3話 初戦闘の相手はファンタジー世界の代表的なあいつ!
3話です。
1、2話での魔法の設定を変えました。
すいません。
ピクシーのアリアと共に歩き始めて2時間ほどだろうか。
だいぶ【メリッサ】という街に近づいていると思うが、やはり徒歩で20kmは意外に遠い。
歩いている間にアリアと色々話した。
この世界が【クリスタリア】というのは聞いていたが、大陸の話はまだだったからだ。
まず、この世界に大陸は5つ存在し、全体がはひし形。全部の大きさを合わせて、アメリカ合衆国と同等くらい。広すぎでは・・・・・
東西南北と中央にそれぞれ大陸が存在する。
王家と4大公爵家がそれぞれの大陸を統治しているそうだ。
政はもちろん王都で行っい、各領主に伝えられる。
大陸の周りは海で囲まれているのもお約束らしい。
中央:セントラル - 王都ともいう。5つの中で最も発展している大陸。
国王がおわす城下町。
東:イーストリング - 4大公爵家が一人。イリス公爵家が治める春の大陸。
南:サウスマリン - 4大公爵家が一人。サリア公爵家が治める夏の大陸。
西:ウエストリム - 4大公爵家が一人。オリカ公爵家が治める秋の大陸。
北:ノースダスト - 4大公爵家が一人。ダリヤ公爵家が治める冬も大陸。
なんとも分かりやすい大陸の別れ方だこと。私的には覚えやすくてありがたい。
今いる地点はイーストリング領の【メリッサ】への街道の途中ということらしい。
ちなみに、メリッサってギリシャ語でミツバチって意味がある。
なるほど、春の領地らしい。特産品がハチミツなのかな、きっと。
ふと頭に何か軽いが重みを感じた。
「ごめんなさい、少し頭の上に乗させて!ずっと飛んでると疲れちゃって」
「構いませんよ、どうぞ、どうぞ」
アリア、かわいいなぁ~!
なんかほんわかして、ケモミミが勝手にピクピクと気分に反応して動く。
ジィーーーー・・・・ニヤリ( ̄ー+ ̄)
「えぃっ」ぎゅっ~~~
ミキの身体に何とも言えない感覚が走りる。
「はにゃっ」ビクン
また恥ずかしく色っぽい声が響く。
膝から力が抜け地面に崩れ落ち、体がビクビクを少し痙攣する。
『あっ、やっばぁ~』
アリアが頭の中で今の行動が失敗だと気付いた時には遅かった。
ミキの両手が勢いよくアリアを掴み、頭の上から降ろし、そのまま顔に近寄せる。
頬が少し赤みを帯び、目じりに少し涙を溜めた顔が見える。
「ア~リ~ア~」(おこの様ですw)
「痛い×2、ごめっ、ごめんなさい」
「まさかそんなに敏感に反応するとは思ってなかっったの、謝るから手の力抜いて!」
「もうしないからぁ~~~(泣)」
「本当に?」
「ホント!ホントにもうしないからぁ~~」
「まったくも~、次から絶対しないでよ、あとしっぽもだめだからね」
「わかった、わかったから、早く力抜いてってば!!」
やっと両手から解放され、軽く飛翔しアリアがミキの外套の胸ポケットに入り込む。
「ここならいいでしょっ!」
開き直ったようにドヤ顔をするアリアを見ながら「フフッ」っと苦笑するミキである。
立ち上がり、歩き始める。
———————————
街の城壁が目視できるところまでなんとか到着し、安堵する。もうひと踏ん張りだ。
そういえば街に入るのに身分証やお金とか要らないのかな?
その辺の常識はまだ聞いてなかったと思い当たる。
「ねぇ、アリア!街に入るのに身分証やお金って必要だったりする?」
「身分証があればお金なくても入れるよ、持ってるでしょ?」
「持ってない」
「・・・・・ミキさんはどんな辺境から来たのですか」
「面目ない」orz
「となると、門番の方に事情を説明して仮の身分証を発行してもらうしかないですね!それにはお金が必要になります、銀貨1枚ですね」
「お金も持ってないです」
「・・・・・・・・」
今度は無言で視線だけをこちらに向けられる。
そんな目で私を見ないで、お願いだから。
そんな時、何かの気配を感じた。アリアも感じ取ったようで二人で道先の茂みに目を凝らす。
数瞬後、茂みから何かが飛び出してきた。
———————魔物だ!
