言うよ。育美と・・・結婚するって!!

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