表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
県立図書館のお話  作者: 村咲 遼
24/27

こちらは、不知火家です。

祐次ゆうじ?」


母のめぐみの声に、無視をする。


「祐次‼呼んでるでしょう?お願いがあるの?」

「何?忙しいんだけど」

「ゲームしてたじゃないの……もう」


愛は困った顔をする。


「……何かあったの?もしかして、もしかして、お母さんの……」

「違う‼」

「じゃぁ……」


祐次のスマホから音楽が響く。


「あ、あげっち先輩からだ……もしもし?先輩……じゃねぇ‼兄ちゃん‼何で⁉」


叫ぶ。

異父兄、祐也ゆうやである。


『久しぶり。祐次』

「兄ちゃん‼何で⁉あげっち先輩の電話‼」

『知り合いか?』

「それは俺が聞きたいよ‼あげっち先輩とどういう知り合いだよ⁉」

『幼馴染み。家の父さんと、揚羽あげはの父さんが親友で、ひめと揚羽の姉の立羽たてはが同じ年で、良く遊んでたんだ。祐次は?』


一瞬考え込むが素直に、


「いや、俺、進学校に入っただろ?でも、成績が良くなくて図書館でうなってたら、あげっち先輩が教えてくれて。それから仲良くしてもらってたんだ。で、本当は今日約束してたのにって……」

『今日は無理だぞ?』

「えっ?先輩の回りでなんかあったのか?兄ちゃん‼」

『いや。揚羽、車に跳ねられて、骨折入院。全身麻酔してる』

「はぁぁ‼」


飛び上がる。


「兄ちゃん‼先輩、どこの病院‼」

『ピースの病院』

「ラジャー‼すぐ行く‼」

『騒ぐなよ?揚羽の妹がいるからな』


祐也に釘を刺されるが、


「あれ?あげっち先輩、姉ちゃんはいるけど……」

『それに、穐斗あきとが……』


ひとしきり電話口で大騒ぎし、


『ゆうにいちゃん‼あーきーとーだよ~‼』

杏樹あんじゅも~‼ゆうにいちゃん‼遊ぼ?おっかけっこ‼』

『駄目だよ。結愛ゆめもいるんだもん。おままごと』

『え~‼カブトムシにクワガタムシ‼』


甥姪の騒動に頭を抱える。

兄の子供は、穐斗はただただ愛らしく、お人形のようにおっとりしており、杏樹はおっとりしているが大胆な……図太い女の子である。

穐斗が生まれたときには、女の子だと思った為、


「何で女の子に穐斗なのさ?」


と聞き、兄に、


「いや、穐斗は男。こっちのじいちゃんばあちゃんや両親が、べっぴんや言うて何でもこうてくるけんなぁ……それに、大人しいけん。穐斗?」


振り返った幼児が、にぱぁぁ……と笑う姿に祐次もめろめろになったのだが……。


『ゆうにいちゃん‼あのね?お友だちのお姉ちゃんがいるの。お人形遊びしてるの』

「ちゃんばらごっことか……しないのか?」

那岐なぎちゃんにエイって。泣いちゃった……そうしたら、風早かざはやお兄ちゃんが日向ひなたパパ呼んで、おしりペンペン』


兄も温厚だが、穐斗は兄の嫁のほたるに似たらしい。

と、再び電話の向こうが大騒ぎになり、


『わぁぁ、祐次くん久しぶりです。元気?』


えへっ?


と声が聞こえてきそうな、兄と同じ年には到底思えない三児の母の声。


「……姉ちゃんも元気そうだな。えっと……大丈夫か?体」

『ありがとう。祐次くん優しいね~』


と言うか、小さい頃に初めて会った兄嫁は本当にお人形のように可愛かったのだ。

今でも、年をどこかに忘れて来たのかと思うほど若い‼

幼い‼


『じゃぁ、遊びに来てね?えっと、お部屋番号は……祐也がいってるけどこの番号だから』

「えっと、遊びにって、病院じゃん‼姉ちゃん‼」

『だって、久しぶりに祐也も、うちも祐次くんに会いたいもん。ね?祐也?』


義理の姉は好きだが、それ以上に兄が好きな祐次は、


「わ、解った。行くから‼待ってて‼」


と言ったのだった。

ブラコン弟登場‼です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