8話 うまい話には裏がある
8話目です。
時刻-13:30
激戦を繰り広げた森からセナと一緒に街に戻り、冒険者ギルドに帰ってきた3人。
現在、完遂したクエストを受付で精算している真っ最中なのだが・・・
受付のお姉さん??
「ミキ様、グレーウルフ90体をこの短時間で討伐したのはすごい成果なのですが」
「それよりも、グレーハウンドが1体混ぜってるのは気のせいでしょうか?」
「いえ、合ってますよ。森の中で遭遇しまして、大変でしたww」
何かいけないのだろうか?首を傾げながら一応笑っておく。
「グレーハウンドは単体でも、ランク【E】の冒険者5人で連携して倒す魔物です」
「パーティーを組んで倒したのですか?」
「パティ―は組んでいません。ほぼ私一人で倒しました」
お姉さんの顔が百面相して、見ている方は面白い。
なるほど、今の私のランク=実力では倒せない魔物の履歴があり、驚いていたのか。
倒したのは事実なので、覆しようがない。精算が行われる。
「そのほか素材の売却はありますか?」
「アイテムボックスに毛皮が51枚あるので、それも一緒にお願いします」
「では【買い取りカウンター】に出していただけますか」
カウンターに移動し、アイテムボックスから毛皮を渡す。
傷みや素材の状態を入念に観察しながら算盤を弾く。
小学生の頃、算盤、授業でやったなぁ~、もうやり方忘れたけど。
「傷みや状態もなく、すごくいいですね。それにこの大きいのがグレーハウンドですね」
「まさかこんな大きいとは!少し報酬に色を付けておきますね!」
そう言ってお金を渡してくれる。クエスト報酬、総額銀貨20枚。
懐が少し温まった。
私の精算が終わった頃に、セナも合流する。
どうやら無事にクエストを完遂できていたようだ。
「お姉さま、これからどうされのですか?」
セナに今後の予定を聞かれた。付いてくるのかな?
ところで『お姉さま』って私のことだよね。森では『ミキさん』だったのに。
私、また何かやらかしたのだろうか。←天然美少女キラー(アリア命名
「私はこの後、日用品を買いに大通りへ行く予定だけど」
「でしたら、是非、私に案内させてください」
「この街でずっと暮らしてきたので、穴場やおススメのお店をご紹介します」
「えっ、本当に!助かるよ」
セナの案内で大通りの買い物が始まった。
まずは、替えの下着を・・・・・
「お姉さまには絶対こちらがお似合いです。あと、これとそれ」
「こっちも捨てがたいですねぇ。だったらこっちもありかも」
私の買い物のはずなのに、セナのテンションがやたら高い。
そんなテンションで選ばれる下着はどれも、黒、紫、赤、かなり際どいものが多い。
黒は今もしてるからまだ良いとして、紫と赤にNGを出す。
最終的に選んだ色は、黒×2、青×2、白×2の計6セット。(レース状)
一大イベントが終わった後は、スムーズに買い物が進む。
洗面用具、調理器具、テント(野宿用)、寝間着(膝丈絹製のTシャツ)2枚。
解体に使うための小刀を1本、こんなものだろう。
セナのおかげで、かなり安く、質の良いものを買うことができた。
「セナ、今日はありがとう」
「いえいえ、お姉さまのためならいつでもOKですよ」
「そういえば、どちらにお泊りになっているのですか?」
「【蜂蜜亭】って宿だけど、どうかした?」
「もし宜しければ、私の住んでいる家に来ませんか?」
「借家で今年分の家賃は支払い済みですし、客間が空いていますので宿代が浮きます」
現状から言って、資金稼ぎと技の練度を上げるためにしばらくはこの街に滞在する予定。
その間の宿賃もかなりの額になる。それが浮くのはうれしいのだが・・・・
「私しばらく滞在する予定なんだけど、いいのかな?」
「全然、大丈夫です。私も一人で居るより楽しいと思いますし」
セナの許可してくれるそうなので、お言葉に甘えることにした。
一旦宿に戻って、事情を説明し、チェックアアウト。1泊分のお金が返ってきた。
荷物は全部アイテムボックスの中なので、手ぶらだ。(楽
結構しまい込んでるのに、まだ容量に余裕がありそうだ。どれくらい入るのだろう?
