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一人百首  作者: 奈月遥
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だいはっしゅ ゆけむりと うすずみくもの しずけさに よのつねわすれ とけいりたしや

第八首

湯煙と 薄墨雲の 静けさに 世の常忘れ 溶け入りたしや


 研究室の研修旅行で温泉に来まして。

 温泉、いいですよね、温泉。

 もう温泉が好きすぎて、一回の入浴が一時間、それを三度、四度と入ってしまいます。

 露天風呂は言わずもがな。

 秋の薄雲は、水に垂らした墨みたいに、たゆとってる。

 あぁ、あぁ、心地いい。

 わたしは熱いお湯が好みだけど。

 このぬるま湯も気持ちいい。いつまでも入ってられる。

 とろけてしまいそう。

 普段の生活で、時間に追われたり、作業に右往左往したり。

 人の言葉に振り回されたり、妬まれたり。

 うっかり忘れたり、手がすべって失敗したり。

 そんな煩わしいこと全部、忘れて。

 このまま溶けてきってしまいたい。

 この一時間。

 人生から見れば、湯煙が立ち上って消えるまでのような、一瞬き。

 忙しないいつもを、無常に溶かしたこの温泉に浸かる間も、すぐに無常と消えてしまう。


ゆけむりと うすずみくもの しずけさに よのつねわすれ とけいりたしや


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