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いやいや、ちょっと待て‼

作者: ハナハナカ

婚約破棄ものです。

ある王国の学園卒業パーティーでの出来事。

「おい、メルティ・ヤードレール、公爵令嬢という身分でありながら、愛しいミルルを身分をかさに虐げ、さらに命をも奪おうとするとは、恥を知れ‼よって、今日この日をもって、私ルイス・オークスとメルティ・ヤードレール公爵令嬢の婚約は破棄とする。そして、あらたに心優しく美しいミルル・アルオルテ男爵令嬢を私ルイス・オークスの婚約者とする‼」

突然始まった断罪。

卒業パーティーのダンスホール中央にて、本来壇上にて司会進行役である生徒会メンバーである生徒会長でありこの国の第3王子、副会長で宰相の甥であり未来の宰相補佐候補と評判の公爵子息、会計で側室の第3王子の母の実家の伯爵子息、書記で魔術省大臣の養子であり魔術の天才と評判の侯爵子息、そして、庶務で男爵と身分は低いながら大商会を経営し成功をおさめている男爵子息、そしてその後ろに守られるようにして、ピンクゴールドの髪を持った儚げな容姿をした美少女、それに対するのは、少しつり目でありながらシルバーブロンドをなびかせた美少女というよりも美女と評した方がいい令嬢を囲み、いきなり婚約破棄宣言をした。

騒然とするなか、かの公爵令嬢は優雅に扇で顔を隠してしまい、その表情は見えない。ショックはいかほどであろう。

『いやいや、ちょっと待て‼なにを言ってるんだ、こいつら‼いやいや、落ちつけ、私。と、とりあえず、詳しい話を聞こう。さっき、かなり危ない言葉もでてたし。』

実際は、ショックを受けたというよりも何が何だか分からないため、意味もなく焦っているだけだった。

しかし、公爵家としてのプライドから扇で顔を隠しどうにか動揺を隠しているだけだった。

「殿下、婚約破棄とはどういうことですの。私、理解ができませんの。詳しく教えてくださらない。」

「この期に及んで、まだそんなことを言っているのか‼心が醜いだけでなく、頭までおかしいのか‼」

「本当に、醜い。自分のしたことさえ、責任をもつことも出来ないなんて、公爵様もこんな娘をもってお気の毒に。」

「本当に、ミルルと違って、性格悪いねぇ。僕、こんな女、いくら容姿が美しいからって、頼まれたって抱きたいと思わないなぁ。」

「最悪。」

「性格ブスで、頭も悪いなんて救いようがないですね。」

上から、第3王子、公爵子息、伯爵子息、侯爵子息、男爵子息と汚ないものをみる目を隠さずに罵声をあげた。

『いやいや、ちょっと待ってくれ‼今の当たり前の質問だろ。

何で、罵声あげられたわけ。とりあえず、反論するにも訳がわからんとすることも出来ないから、今は我慢しろ、私。』

叫びそうな自分を理性で抑え、なんとかもう一度言葉をつむいだ。

「本当に、私理解出来ませんの。教えてくださらない。」

「本当に、呆れた奴だな。心優しいミルルが罪を素直に認めて、謝れば命まではとらないでと言わなければ、未来の王子妃を殺害しようとした罪で処刑してやったものを。いいだろう。そんなにふざけた真似をするなら、皆を前に罪を裁こうではないか。オクト。」

一歩前に公爵子息が進み出た。その手は、書類を持っている。

「メルティ公爵令嬢、あなたは、ここにいるミミルを嫉妬しですが危険にさらした。まず、はじめに学園内にミミルの悪い噂を流し、除け者にしようとしたこと。第2に、ミルルの母君の遺品であるネックレスを壊したこと。第3に男達を雇い襲わせようとしたこと。そして最後に、階段から落とし命まで奪おうとしたこと。この国の貴族として、皆の見本になるべき公爵令嬢でありながら、その行動は畜生に価します。」

