第三話
「さぁーて、作りますか~。」
結局、昨日アバターを作れなかったので、弟からの小言を貰い、泣く泣くアバター作りに勤しむ私です。
「もう!あんなに怒らなくても良いじゃん!ちょ~っとやる時間遅れるだけなのに~。」
はい。勿論拗ねてます。たかがゲームであんなにキレるものかねぇ~?私には疑問だよ。
「な~にが『姉ちゃんは約束守ることすら出来ないの!?』よ。唯でさえ家事と仕事で忙しいのに、そう簡単にゲーム何か出来るわけ無いでしょ。」
「うん、姉ちゃんがそんだけ不満を持ってゲームをやろうとするってことはわかった。」
「分かってくれる~?って!?何で居るのよ!ここ私の部屋よ!?」
「姉ちゃんが"また"忘れることが無いように。ついでにちょっとした情報も持って来たんだけど、いらなそうだね。」
「あぁ~!!要る!要る要る!要ります、ください!」
「うん、いいよ。で、情報なんだけど、」
「うんうん!」
もう速攻正座ですよ。どんなものでも情報が無ければクリアは難しくなりますから。
「良く有る小説みたいな不遇スキルの話。え~と、」
と言いながら、弟はその手に持つ10cmほどの厚さの紙束を捲っていった。………って!ちょっと待て!
「アンタ、何れだけ情報が有るのよ!?」
「あー、メッチャたくさん、としか言いようが無い。まぁ、代表的なのを上げるよ。」
そこで上げられた不遇スキルは、"調教"、"召喚"、"弓術"、"銃術"、"料理"、"発見"、"魔方陣"等、その他諸々まさにテンプレの一言で済みそうなラインナップ。
「あ、やっぱり銃ってあるのね。」
「まぁね。ただ世界観を壊すって理由から、全て自作しなきゃダメらしいけどね。んで、不遇スキルの中でも奇抜な所を上げると、"五行術"。」
「何それ?」
「"五行"って有るでしょ?それを、魔法っぽく発動できる術。」
「え?それって、かなり強いと思うんだけど?」
「相手が単一属性ならね。奥に進めば、属性の複数持ちはゴロゴロ居るわけこのスキル相手にも効くから、下手すると倍以上の強さになったやつらと戦わなくちゃいけないわけ。」
「あー、確かにそれは危ないわ。うん、不遇って憑くわけだ。」
「まぁ、一発の威力はでかいわけだから、使えるっちゃ使えるんだけどね。あと、意外な所だと"槍術"。」
「え?何で?色んな小説で使われてるじゃん。」
「いやね、この"槍術"単体だと不遇っていうか、難しいスキルだってだけ。他のスキルとの組み合わせで成長させなきゃいけないから、めんどくさいって理由で不遇。」
「なるほど。結構難しそうね、スキル選び。」
「まあ遊び方によるんじゃない?今上げた不遇スキルが、本当に不遇になるのは。」
「それもそうね。楽しめれば、不遇も何も無いよね。」
「そうそう。それはそうと姉ちゃん、いい加減アバター作ったら?」
「やば!忘れてた!…夕飯は、冷蔵庫に入れてるから、戻らなかったら食べてて?」
「ん。了解。頑張ってね~。」
そう言いながら弟は出て行き、私もアバター作成の準備を終えた。
「よし!やりますか!」