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県立図書館のお話  作者: 村咲 遼
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後で夏蜜の治療について、話し合いが行われるそうです。

「あ、お母さん、お姉ちゃん。瑠璃るりちゃん」


顔を覗かせて姿を見せた母と姉と妹に、笑顔になる。


夏蜜なつみ大丈夫?」

「うん。先生に包帯取り換えて貰ったの」

「先生……そ、その人形は‼」


立羽たてはは顔をひきつらせる。

夏蜜は、嬉しそうに、


「先生が、元気になれます様にって応援してるって貸してくれたの」

「……あ、そうなの。あ、そうそう。揚羽あげはがメールでいっていたものを持ってきたのだけど……」


抱っこひもに瑠璃を、そして大きな袋を持ってきていた立羽に、揚羽は……、


「あぁ、ありがとう、姉貴。おおばしくてごめん」


と、二つ紙袋を掴むと夏蜜に近づく。


「夏蜜ちゃん。ヴィヴィちゃんはこっちに置いておいて、お兄ちゃんの部屋のぬいぐるみあげるね?はい、これが象のリカさん」


大きな袋に一杯の象のぬいぐるみに、目をぱちぱちする。


「リカさん‼大きい‼」

「そうなんだ。今は痛いかもしれないけど、後でぎゅって出来るね?」

「わぁぁ……いいの?お兄ちゃん……」

「お兄ちゃんの部屋の何処かにあるよりも夏蜜の方が大事にしてくれるでしょう?」


そして、ベッドに置くと、


「それでね……お兄ちゃんの同級生がゲームセンターで取るからね、でも要らないって言うからもらって帰ってたんだけど……姉貴。ウサギのユルルは?」

「あんなおおきなの持ってこれないわよ‼それよりも大きいんだもの」

「ウサギのユルル?えっと、テレビのアニメの?ウサギになっちゃう魔法をかけられた女の子が、お友だちのハムスターのハムムと、ワンちゃんのメルルと一緒に魔法を無くす月の欠片を探すお話‼」

「そうそう」


お子さまアニメだが、キャラクターが可愛いのと声優がとても似合っていて、人気が高い。

一応、巨大ぬいぐるみをとった友人がくれたのである。

くれたものはもらう。

揚羽の鉄則である。


「ユルルとハムムとメルルがいるからね。楽しみにしてて。で、これこれ……」


袋を探り、差し出す。


「これこれ。フニフニのゲームセンターで取ったの。積み上げてもいいし、可愛いでしょ?お手玉にもなるかもね?」

「ウワァァ……お姫様シリーズだぁぁ‼まえに、買い物に行ったときに可愛いなぁって……」

「それと、限定のコラボ着ぐるみバージョン‼」

「わぁぁ‼お姫様が雪だるま?それに、ニャンコの着ぐるみバージョン‼」

「ふふふ。こう言うのは、取り逃がさないの、俺」


出していく。

そして、


「これが、カードケース。キーホルダーにもなってるからバッグにつけようね?」

「……た、宝物、一杯……ゆ、夢みたい……」


瞳に涙をためて、唇を震わせる。


「夏蜜……夢じゃないのよ?お父さんはいないけど、お母さんもお姉ちゃんもお兄ちゃんも瑠璃もいるわよ。だから泣かないで」

「お母さん……目を開けたら、無くなってたら哀しい……」

「そんなことにはならないわ」


真澄は優しくなだめ、微笑む。


「お母さんがぎゅってしてあげるわ。大丈夫よ」

「うん、うん……お兄ちゃん、ありがとう。うれしいです」

「これだけで喜んでたら残念。はい」


差し出されたのはガチャガチャの外ケースのままのもの3個。


「これは……?」

「開けてあげるよ。はい」


渡されたのは、髪ゴム二個入りで、それぞれユルルとハムムとメルルが入っていた。


「ユルルとハムムとメルル‼可愛い‼」

「でしょう?」

「これ、いいの?お兄ちゃん」

「良いよ?お兄ちゃんがつけたら変だもん」


ひょうきんな顔になる揚羽に、夏蜜はプッと笑う。


「やったぁ。夏蜜が笑った」

「……お、お兄ちゃん、お母さんたち……夏蜜は大好き。ありがとう」




しばらくして、立羽が夏蜜と瑠璃とお揃いに髪の縛りあいこをして、写メを撮ったり、代わりに母に撮って貰ったりしているのを見つつ、


「ばあちゃん。ちょっとお風呂と準備に時間かかると思うけど……」

「あんたはどうやって帰るん?」

「自転車。図書館まではちょっとかかるけど……」


福実ふくみは財布からお金を出す。


「これでいんどいで。家で昼寝したらええわい」

「えぇの?だんだん」




財布に納め、そしてそっと部屋を出ていったのだった。

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