『いやいや、ちょっと待て‼ほんと、何言ってるんだこいつら‼とりあえず、こんな断言するなら、証拠があるはずだ。とりあえず、証拠を聞いてみよう。』

「もちろん、証拠はありますの。」

「「「「「被害者であるミルルが、そう証言したことが証拠だ。」」」」」

第3王子、公爵子息、伯爵子息、侯爵子息、男爵子息が一斉に断言した。

『いやいや、ちょっと待ってくれ‼被害者⁉、

が言っただけかい。そんなの証拠になるはずがないだろ‼こいつら、これでも、未来の王国の精鋭達かよ。大丈夫か、この国‼』

公爵令嬢、そして学園の生徒、教師、保護者達の心の声が揃った瞬間だった。

「あなたがた、何をい「メルティ様、罪を素直に認めてください。私、謝っていただければそれでいいのです。」ってますの。」

メルティの言葉を遮り、今まで黙っていたミルル??男爵令嬢が話てきた。

「「「「「ミルルはなんて優しいんだ。」」」」」

「ミルルの優しさはこんな奴にもったいない。」

「優しい。」

「やはり、俺の王子妃にふさわしい。」

「王子、まだあなたのでないです。ミルルが好きなのは私ですしね。」

「何言ってるの、ミルルが好きなのは僕だよね。」

「皆、私のために喧嘩はやめてぇ。私。皆のことが大好きよぉ。」

「「「「「ミルル、なんて優しいんだ。愛してる」」」」」

……。

『いやいや、ちょっと待て‼なんだ‼この茶番は。はぁ、とりあえず、反論するか。』

ついに、メルティは今まで隠せていた表情も隠すことも出来なくなってしまった。

「はぁ、王子様方、あとミミル??男爵令嬢、ちょっと話の続きをさせていただきますわ。まず、先ほどのネックレスを壊したこと、ですが、いつのことですの。」

男爵令嬢に視線を向け問いかけると、

「こわぁい、メルティ様が恐ろしい目で睨んできましたわぁ。」

といいながら、王子に腕を胸挟みながらすがりついた。

「メルティ‼これ以上、ミルルを害することは許さん。代わりに、答えてやろう‼おい‼」

ミルルにすがりつかれている王子を睨みながらと男爵子息が進み出た。

「ミルルを守るために、僕が答えます。ネックレスが壊されたのは、3ヶ月の10日の昼休憩の時間です。いつもは、この時間テラスにいるあなたがこの日だけ、現れなかった。これが証拠です。」

男爵子息は、胸をはり堂々とした態度で応えた。

「はぁ、そうですの。次に男達を襲わせたとのことですが、

いや、もうめんどくさいのでされたことがいつなんで私がしたのか答えてくださらない。」

「なんて、態度だ。ミルルの優しさに甘えておきながら‼いいでしょう。答えてあげましょう‼ミルルの悪い噂を流したのは、4ヶ月前、理由は王子とミルルがテラスで一緒に食事をとるのを見て、嫉妬にかられ悪い噂を流すことにより、ミルルを追い詰め学園から遠ざけようと、取り巻きを使い噂を流した。次に、男達を雇い襲わせようとしたのは、1ヶ月前の25日、そして、階段から落としたのは3日前、いずれも王子との仲、さらに僕達にも愛される美しく愛しいミルルに嫉妬した結果、犯行に及んだことは分かっている。」

「……。はぁ、そうですの。なんて愚かな方々。」

メルティは、もう疲れてきたが、ちゃんと反論しないとなにをされるかも分からない為反論することにした。

「いずれも、私の犯行ではありませんわ。まず、ネックレスの件ですが、そもそも私その日は学園に来ていませんわ。その日は隣国のトライザル国の大使の対応の為、王宮にずっとおりましたもの。」

「嘘をつくな‼」

「嘘ではありませんわ。その証拠に、王宮の管理簿にもいつ王宮に来ていつ王宮を出たかの記載されておりますし、何よりあなたの叔父の宰相様と一緒にずっとおりましたもの。ねぇ、宰相様。」

すっと、壇上の上を見ると呆れた顔をした宰相と怒りに顔を歪めた国王陛下、氷の目線を送る王妃殿下、そして青ざめた顔の側室であり第3王子の生母がいた。

「あぁ、確かにその日は、公爵令嬢と一緒に隣国の対応を1日中しておりました。わざわざ、私の答えなくても、王子方にも、隣国の大使がきていることを伝えていましたので知っているはずでしたがね。さらに、そこの男爵令嬢でしたかな。そこ令嬢が階段から落とされたという日も、公爵令嬢は隣国の大使がいらっしゃていたので、昨日までずっと王宮に1週間ほどおられたので、階段から突き落とすことなど不可能です。」