途中で夕食の材料を買い、お喋りをしながらセナの家へ向かい、到着。
外見は白い壁で、そこそこおしゃれな感じ。部屋の広さは3LDK。(十分広い。
もちろん、トイレとお風呂は別です。掃除も行き届いていてキレイにしている。
ここの家賃、高いよね。セナってもしかして、どこぞのお嬢さんですか?
「セナ、夕食作るからキッチン使ってもいいかな?」
「はい、私も手伝います」
今晩のメニューはホワイトシチューにパン、サラダのセットだ。
セナには具材の野菜を切る役をお願いし、いざ。【料理(匠)】の腕前をご覧あれ!
まず、フライパンにバターを溶かして、小麦粉を—————ホワイトソースを作っていく。
意外と慣れてないと難しいのだが、今の私には何のその!
「セナ、具材の野菜をちょだ・・・・ぃ」
そこには野菜と格闘するセナの姿。
ニンジンを立てらせて、包丁で切ろうとしている所だった。
腕もプルプルしながら、しかし顔は真剣そのもの。
結果から言うと、まったく進んでいない。むしろ危ない!
「セナ、何してるの。危ないよ・・・・」
「普段、料理は・・・・?」
「いつも外食で済ませてました」
「・・・・・・・・包丁貸して。セナは座って待っててくれるかな!」
「うぅ~~。お役に立てず、すいません」
包丁を受け取り、調理を再開する。
『セナに料理はさせないようにしよう。死人が出る気がする!』
そう、密かに心に誓うミキであった。
本日の夕食セットを盛り付け、テーブルに配膳する。
アリア用に小さい食器も買いました。
「「「いただきます」」」
「お姉さま、このシチューおいしいです」
「ミキってなんでも卒なく熟すわね、戦闘だけじゃなくて料理もできるなんて」
そんな他愛のない世間話に花を咲かせて、夕食を美味しくいただいた。
お風呂の時間です。
「お姉さま、一緒に「一人で入るから」入り・・・・」
「お姉ぇ「一人で入るから」・・・・」
「では、アリア様。一緒に入りましょう!」
アリアを連れて、お風呂に向かうセナ。
何とか回避できた。アリアなら兎も角、セナと入るのはさすがに元男して無理です。
えっ、ヘタレだって!ヘタレ上等!!
生まれてこの方、前世では童貞だったからな。(突然ののカミングアウト!!
二人が出た後、お風呂に入る。2回目だったので少し慣れました。
お風呂から上がり、今日買った下着(青)と寝間着(膝丈絹製のTシャツ)を着る。
洗濯物は石鹸で手もみ洗いをし、『浄化』。はい、終了。(ちゃんと乾いてます)
洗濯したのは、気持ちの問題です。
セナに客間へ案内され、部屋に入る。家具は宿とほぼ同じ。
違いと言ったら、ベットのサイズがダブルなことくらい。(なぜ?
「では、お休みなさい。お姉さま」
「セナもおやすみ」
セナが部屋から出て行き、ドアを閉める。
私は魔灯(この世界の照明器具)を消して部屋を暗くする。
「「おやすみなさい」」
アリアとも就寝の挨拶を交わし、ベットに横になる。
アリア用の籠ベット設置済。
程なくして規則正しい寝息が聞こ始める。
「スゥー、スゥー」
時刻-深夜2:00
ギィィ—————
ミキたちが寝静まった部屋のドアが開き、人影が1つ。
足音を立てないように、ゆっくりとベットまで移動してくる。
彼女の可愛らしい寝顔を見ながら人影は「フフッ」と笑みを浮かべる。
人影から彼女のケモミミとしっぽに手は伸され、掴む。(ギュッ!