ファンタジー世界の代表的魔物。
身体が緑で腰にはぼろぼろの布が巻かれており、手には木製のこん棒。
耳が少し尖っており、身長はせいぜい1mといったところ。
そう、ゴブリンである。しかも数にして5体ほどの集団である。
この世界に来てから初めて魔物に遭遇した。
しかし、少し違和感がある。それは相手からこちらに向けられる殺気がヒシヒシと感じられるからである。
今まで平和な世界で、平凡なサラリーマンであった自分が一生体験するはずのなかった感覚。
今だからわかる。今自分が改めてこの異世界に転生してきたのだと。
これは、ゲームじゃない。この状況こそがリアルなのだと。
前世での私はあの時に死んだのだと改めて理解する。
相手の殺気に押され、左足が少し左に下がる。
「ミキさん、ゴブリンです!そんなに強くないから、早く武器を使ってやっつけちゃって!」
「いや、私、戦闘なんて初めてなんだから無茶言わないでよ」
「あなたのステータスなら大丈夫だから、早く」
アリアに促されるが、今だオドオドしている。
それでも腕に意識を向け、行動に移す。
両腕を腰の前で交差させ、左右の刀の柄を握り、イメージする。
抜刀———
機械式鞘が思考から命令を捉え、刀身を開放する。そして引き抜く。
バシュ、シャラン———
青みのある透き通った刀身が1対、アリアの視界に入る。
鞘の解放音に少しびっくりしてたみたいだったが、その刀身を見て、無意識につぶやいた。
「きれい・・・・」
ミキも何とか聞き取れるくらいの囁き。
自分で作った(描いた)刀を褒められるというのはの嬉しいものだ。
刀ってどうやって構えればいいんだろう?そもそも今まで運動部にも、ましてや剣道なんてやったことがない。
帰宅部m9(^Д^)プギャーw
違いますぅ~、ちゃんと美術部でしたぁ~!
そんなことを思っていたが予想外なことが起こった。
体が勝手に構えをとったのである。なんの違和感もなく、ごくごく自然に。
左手を前に出し、刀身を体の正面に構える。
右手はやや体の後方に下げ、逆手持ちの状態で刀身を構える。
『えっ、なんで?』
疑問に思ったがすぐに自己完結することができた。
【武術の才:二刀流(免許皆伝)】
このスキルのおかげだろう。と思いついたからである。
なら、いつまでも怖がっていても仕方がない。目の前の敵に集中した方がいいだろう。
深呼吸をする。大きく息を吸って、少し長くなるように息を吐く。
気持ちが落ち着きを取り戻し始める。
道を塞ぎ、立ちはだかる敵を凝視する。
目の瞳孔が縦長に細くなある。普段は人間の目とさほど変わらない。しかし今は明らかに違う。
獲物を睨み、捕食するために相手の動向を探る、虎の目のまさにそれである。
ゴブリンの集団との距離はおそよ50m。
刀を構えたまま、姿勢を頭1つ分低くなる。両足に力を入れる。
こちがが武器を構え、襲い掛かってくることを察したゴブリンたちも各々に木製のこん棒を構える。
陣形は二等辺三角形みたいな感じだろうか?
先頭のゴブリンの後ろ、左右に2匹ずつが間隔を空けて並ぶ。
一触即発。まさにこんな時に使うべき言葉だろ。生まれて初めて使ったよ。
先手はこちらがいただく。
ミキは全力で駆け出した。
「えっ・・・」
ミキは驚いた。
何に?そりゃ~もちろん、自分の出したスピードにだよ。
駆け出して1秒もまだ経っていないのにゴブリンまでの距離が10mしかない。(速すぎぃ~~~汗々)
このままじゃぶつかる!慌てて避けようと地面を踏みつけて跳躍する。
しかしこれまた裏目・・・。地上からの距離8m、ビルでいう3階建てくらいの高さまで跳んでいた。
「高すぎぃ~~~(涙)」
しかし空中ではもうどうしようもない。
頭から落ちないためにも姿勢制御に必死である。身体の重心を起点にくるっと宙返り。
そして、同時に重力に引っ張られ始め、地面に向かって落下開始。
ストンッ———
無事に脚から着地成功。
ビル3階分の高さから落下したにも関わらず、着地時の衝撃が全然ない・・・・・
あれ?こんなもんなのか?いや、そんなはずは・・・・
しかし、実際に衝撃はない。
!!!
私、今、虎の獣人だった。
しかもステータスもLv.1にしては異様に高い、チート属性の虎の獣人。
ネコ科バンザイ!!
感激していたが今が戦闘中であることをゴブリンの叫び声で引き戻される。
「ガァァァァ~~」
着地地点はなんとゴブリンたちの後方、ちょうど真ん中。(なんてご都合主義な展開ww)
ゴブリンたちが一斉にこん棒を振り上げて、今まさに振り下ろされる一歩手前。
しかし、着地の態勢からそのまま刀を振るえる状態まで、すでに一連の動きとして終わっていた。
——————— 一閃
力強く、それでいて可憐に。
まるで神楽を舞っているかの如く。
【刀剣舞踊】スキル発動。
刀身を水平に傾け、体を右に捻り回転する。
回転の反動を利用して1回転半の間に上体も起こし、再びゴブリン達を正面に構える。
跳躍から斬撃までの時間、1秒。
ゴブリン達の動きに注意を払う。
・・・・・・反撃がいくら待っても来ない。あれ?
こん棒を振り上げた状態で固まっているのである。
次の瞬間。
ゴブリン達の首とお腹の辺りに薄っすらと赤い線が滲み始める。
次第に首が落ち、上半身も滑り落ち、時間差で下半身も地面に倒れた。
ゴブリン達がさっきまで立っていた場所に、彼らの血で出来た水たまりと肉塊が並ぶ。
『うぇっ!、グロッ!!』
自分がとった行動の結果とはいえ、その光景の気持ち悪さに嘔吐しそうになったが踏みとどまる。
とりあえず、初戦闘を無事、勝利で終わることができたので、良しとしよう。
しかし———
蒼龍刀を持つ手に視線を送る。
首を傾げる。
『無かったよな』
そう無かったのである。
ゴブリン達を斬った時に来ると思っていた感触が!
