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だいくじゅうしちしゅ くれなずむ しうんもえたる あきあかね とほきふるすに おもひはせなむ
第九十七首
暮れなずむ 紫雲燃えたる 秋茜 遠き古巣に 想ひ馳せなむ
大学に入って、二年目の秋。
始めて、故郷へと帰った、その帰り。
遠くの、過ぎていく景色の、さらに後ろで。
夕日が沈んでいくの。
その夕焼けは、貴い紫に空を染め上げて。
また、帰りたいと。
還りたいと。
わたしに郷愁をかきたてる。
その中へ。
あの暮れなずむ空の移ろいへ。
飛んでいこうとするアキアカネはきっと。
わたしと同じで、遠くになってしまった古い巣に想いをはせているんだろう。
くれなずむ しうんもえたる あきあかね とほきふるすに おもひはせなむ




