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LOVE DAYS  作者: 美環
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恋愛地獄へご案内

今まで一番怖い育美の顔がたくさん出ます。

三日後。このあと自分が恐ろしい目に合うとも知らず、むかつく程千里にべたべた付きまとってくるアイドル、紅井萌。恋愛地獄へご案内〜。






「ねぇ、千里君はどんな女の子が好み?」


アイドルが露出MAXで千里に近づく。


「えっと・・・優しい子、かな・・・。」


「いや〜ん。それ、私ってこと?千里君、大好き〜。」


嘘つけ、この性格ブス。


二人は昇降口の前まで行くと、人だかりができていた。


「あ、恋愛新聞が発行してある。」


「恋愛新聞ってなに?」


すると、千里がアイドルに分かりやすく説明した。

恋愛新聞とは、育美の通う学校で流行っている新企画のコーナーで、恋する学生の恋愛話や両想いの秘訣などためになる情報が揃った楽しい新聞だ。


「へぇー。あ、一緒に見ようよ。もしかしたら、私達のことが載ってるかもしれないよ。」


そういうと、アイドルは小走りで新聞の所へ行った。そして、唖然とした。新聞にはこう書かれていた。


『二年三組の最高のカップル!!緒形育美&桜井千里の秘密!?』


というタイトルから始まり、二人が出会ったエピソードや両想いの秘訣、さらに二人のデートマップ等々たくさんの情報が書かれていた。

アイドルは少し悔しそうだったが、こんなことでは悔やまなかった。


「ち、千里君行こ。そろそろ授業始まるよ。」


アイドルは慌てた様子で教室へと向かった。人だかりの後ろにいた育美が、アイドルを見てニヤリと笑った。


地獄その1 『ブラックエンジェルのお告げ』






教室に入ったアイドルは、自分(元育美)の机を見て唖然とした。(二回目)なんと机の上に、育美と千里のあいあい傘が机いっぱいに彫られてあった。あいあい傘は彫刻刀で深く彫られていた。


「い、いや!!」


アイドルはびっくりして後退りした。 すると、教室中から話し声が聞こえた。


「いくらアイドルだからって調子乗ってるよね。桜井君には育美がいるのに。」


「そうそう、育美可哀想だよね。いきなり出てきた泥棒ネコのせいで。」


「しかも噂じゃ、何人もの男と寝てたってよ。超遊び人の性格ブス女じゃん。」


「うわっ最悪。それでよくアイドルなんかやってられるよね。辞めちゃえばいいのに。」


アイドルへの悪口が、次々と罵ってくる。アイドルは必死で耳を塞ぐがそれでも悪口は聞こえてくる。耐えられなくなったアイドルはみんなの顔を見た。すると、アイドルはびっくりした。みんなの顔が、恐ろしい笑みを浮かべた悪魔のような顔つきになっていた。まるで汚いものを見るような目でクスクス笑っている。


「ち、千里君。帰ろうよ。今日は学校休んで遊ぼう。」


アイドルは怖くなって千里を連れて教室を出て行った。みんなの中に紛れ込んでいた育美が、クスッと笑う。


逃げても無駄だよ。アイドルさん。


地獄その2 『笑う悪魔の叫び声』






その頃、二人は学校を出て、商店街の方を歩いていた。アイドルはちゃっかり千里の手を握っていた。


「ねぇ、千里君。喉渇かない?ちょっとお茶しよ。」


二人は近くのカフェでお茶することにした。カフェに入ると、お店の中にいる人全員の人が同じものを飲んでいた。それは店長オススメらしい。二人はそれを注文した。アイドルは唖然とした。(三回目)