「宰相様、ありがとうございます。あとの噂や男達に襲わせようとしたことですが、そもそも私第3王子のこと好いておりませんもの。する必要がございませんわ。」

「嘘よ‼あなたが、私に嫉妬したのは分かっているんだから。皆に愛される私を‼それに、階段やネックレスのことだって、きっと取り巻きを使ったんだわ。」

ミルル??男爵令嬢は、顔を真っ赤にして叫んだ。

「「「「「そうだ。ミルルが嘘を言うわけがない‼」」」」」

「はぁ、そうですか。この方々このままですと、何を言っても無駄ですわ。もういいですわ。国王陛下方。もうこの際なので、本来は明日発表予定でしたが、今から発表することにしますわ。」

「大変、すまなかった。後で国から正式に謝罪させていただこう。」

国王陛下が沈痛の顔で頭を下げたことにより、大きなざわめきが発生した。

「父上。こんな女に頭下げる必要はありません。未来の王子妃のミルルに害をなした女です‼」

「馬鹿者‼なんてことをいうのだ、お前は‼」

「国王陛下、いいですわ。とりあえず、叱責は後にしませんこと。先に、発表しますわ。まず、私はそこの第3王子と本当には婚約しておりませんわ。」

「「「「「嘘だ‼」」」」」「嘘よ、いい加減なことを言って‼」

ミルル??男爵令嬢と愉快な仲間達が一斉に叫んだ。

「うるさいですわ。そもそも、婚約したようにみせかけて、お互いに、婚約者候補達の争いを避ける為婚約しているようにみせかけていただけですわ。」

「た・たとえ、婚約を本当にしていなくても、お前は俺のことが好きでミルルに嫉妬していたはずだ‼」

「そうよ。王子に愛される私に嫉妬していたはすだわ‼」

「はぁ、嫉妬する訳ありませんわ。そもそも、私の恋愛対象は女ですわ。」

「「「「「「はぁ‼」」」」」」

ミルル??男爵令嬢と愉快な仲間達、そして周りの者達も衝撃な事実に唖然とした。

それに構わず、ちゃちゃっとこの茶番を終わらせたいメルティは、無視した。

「だって、私男ですもの。」

周りは、一瞬で固まった。

誰もが、動けない状態で、奇しくも一番始めに回復したのは、ミルル??男爵令嬢だった。

「う・うそよ‼悪役令嬢のメルティ・ヤードレールが男の筈がないわ。」

『悪役令嬢??いやいや、ちょっと待て‼この娘、何言ってるんだ。』

メルティは、よくわからない発言をしたミルル??男爵令嬢を放置し、

「嘘ではありませんわ。我が家の風習で、身分を隠し18歳まで過ごす風習がありますもの。」

「嘘だ‼この国の王子である俺がそんな風習がある貴族を知らぬ筈がない‼いい加減なことを言うな‼」

「私、そもそもこの国の貴族だと言いましたか??私、この国の者ではありませんもの。」

「この国のものでないものがこの学園に来れる訳ないだろう‼」

「確かに、一般的には、この国の貴族でないならこの学園には通えないでしょう。しかし、同盟国であり、隣国の皇太子のメルト・トライザルである私は例外です。」

「嘘よ‼隠しキャラの隣国の皇太子と悪役令嬢のメルティ・ヤードレールが同一人物の筈がないわ‼それに、どう見ても女にしか見えないわ‼」

「そ・そうだ。メルト皇太子と見た目が明らかに違うではないか‼」

「さすがに、そのままの容姿で学園に通う訳ないでしょう。」

メルティ、いやメルトから、一瞬にして光が溢れ男の姿に変わった。

『いやいや、ちょっと待て‼展開があり得なさすぎてついていけない‼』

皆の心がひとつとなった。





その後、ミルル??男爵令嬢は王族を騙し、同盟国との同盟にひびを入れようとした罪で処刑となった。

そもそも、メルトとミルル??男爵令嬢は会ったこともないのが証明された。会ったこともない相手だから、もちろん嫌がらせ等してないことと証明されている。

第3王子等の愉快な仲間達はそれぞれは身分を貴族から平民にされ、罰としてそれぞれ鉱山仕事や敵国との国境の警備等の力自慢でも厳しい罰を受けた。

メルトはというと、もちろん国に帰り、三年後皇帝となった。同盟破棄となるかと誰もが思ったが、オークス国の一の姫との結婚により同盟は維持されたという。

その頃から、『いやいや、ちょっと待て‼』を合言葉として、何かをする際一度たちどまり考えてから行動するべしとの考えが王国に広まったとされる。


評判が良ければ、別視点とか婚約破棄後の話も書くかもしれません。

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