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LOVE DAYS  作者: 美環
15/44

モテモテ。そしてイライラな春。


二年生が始まって一週間。育美はなんだかご機嫌斜めだった。


「育美、どうした?なんか怒ってるよ。」


昼休み。二人は学校の屋上でお昼ご飯を食べていた。いつもより機嫌の悪い育美に気づいた千里が、心配するように言ってきた。


「えっ!怒ってた?」


育美はサンドイッチを食べながら言った。


「うん、なんかすごい怖い顔してた。」


「うっそーーー!」


育美は鞄の中から水色の手鏡を出すと、心配するように顔を確認した。


「よかった。大丈夫。」


育美は安心すると、手鏡を鞄の中に閉まった。

「でも、一体どうしたの?なんか朝もイライラしてたよ。」


「・・・モテモテじゃん、千里。」


「えっ?」


「だーかーらー。千里がモテモテなのが嫌なの。」


「・・・それって嫉妬?」


「うん。」






話はさかのぼること4日前。国語の授業が自習の時だった。


『桜井君。国語でわからない所があるんだけど。』


数人の女の子の一人が照れくさそうに千里に話しかけてきたのだ。それを、隣の席の育美が黙っちゃいなかった。


な、なにあんた達、ここに千里の彼女がいるっていうのに許可なく話しかけやがって!

育美は目を細くして女の子達を見ていた。


『・・・って計算するとほら、これが答えだよ。』


『や〜ん。桜井君すご〜い。私、こんなの解けないよ〜。』


『本当〜。こんなの難しいもん。桜井君、天才〜。』


千里がかなり長く説明してあげたにも関わらず、次々と甘ったるい言葉を発する。ちなみに女の子達ができなかったのは、超簡単な因数分解だった。


はぁ!?こいつら馬鹿じゃないの。こんなの普通に計算すればできるだろう。どんだけ馬鹿なんだよ。それに、なに上目遣いで声1オクターブ上げてんだよ。ぶりっ子するな、メス豚共!

育美は理性丸つぶれでブチキレる寸前だった。右手に持っているピンクのシャーペンが今にも折れそうなくらい強く握っていた。


それから三日後の昨日、育美は真奈美と廊下を歩いていると、隣のクラスの女の子達の前を通った時、


『ねぇねぇ、三組の桜井千里君ってやっぱかっこいいよね。』


『あ〜ん。私も今それ思ってたんだよ〜。ねぇ、桜井君って彼女いるのかな?』


『いや、いないんじゃない?だって桜井君、クールだから案外女には興味ないとか。』


『いや〜ん。私もう惚れちゃいそ〜。』


育美は今の話をばっちり聞いていた。すると、育美はトイレに入ると中にあったゴミ箱を思い切り蹴り飛ばした。


ふさげんな!千里は私の彼氏なんだよ。それともなんだ、それは彼女の私に対する挑戦状か。いちいち語尾を上げるな!吐き気がするんだよ!


『育美・・・。』


育美は真奈美に言われるまで何も聞こえてなかった。






「キーーー。悔しい!!今思い出しただけでもイライラするーーー!」


育美は、足をばたつかせてキレていた。


「でも、育美だってモテてるじゃん。逆にこっちがキレたいくらいだよ。」


「・・・あのね、私はモテないからキレてるんじゃなくて、千里がモテることにキレているの!」

「・・・育美って本当に鈍いよな。」




千里の話。つい二日前、部活の仮入部の時に一年生三人がいた。


『二年生の緒形育美先輩って可愛いよな。』


『あぁ、この前の部活説明会の時カッコよかったよな。』


むかっ・・・。






「それだけ?」


「えっ・・・それだけだよ。」


「・・・・・・あほかーーーー!!」


育美は千里の顔を思い切りひっぱたいた。


「いってー。何するんだよ。」


「千里はねぇ、甘いんだよ!自分の彼女が他の奴に捕られたりしたら、あんた捨てられる確率百%だよ!」

「それじゃあ、どうしたらいいんだよ?」


すると、育美は立ち上がった。


「決まってるでしょう。頭でっかちで鈍感な奴らにうちらの存在をわからせるんだよ。」


「えっ・・・・。」


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