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第八十四首 いみじくも 待ちなる君が 糸縒りて 暮れて閉じたる 世の関越えむ
だいはちじゅうししゅ
いみじくも まちなるきみが いとよりて くれてとじたる よのせきこえむ
その愛しさを、立ち上る花霞のように淡いものだと思っていますか。
常に想うよりもなお深く、強く、理解者を求めて、声もなく泣きながら、そこにいるのですか。
そんなふうに、夜を迎えて逢坂の関は閉じてしまったと、君は涙を溢すのですか。
誰も越えられないと思い込んでいるその関の中で、想いの糸を縒り合せようとしながら、待っているのでしょう。
縒り合せるのに、合わせる糸がなくて、それを待っているのでしょう。
なんと健気なことでしょう。
では、君の思い込みを打ち破ろうか。
その嘆きの絶望を追い払おうか。
君に抱く感情を伝えにいこうか。
いいですか、よく聞きなさい。
いみじくも 待ちなる君が 糸縒りて 暮れて閉じたる 世の関越えむ
いま、いくよ。




