表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LOVE DAYS  作者: 美環
30/44

夜の学校はお化け屋敷

今、育美の学校で制服のお洒落が流行っていた。制服自由な育美の学校で特に女の子の割合が高い。制服のブレザーは人気のブランドのもので、リボンやネクタイは柄ものやピアスをつけたもの、スカートは赤チェックが人気でスカートの端っこにチャラチャラしたチェーンをつけたもの等があった。


男子は不良やチャラチャラした奴らがする程度であとの男子は普通の制服の着方で過ごしている。


あともう一つ、育美の学校で流行っているもの。それは・・・


「学校の七不思議!?」


放課後。育美と千里は近くのCDショップでCDを買いに来ていた。その時、育美が女子の間で流行っている学校の七不思議を千里に話していた所だった。


「そう。今日の昼休みに加奈が教えてくれたんだけどね、十年くらい前にあるカップルが学校の屋上から飛び降り自殺したんだって。なんか二人の間でトラブルがあったらしいって。それ以来、二人の命日である一月十日に学校の屋上に行くと死んだ二人が殺しに来るって・・・。」


育美はいつの間にか幽霊のポーズをとって千里を威かしていた。


「へぇ、そりゃ怖いね。」


育美の考えとは裏腹に、千里は平然とした顔でCDを選んでいた。


「もー!ちょっとは怖がってよ。」


育美は頬を膨らましながら怒る。


「わかった。じゃあ、その命日の日に行くか。幽霊の館に。」

千里はニヤリと笑う。


「もしかして千里、信じてないでしょう?」


「信じてるよ。育美が怖い顔して威かすこと。」


「こら、千里!!」


育美は千里の頭をポカッと叩いた。






そして、一月十日。育美は真奈美と加奈を呼んで、千里も無理やり呼び、みんなで学校に来ていた。みんな一月だということもあり、服装は暖かモードだった。


「みんな、行くよ。」


育美がそういうと、学校の乗降口の扉を開けた。扉はギィィーと音を立てて開く。


夜の校舎は冷蔵庫のようにひんやりしてて、霧が出ているようにぼんやりして薄暗い。


「なんか・・・やばいな、これ。」


「もう嫌だ。帰ろうよ。」


「ちょっと待って。記念にビデオカメラに録画するから。」


そういうと、育美は肩掛けの鞄の中から小型のビデオカメラを取り出した。それから、ミニ懐中電灯で周りを明るくする。すると、育美は異変に気付く。


「あれ、加奈は?」


なんと、さっきまでいたはずの加奈がいなくなっていたのだ。


「そんなはずないよ。だってここまで一本道だったもん。」


確かに。学校に入ってまだ五分。しかも、乗降口から三メートル。そんな簡単にはぐれる距離ではない。


「でも、現に加奈はいないんだよ。あれこれ言わないで、早く加奈を探して帰ろう。」


その時だった。


「きゃあああああ。」


上の方から女の子の叫び声がした。しかも、その声はいつも聞き慣れた声。


「加奈だ!」


育美は大急ぎで上へと向かった。しかし、加奈はどこにもいない。


「屋上かも。」


真奈美がそういうと、みんな屋上へと向かった。


「加奈!!」


育美は屋上の扉を勢いよく開けた。しかし、


「いない・・・どうして・・・?」


屋上は空のせいで真っ暗で風が吹くと砂ぼこりが立つ。

「どうしよう・・・加奈・・・。」


育美は屋上の周りをキョロキョロと見回した。すると、


「ピッピロリ〜。」


育美は鞄の中から携帯を取り出した。着信音で加奈だとわかった。


「もしもし、加奈。今どこにいるの?」


「えっ、今自分の家にいるよ。今日ちょっと風邪引いちゃって来れなかったんだ。あ、多分メール送ったと思うから。」


えっ・・・じゃあ、今までいた加奈は?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ぎゃあああああ」


「うわあああああ」


「いやあああああ」


三人は学校から逃げるように去り、無我夢中で走った。






その後、育美は加奈から七不思議の続きを聞いた。分かりやすくするとこうだ。


今から十年前。A子さん(仮)とB子さん(仮)がいた。

二人は小さい頃からの親友で好きな人も同じだったけど、その男の子がA子さんと付き合うことになった。それを妬んだB子さんが、A子さんを屋上に呼び出し屋上から突き落とそうとしたのだ。それを見た男の子がA子さんを助けようとしたが、勢い余って二人は屋上から転落し、そのまま死んだ。好きな人を殺してしまったB子さんは、後を追うように死んだ。


もしかしたら、あの加奈はB子さんだったんじゃないかと、育美は思っていた。






二日後。育美と千里は若葉公園であの日の話をしていた。

「いやぁ、怖かったよね。まさか本当に出るとは思ってなかったもん。」


「本当だよな。俺と真奈美、怖くて途中で逃げ出したんだ。」


「ん?途中ってどこから?」


「ほら、加奈がいなくなったって言った時、あの時怖くなって逃げようと思ったんだけど育美、俺達置いて勝手に行っちゃうからどうしようと思ったもん。」


えっ・・・あの時、千里と真奈美、いたよね?


「ねぇ、千里。一緒にあの日のビデオ見よう。」


千里はうんと頷くと、育美はビデオカメラのスライドのボタンを押した。


「ほら、ここ。ここでビデオをつけた時、この後加奈がいなくなったって。」


二人は流れるビデオをじーっと見ていた。その時、


「えっ・・・これ誰?」

二人は思わず目を丸くした。育美はあの時、ビデオを後ろ向きにしたのでピントが外れているがなんとか分かる。育美が上を見上げた時、ビデオには千里と真奈美が逃げようかとおどおどしていて、育美が階段を上がった時、ビデオには・・・

「誰・・・この、血だらけの・・・人・・・。」


その時、ビデオにかすかに声が聞こえた。


『一緒に・・・行こう。』


「きゃあああああ」






その後、二人はあのビデオをお寺に供養してもらった。育美の後ろにいた人は多分、A子さんとその彼氏の男の子だったかもしれない。もし、あの時加奈から電話が来なかったら、育美はどうなっていたんだろう・・・。






それ以来、七不思議のブームは忘れ去られたのだった・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