「はい、店長オススメドリンクです。」

声の渋い叔父さん風の店長がドリンクを二つアイドルと千里の前に置いた。そのドリンクのカップにはカードがついていた。


『育美&千里カップルオススメ ラブラブハートドリンク』


と書いてあった。アイドルはびくっと怖くなって立ち上がった。


「千里君、やっぱケーキ屋行こう。」


アイドルは千里の手を引いて店を出た。すると、店の奥から育美が出てきた。


「叔父さん、協力ありがとう。」


「いいんだよ。育美ちゃんにはいつもドリンク飲んでもらっているから。」


これは育美とカフェの叔父さんの作戦だった。地獄その3 『地獄の喫茶店 死神の血ドリンク』






一方、二人はカフェから少し離れたケーキ屋さんにいた。そこには『店長オススメケーキ』というのがあるらしい。


「すみません、店長オススメケーキください。」


アイドルが注文したその後すぐにケーキがきた。そんなに人気なのかなぁと思いながらケーキを食べようとしたその時、アイドルが急に唖然とした。(四回目)


そのケーキにはカードがついていて、


『育美&千里カップルのオススメケーキ ラブリーチョコレートケーキ』


と書いてあった。アイドルはもしやと思い、他の店に行くことにした。アイドル達が店を出ると、店の奥から育美が顔を出した。


「苺おばちゃん、ありがとう。」


「いいよ。育美ちゃんには毎日ケーキ食べてもらっているから。」


これも、育美が店長と手を組んで考えた作戦だ。


地獄その4 『甘い誘惑は蟻地獄』






その後、アイドルは商店街中のお店を回った。


レストランには、『育美&千里カップルオススメの一品 ハートのチキンカレー』。


ゲーセンには、『育美&千里カップルお気に入りのゲーム ラブラブ牧場物語』

CDショップには、『育美&千里カップルオススメの一曲 ラブリーヒステリー』


bookショップには、『育美&千里カップルが感動したオススメ本 恋愛高速道路』


洋服屋には、『育美&千里カップルのオススメコーディネート カッコカワイイカジュアル』・・・・etc




なんと全てのお店に育美と千里のオススメのものばかりが並んでいたのだ。アイドルはついに怖くなり、震え出した。


「も、萌さん。大丈夫?」


「来ないで!!」


アイドルは千里の手を振りほどいて走り出した。


「千里。」


アイドルが千里から離れたのを確認すると、育美は千里に近づいた。


「育美、これぐらいでもういいよ。」


すると、育美は千里に抱きついた。


「やっと千里と一緒になれるね。」


育美は久しぶりの安心感を持てた。


「育美、不安にさせてごめんね。」


そういうと、千里は育美をぎゅっと抱きしめた。育美は、千里の腕の中でニヤリと笑った。


まだまだこれからだよ。ここからが本当の地獄だからね、泥棒ネコアイドルさん。




地獄その5 『いびつな愛情表現』






次の日。アイドルはふらふらになりながら学校に来た。本当は行きたくないのだが、大好きな千里に会うために頑張らなくはならない。


「おはよう〜。みんな〜。」


「・・・・・・。」


なぜかみんなアイドルをシカトしたのだ。みんな、『触らぬ神に祟りなし』って感じでアイドルの言葉に無反応なのだ。しかし、みんな全員携帯を片手に友達同士でぶつぶつ言っている。


「ちょっと、携帯貸して。」


アイドルはしっかり言ったが、それでもみんなはシカトするので、アイドルはついにキレた。


「貸してって言ってるでしょう!!」


アイドルは誰かの携帯を無理やり奪うと、携帯の画面を除き込む。


『大人気アイドル、紅井萌。十代の若者の目を奪い、クラスメートの彼氏を奪う。』


『アイドルという権力を利用し、何人もの男に貢いでもらう。』


と書かれていた。


「な・・・なにこれ?」

アイドルがそう思ったその時、


「バシッ・・・カラカラン。」


いきなりアイドルの頭にキャップ付きのアルミ缶が当たり、床に転がる。


「何するのよ!!」


アイドルとは思えない程の怖い顔でみんなを見るアイドル。すると、


「パシャパシャッ」


みんなが携帯のカメラでアイドルの怒った顔を撮る。


「怖〜い。みんなで撮ろうよ。」


「撮ろう撮ろう。」


みんな、シャッター付きでバシバシ撮る。


「いや。もうやめてよ!」


アイドルは嫌になり、勢いよく教室を出た。それを見た育美がクスッと笑った。


地獄その6 『高飛車のプライド』






一方、アイドルは長い廊下を走る。そして、アイドルはある部屋に入った。


「はぁはぁ、ここまで来れば大丈夫。」


そう思い、安心したその時、


「きゃあああああ。」


アイドルは部屋中を見て腰を抜かした。なんと、部屋中に育美と千里のツーショットの写真が飾られていた。学校帰りやデートの写真。しまいには、お泊まりデートの時の写真まであった。


