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LOVE DAYS  作者: 美環
22/44

初めての彼女へ・・・

朝八時。育美は太陽の光に目を覚ます。


「ふわぁ〜。あー、よく寝た。」


育美はあくびをすると、ベッドから起き上がり一階のリビングへ向かった。


「あれ、千里?」


育美は、千里がいないことに気がついた。部屋にもリビングにもキッチンにもいない。育美は他の部屋を探そうとリビングを出ようとした。


「ん、なにこれ?」


育美は、リビングにあるサイドボードの上に一枚の紙が置いてあることに気がついた。育美はその紙を開くと、


『育美へ。俺はちょっと出かけます。夕方には帰るので心配しないでね。』

「なんだ。千里出かけたのか。心配して損した。」


そういうと、育美は紙をサイドボードの上に置き、キッチンに向かうとテーブルの上に千里が作った朝食があった。

こんがり焼けたトーストに新鮮な野菜サラダ、そして昨日の残りのコンソメスープ。


育美はこれらをペロリと食べてしまうと、使った食器を洗った。

その後、育美は千里が帰って来るまでいろんなことをした。洗濯や掃除、布団干し。その後は音楽を聞いたり絵を書いたり。

お昼は簡単なピラフを作った。育美は千里の分まで作り、ラップをして棚にしまうと自分の分を食べる。午後は千里の好きなチーズケーキを作った。育美は千里が帰って来たら一緒に食べようとうきうきしながら作った。三時間後、チーズケーキはうまくできた。育美はチーズケーキをラップして、テーブルの上に置いた。


「千里、早く帰って来ないかな?」


育美はテーブルに座り、千里が帰って来るのを待つことにした。しばらくすると、育美は疲れのせいかうとうとと眠くなり、そのまま静かに眠った・・・。






それから三時間後、育美はカラスの鳴き声に目を覚ました。


「あれ、千里まだ帰って来ないの?もう、千里の奴いつまで出かけるつもりなの!」


育美は少し怒り気味になりながら、携帯をいじった。すると、


「ん、千里からメールが届いてる。」


育美は新着メールの中に千里のメールが入っているのに気づき、メールを見た。


「育美へ。俺達付き合ってもうすぐ一年が経つな。俺は育美と出会って変わりに変わった。昔は人見知りが激しくて友達も彼女もできなかった。でも、育美が俺と付き合って人見知りが減って誰とでも話すことができた。俺にとって、育美は大切な女だ。口はたまに悪いけど、育美と付き合ってた日々はかけがえのないものだ。今までありがとう。俺は育美を好きになったことも、育美が俺のことを好きになってくれたことも、両方幸せだ。俺は今からみさきの所へ行く。みさきが俺と一緒に居たいって言ってるんだ。育美には勝手なことだと思う。でも、育美は俺みたいな気の弱い奴よりも、もっと強い男と幸せになって欲しいんだ。育美が幸せになってくれれば、俺は幸せだよ。ありがとう・・・そしてさようなら。俺の・・・初めての彼女へ・・・。 千里より」




育美はこのメールを読み終わると、その場に倒れ込む。


「千里・・・。」


育美はふと、千里のメールを読み返す。


『俺は今からみさきの所へ行く。』


「は!しまった!!」


育美は立ち上がった。


「千里はみさきちゃんの所へ行っちゃう。っていうことは、千里は死んじゃうの!そんなの嫌だ、千里!」

育美は、携帯を握りしめて玄関を飛び出した。しかし、育美はすぐに立ち止まる。


「そうだ。みさきちゃんがどこで死んだか・・・私わからない。」

大切なことを忘れていた。育美は千里から、みさきは海岸で死んでいたと聞いたが、どこの海岸で死んだかは聞いていない。


「ああ〜。私の馬鹿馬鹿!!!」


育美は情けない自分で腹を立て、ポカポカ頭を叩いた。すると、


「育美ちゃん、育美ちゃん。」


育美は後ろから女の子の声が聞こえたのがわかった。もしかすると、


「みさきちゃん?」


育美は声の主がみさきじゃないかと気づく。


「千里は今、この先のカモメ海岸にいるわ。早く千里を助けて、お願い。」


育美は千里のいるカモメ海岸を思い出す。

「カモメ海岸・・・・・・あ!」


育美は昨日のことを思い出した。それは、育美と千里が買い物に出かける時、


「ここ、カモメ海岸って言うんだ。カモメがたくさん集まって餌を食べたりしてお客さんから大人気なんだ。」


その時育美は『ふーん』って返したけど、しっかり覚えている。


「千里。お願い、死なないで。」


育美は不安に押し潰されながらも、千里がいるカモメ海岸へと向かった・・・。

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