「はぁぅっ」ビクン
艶のある声が彼女の口から吐息と共に零れる。
しかし、彼女はまだ起きる気配がない。人影がそのままベットに潜り込む。
ケモミミを撫でる手はそのままに、片方の手は程よく主張した双丘の膨らみへ伸びる。
徐々にエスカレートしていき、片手が寝間着の下を通り、直に触る。
優しく円を描くように撫でまわす。
「はっ、にゃっ、あっ」
呼吸が浅くなり、頬が赤く、口から漏れる声もより熱を帯びる。
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自分の身体に襲う感覚に耐えられまくなって、目を覚ます。
ケモミミが誰かに触れられている感触。もう片方の感触は・・・・
『ふぇっ!む、むむ、胸!!しかも、直に!!!』
身体に力が入らず、うまく動けない。何とか顔だけ回しす、この手の主をみる。
月明かりに照らし出された顔。
「セ、セにゃ・・・にゃんで・・」
呂律が回らない。体の芯が熱い。
「あら、お姉さま。起きてしまわれたのですね」
「あっ、んっ。にゃ・・んで・・こん「夜這いです♡えい!」」
最後まで喋らせて貰えなかった。私の唇に、セナの唇が覆い被さる。
歯を押し開けて、舌が入ってくる。お互いの唾液が混り合う。
「んぁ。んん~~」(訳:セナ、ダメ~)
やっとセナの唇が離れ、口が自由になったが、頭がボォーっとして言葉が出てこない。
すかさず、セナに寝間着を剝ぎ取られる。下着の姿が露わになる。
「綺麗です。お姉さま」
今度は左手でしっぽを掴まれ、再び唇が塞がれ浸食される。右手が下に移動する。
右手の行き先を目で追う。行き先は、女性に神秘の領域。
パンツの間に指先が差し込まれ、クチュッと音がする。
私は頭をフル回転させ、思考の中で詠唱する。
『ライト~~~~~』
『シャドウバインド~~~~~』
突如部屋に小さな球状の光源が出現し、昼間の様に明るくなる。
それにより、ベット際に陰が落ちる。陰から触手が伸び、セナに巻き付き拘束する。
「えっ!あっ!お姉さま!!」
陰に引きはがされ、宙吊りになったセナが、驚きながら私を呼ぶ。
ベットから起き上がってこない私の顔に視線を向けてくる。
ギロッ!トラの眼と視線がぶつかる。セナの額に冷や汗が滲む。
視線は外さず、ゆらりと起き上がり、ベットから降りる。
セナの顔から徐々に精気が抜けたように、青ざめていく。
私とセナの顔の距離、15cm。
「何か私に言うことあるよね」
「お、お姉さま。これはその、ですね」
「私から、お姉さまへの愛の・・・・」
「問答無用!」ゴンっ!
かなり力の籠ったげんこつです。
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「お姉さま、痛いです」(ρ_;)・・・ぐすん
「痛くないと、罰にならないでしょうが!!!」( ゜Д゜)ゴルァ!!
さっきのげんこつの音でやっとアリアも起きてきました。
今は私の肩の上に座って、床にへたり込み、泣きながら頭を押さえるセナを見る。
あっ、乱れた服はちゃんと整えましたよ。
「で、なんであんな事したの!」
「お姉さまが好きだからです」
「・・・・はぃ?ゴメン、今なんて」
「だから、私、お姉さまの事をお慕いしています」
「・・・・・・・・なんで」
セナは自分が、私を好きになった経緯を事細かく話し始める。
要約すると、魔物と闘う私の姿と優しく抱きしめる姿のギャップに惚れたと。
こういうのって、吊り橋効果じゃないだろうか。
「今度、さっきみたいなことしたら次は・・分かるわよね」ギロリッ
「はい、ごめんなさい」(´・ω・`)ショボーン
「お願いよ」
さっき殴った頭を撫でてあげる。セナ顔に少し笑顔が戻る。
「ところで、なんでセナが私の耳としっぽが弱いこと知ってるの?」
「それは、お風呂でアリア様に・・・」
視線を肩上で傍観していたアリアに移す。
目線を反らされる。両手で捕獲し、無言で小さいほっぺを引っ張る。
「ごむぇんにゃしゃぃ」
「もうこの話はお終い、寝るわよ」
「セナも早くベットに入りなさい」
「えっ!いいんですか?」
惚けた顔をするセナに、同じベットに入るように促す。アリアも自分の籠ベットに戻る。
私は1度お手洗いに行く。まだ少しジンジンする熱を冷ますために。
下着を下ろすと透明で、粘液性の糸が股の間で引かれ、切れる。
『セナのばか・・どうしてくれるのよ~』(ジタバタ
少し落ち着いてから、ベットに戻る。
仕返しとばかりに、セナを抱き枕にして寝た。
魔灯(この世界の照明器具)
光魔法のライトの術式を刻んだ特殊な円柱状の石。
空中に漂う少ない魔力で動作するため、国中で普及されている。
石に手を触れることでON/OFFできる。