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一人百首  作者: 奈月遥
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だいくじゅうはっしゅ くさゆれる はれまつづきに せみしぐれ みづをうちつつ くもながむらむ

第九十八首

草揺れる 晴れ間続きに 蝉時雨 水を打ちつつ 雲眺むらむ


 夏の気怠い暑さは、しょうじき、嫌い。

 蝉しぐれも鬱陶しくて、うるさくて。

 じめじめした空気を嫌でも意識させてくる。

 からりと晴れた、なんて。

 だれが言うのかしら。

 じわりと晴れた空に、申し訳程度に吹く風も熱をはらんで。

 揺られる草も、元気があるような、ないような。

 せめて、これくらいは暑さに抵抗しようかと。

 道路に水を打ってみるけど。

 意味、あるのかな、これ。

 ああ、もう。

 叫びたくなるけど。

 近所迷惑だし。

 ていうか、叫んでも、蝉の熱烈求婚アピールにかき消されるし。

 どんだけ女に飢えているのかと。

 みっともない男たち。

 そんな自己主張と自慢話を大声でされたって、少しも心の琴は震えないの。

 あー、もう、まったく。

 空にはあんなにも、大きな入道雲があるのに。

 蝉時雨が雨音をかき消すせいか。

 少しも雨滴が降ってこない。

 なんてこと。

 なんていけず。

 なんて愛がない。

 そんなに大きな雲ができあがるのなら。

 夕立ちでも降らして、涼しくしてよ。

 ああ、ほんとに、まったく、もう。


くさゆれる はれまつづきに せみしぐれ みづをうちつつ くもながむらむ


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