ムカつく三大要素
「この、エロ男爵がーーー!!!」
扉の向こうから、育美が何度も聞いたことのある声。真奈美の声だ。
「ドッカーーーン!!」
真奈美は持ち前の
「鉄の脚」で、鍵がかかった扉を勢いよく壊した。
「このエロ七瀬!育美を汚すなんて百年早いんだよ!育美に手を出す奴は、この親友の佐藤真奈美と育美の彼氏の桜井千里が許さないからね!」
そういうと真奈美は、育美をおんぶして倉庫を出ようとした。
「あと、ムカつく奴の三大要素は・・・ナルシスト、自己中、スケベだから。そこんところ、よく注意した方がいいよ。」
真奈美はそういうと、そのまま屋上をあとにした。
「桜井千里・・・。そいつが育美の彼氏・・・。」
七瀬は立ち上がると、側にあったバケツを思い切り蹴飛ばした。
「許さね・・・。育美は俺のものだ・・・。誰にも渡さない・・・。」
七瀬はワイシャツを着ると、屋上の前に立つ。
「育美・・・好きだよ。」
七瀬はフェンスの網目をギリっと強く握りしめる。
「育美・・・大丈夫?」
育美と千里は先生のいない保健室にいた。千里は育美に飲み物を与えるが、育美はお地蔵のように固まっていた。七瀬の強引な行為に怯えているのだろう。千里はどうしていいのかわからず、そっと育美を抱きしめた。
「大丈夫だよ。育美は俺が守るから。」
「・・・千里・・・。」
育美は涙声で言うとそのままわんわん泣き出した。千里は慌てることなく、ただ育美が泣き止むのを待っていた。
このあと、一人の女の子を巡って恐ろしい事件が幕を開けようとしていた・・・。