第六話
[ピピピピッ]
急に電子音が鳴り響いた。
「?何の音?」
『あ、これは連続ログイン時間が現実世界での五時間を過ぎる10分前になるブザーみたいなものです。』
「へぇ。それは便利…………って、つまりもう五時間やったって事!?」
『えぇと、はい。そうなります。…残念ながら。』
「やば!帰らなくちゃ。あ、そうだ。このゲームって、何時始まるの?」
『へ?確か公式サイトに掲載されていたと思いますが、明日からです。』
「わかった。それじゃあまた明日!」
『はい。また明日。』
そう言って、私はGeneric World Onlineをログアウトした。………何か変な響きだけど。
「ぷはぁ~、疲れた~。」
「お疲れ~。ほい、麦茶。……それにしても長かったね~、連続ログイン可能時間ギリギリまでログインするとは思わなかったよ。」
「うっさい、茶化すな。意外に長引いちゃったんだから。それと、お茶、ありがと。」
「いいえ~(笑)。…でもそこまで長引く話だったっけ?」
「いやー、中の話よりも予定外が多くて、もう大変大変。無駄に時間食っちゃった。」
「……………。ねぇ、その予定外ってさ、特殊AIの引き入れが入ってる?」
「ぅえ!?何で!何故判る!?」
「はぁ~、やっぱり。あ、理由は同類だから。まぁ、姉ちゃんは完全な人型でしょ?引き運的に。こっちは何かゴーレムみたいな、ロボットみたいなヤツ。喋りが機械的で聞き取り難かったよ。」
「へぇ、人によって変わるんだね。更に楽しく感じれるよ。」
「これに関しては諸説有ってね、その内の一番有力だって言うやつが有って、」
曰く、運営は特殊AIを渡す為にアバター作成の補助をさせるらしい。
「だから、千差万別。その人に一番合ったAIをよこす。ただし、そう簡単に仲間にはなってくれない。それが人に近ければ近いほど。」
の、はずなんだけどねぇ。
と、弟は続けた。まぁ、言わんとする事はよく分かっている。つまり、
「あまり目立つな、でしょ?分かってるわよ。私はどちらかと言えばインドア派よ?何が悲しくて目立つってさ。面倒臭い。」
「ま、分かってくれるのなら良いんだけどね。………でも、自分の性別位ちゃんと判っていて欲しいよ、まったく。」
「?アンタ、何か言った?」
「いや?何も無いよ。まあそう言うことだから、悪目立ちはするなって言う念押し。」
「分かった。しっかりとその忠告を承ります。」
えーと、今の時間は、ってやば!もう10時じゃん!
「明日も早いから、私はもう寝るね。アンタも、ちゃんと寝なさいよ。」
「へいへい、分かりやしたよー。お休みなせぇ~。」
「お休み。」
何だろう。久々に感じるな、このワクワク。
『おい、悠莉。』
「何?急に。眠ってたんじゃないの?」
『明日の……VRMMO?とか言うゲーム、アタイも参加して良いのかい?』
「勿論。まぁ、最初はいつもと変わらないけど、その内ゴーレムか何かを造って、アナタだけでも戦えるようにしてあげる。」
『ホントかい!?ありがとう、悠莉。アンタの事はアタイが護ってあげるよ。』
「ふふっ、ありがと。あ、やば。本格的に眠く成ってきた。また明日、ね。おや……す…み。」
『ああ。お休み。』
明日は、どんな一日に……なるの…………かな?