肉を!骨を! 断ち切る感触が手に残っていない。
自分では『しまった!空振った!!』と思っていたのに、ゴブリン達の命はあの一瞬で刈り取られた。
「この刀斬れすぎだろ!なにこれ、怖ぃ・・・・」
剣速もかなり速かったのだろう。刀身には一滴の血すらなく、奇麗なものだ。
戦闘も終わったようなので、刀を鞘に納める。
カチンッ———
やれやれです、本当。
「アリア、お待たせ!ゴブリン達倒したからポケットから出ておいで!って・・・」
アリアに戦闘が終わったことを知らせるために、自分の外套のポケットに目を向ける。
そこには顎が外れるんじゃないだろうかいうほどに、口をポカ~ンと開けたままフリーズしている1匹のピクシーがいた。
「ア、アリア?」
「ミキさん、あなた本当に何者なの!ゴブリンは確かに弱いって言いましたが、1対5ですよ」
「ミキさんのステータスがLv.1なのに卓越しているのは知っていますが、それでも初めての戦闘ですよ」
「敵の攻撃をかわしつつ、1体1体徐々に倒していくだろうと思ってたら、一瞬で5体全部倒すなんて」
「一体何をしたんですか!?」
「いや、無我夢中であまり覚えていない」
「それにあの動き、すごく洗練されていました。とても素人の動きではありません」
「え~と、一応武術の才も持ってるからそのせいだと思うんだけど・・・」
「えっ!魔術の才だけじゃなく武術の才まで持っているんですか!!」
「普通、どっちか1つですよ!そもそも持ってる人の方が少ないのに、それを2つも・・・」
「私、頭が痛くなってきました」
「じゃ~、この話はおしまい!あまり考えすぎるのも体に悪いし、ねっ!!」
無理やり話を終わらせて、追及を回避する。
「でも・・・戦ってた時のミキさん、とってもかっこよかったです」
「動きなんかも舞ってるようできれいでした」
満面の笑みでアリアに褒められた。
いきなり褒められたので、恥ずかしくなって、赤みを帯びた頬を掻く。
「ありがとっ、あともう『ミキさん』じゃなくて『ミキ』っでいい!」(照)
これしか言葉が出てこなかった。
「じゃぁ~、ミキ!ゴブリンの死骸から何かないか探して、剝いじゃいましょう」
「えっ、死体から剥ぐの!!」
「当り前です、魔物の所持品は討伐した人のものになるルールが冒険者ギルドで決まっています」
「素材などはギルドの買い取り窓口で売却できますし、アイテムも武器屋か防具屋に行けば売却可能です」
「ささ、早く早く」
しぶしぶアリアの言う通りに、ゴブリンの死骸を物色する。
結果から言って、お金が手に入りました。
ゴブリン達、魔物にお金がいるのかは疑問だが、何かに使うのだろうと考えるのはやめた。
合計で銀貨8枚、銅貨52枚である。
この世界のお金の単位は【リル:R】らしい。
金貨1枚=銀貨100枚、銀貨1枚=銅貨100枚になる。
銅貨1枚でパンが1つ買えるそうなので、銅貨1枚の価値が日本円でいう100円くらい。
つまり、銀貨1枚=1万円、金貨1枚=100万円になる計算だ。
銅貨1枚で100リルで最低ラインだそうなので、お金の計算は苦労せずに済みそうだ。
ちなみに、金貨の上には白金貨=金貨100枚があるらしく、白金貨1枚=1億円。
笑うしかないwwwww
とりあえずこれで仮の身分証を作るためのお金ができたのだ、(85,200リルGETだぜ!!)
でも、財布みたいなお金入れるもの持ってないんだけど・・・
困っているとアリアが声をかけてくれる。
「ミキさん、魔法の才があるんだから、お金、アイテムボックスにしまえばいいじゃない」
アイテムボックス?そんな便利なものあるの?
しかしどうやってやるんだ?
「頭の中で四角い箱をイメージするの」
「そしたらこんな風に何もない所にに黒い正四角形の扉が現れるの」
「そこに入れておけば盗まれる心配もなし、便利でしょ!」
アリアが実態に見せてくれた。
いきなり何もない所に黒い扉が現れたから驚いた。
その黒い扉に手を差し込んむと物が置けるのだそうだ。
取り出すときは、出したいものをイメージして手を差し込めば取り出せる。
アイテムボックスの中身も頭の中でリスト化できるらしい。
本当に便利である。
お金を自分のアイテムボックスにしまい終わり、やっと街への移動が再開できた。
もう少しで、街にたどり着ける。
心がさっきの戦闘とは逆にウキウキしているのがわかる。
「待っててね、私のご飯~」
食べることしか今は頭にない様だwww
次はやっと街に入ります。




