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善玉菌ちゃんと悪玉菌くん

作者: うどん

 善玉菌ちゃんは有紀ちゃんのお腹の中に住んでいる正義の味方の女の子です。

善玉菌ちゃんは、消化を良くして栄養を取りやすくしたり、体調を良くしたりしてくれます。


 悪玉菌くんも有紀ちゃんのお腹の中にいる男の子ですが、

彼は有紀ちゃんのおならを臭くしたり、太りやすくする意地悪な男の子です。


 ある時、善玉菌ちゃんは言いました。

「なんで、そんなに悪い事ばっかりするの?」


 それに対して悪玉菌くんはこう答えました。

「悪玉菌なんだ。悪い事をしておかしい事があるものか。」


 そういって、今日も有紀ちゃんに嫌がらせをしていました。

仕方がないので、善玉菌ちゃんは必殺のすっぱいビームを使って悪玉菌くんをお仕置きする事にしました。

そうすると、悪玉菌くんは少し大人しくなりましたが、体が丈夫なのでしょう。

しばらくすると再び悪戯を始めました。

そしてその度に善玉菌ちゃんはそれを諌めようとして、最後にはすっぱいビームでお仕置きをしていました。


 そんなある日、です。

有紀ちゃんのお腹の中に、超悪玉菌がやってきました。

超悪玉菌は悪玉菌くんの親戚で、凄く怖くて悪い男です。


「がはははは。俺はとても悪い男。超悪玉菌。

有紀ちゃんのお腹の中にいっぱいガンを作って、

美味しいものをたくさん食べたり、お日様の下で走ったりできなくしてやる。」


 超悪玉菌は実に解りやすい説明をしてくれながら、有紀ちゃんのお腹の中で暴れまわりました。

それを善玉菌ちゃんは止めようとしましたが―――――――――――――、


「うるせえ、黙ってろっ!!」


 かよわい善玉菌ちゃんは超悪玉菌の強烈な一撃でダウンしてしまいました。

何とか起き上がって必殺のすっぱいビームを超悪玉菌にかましましたが大して効きません。

善玉菌ちゃんは解りました。悪玉菌くんは今までわざとやられた振りをしてくれていたんだと。

そんな倒れてしまった善玉菌ちゃんに止めを刺そうと超悪玉菌が善玉菌ちゃんを踏みつけてその力を徐々に強めていきました。

最早絶体絶命。その時です。


「その臭い足をどけろ。」


「悪玉菌くん!? どうして…。」


 なんと悪玉菌くんが善玉菌ちゃんのピンチを救いに来たのです。


「おいてめえ、お前も悪い奴の仲間だろうが。俺と一緒に有紀ちゃんをやっつけてしまおうぜ。」


 善玉菌ちゃんだけではありません。超悪玉菌も驚いていました。

何故、悪い奴が正義の味方の助けをしようとするのか、と。


「ふん、有紀ちゃんのお腹の中で生きているのに、

有紀ちゃんをやっつけてしまおうという、お前のやり方が気に喰わない。」


 そんな悪玉菌くんに善玉菌ちゃんは聞きました。

「でも、悪玉菌くんもいつも自分は悪い奴って言ってたよね。」


 悪玉菌くんは答えました。

「悪にも悪の矜持がある。コイツはそれを破り捨てた。」


 超悪玉菌も裏切った悪玉菌くんを許す様子は無いようです。

「そうか、だったらお前も一緒に倒してやる。」


 そうして悪玉菌くん対超悪玉菌の殴り合いが始まりました。

悪玉菌くんは普段善玉菌ちゃんのすっぱいビームにやられているのがウソの様に強かったです。

しかし、

それと同じくらい超悪玉菌も強かったのです。


 ギリギリで超悪玉菌が勝ちそうになった時、

お腹の中が急にゴロゴロと言い始めました。

「どうした。一体何が起きたっ!?」


 超悪玉菌は突然の地震に驚いています。善玉菌ちゃんもです。

ですが、悪玉菌くんだけは不敵に笑っていました。


「どうなったか知りたいか?

答えは―――――――――――――――――――――――おならだ。」


プー。


 そのおならの勢いで超悪玉菌と悪玉菌くんは共に下に流れ落ちていきました。

「善玉菌ちゃん、有紀ちゃんの事を頼んだぜ。」

そう、言い残して。


「悪玉菌くん…。」

 悪玉菌くんとすっぱいビームをぶつけてじゃれ合った日々はもう戻ってこないのです。

そして有紀ちゃんの体は悪玉菌くんの遺言通り、善玉菌ちゃんだけで精一杯健康になって行きました。












 そしてそれからしばらく時がたって、



「へへ、待たせたな。」

善玉菌ちゃんは下の方から再び登りあがってきた悪玉菌くんに再会しました。

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