「もういい加減にしてよ!千里君は私のものなのよ。あんな女に盗られてたまるもんか!!」


アイドルがついに本音を言った。


「いい加減にしろはどっちだよ。このタコ!」


アイドルが前を見ると、そこにいたのは怪しい液体の入ったビンを持っている育美がいた。


「ちょっと可愛いからって調子乗って人の彼氏に手を出すなんて。人として最悪だし。」


育美はアイドルを見下しながら言う。


「はぁ!?千里君はあんたみたいなブスより私みたいなスーパーアイドルの方が好きに決まって」


「ここまで言ってもわからないようね・・・。」


そういうと、育美はビンをアイドルの頭の上に落とした。


「バリーーーーンッ」


「きゃあああああ。」


アイドルの頭の上で割れたビンが粉々になり、中に入っていた液体が顔にかかる。液体の正体は硫酸だった。アイドルの顔にかかった硫酸が顔の皮膚を蝕んでいく。部屋中に薄い煙と皮膚の溶ける匂いがする。

「いや!た、助けて・・・顔が溶ける・・・私の可愛い顔が・・・。」


「どう?高飛車の女が一瞬にして地に堕ちる気分は?」


すると、顔がどろどろに溶けたアイドルが、育美を見上げる。


「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・。私が悪かった。私、もう千里君に近づかないから。約束するから・・・だからお願い、私の顔を治して・・・。」


アイドルは泣きながら育美に謝罪した。


「・・・わかったわ。」


やったー。アイドルはそう思ったその時、


「ゴスッ」


アイドルは頭に強い衝撃を受けて、気絶してしまった。

「馬鹿ね。謝るくらいなら最初っから手出さなきゃいいのに。本当、馬鹿は嫌いだよ。」


育美は血のついたバットをアイドルの側に投げ捨てると、部屋の窓から外に出た・・・。






一ヶ月後、アイドルは病院のベットの上にいた。あれだけの大怪我をしたにも関わらず、すごい根性だ。しかし、彼女曰く退院したらアメリカに行くらしい。緒形育美という、一人の悪魔から逃れるために・・・。






「全く、あれはいくらなんでもやりすぎだって。本当に死んじゃったらどうするの!?」


それから一週間後。育美は屋上で千里にむちゃくちゃお説教されていた。千里曰く、あれは犯罪らしい。


「まぁね。でも、今回はみんなちょっといじめるだけだし、運よく目撃者もいなかったし、まさに結果オーライ?」


「バカ!!!!」

「パンッ」


千里は育美の頬を思い切りひっぱたいた。効果音が空に響く。


「・・・ごめん。でも私、怖かったんだ。千里が他の女の子に盗られそうになって。だから、ちょっとひどいことしちゃったんだ。」


育美がショボンとした顔で言うと、千里が育美を抱きしめた。


「育美が不安になっているなんて気がつかなかった。俺こそ悪かった。・・・ごめん。」


「いいよ。私もごめん。」


「うん、いいよ。」


こうして、恋人どおしのケンカはあっさり終わり、いつもの仲のいいカップルに戻った。


「育美、お前もうすぐ誕生日だよな。俺の誕生日の時のようにうんっとお祝いするよ。」


九月五日。育美の誕生日まであと二日。


「そうだった。よーし、これは楽しみにしてないと・・・ハ、ハ、ハクション!!!」


育美は口に手を当てて、大きなくしゃみをした。


「育美、どうした?」


「大丈夫だよ。きっと誰かが噂してんだよ。」


そういうと育美はすたすたと歩き始めたがその足取りはすごく悪かった。


育美、大丈夫かな?


千里がそう思った時にはもう遅く、育美は二日後に風邪で学校を休んだ・・・。

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