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一人百首  作者: 奈月遥
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だいろくじゅうろくしゅ おおさくら ひとにさはれば きられるも いたしかたなし だれぞなげくや

第六十六首

大桜 人に障れば(触れば) 切られるも 致し方なし(痛し方なし) 誰ぞ嘆くや


 桜は怪我に弱い樹木です。

 皆さんも、一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。

 桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿、と。

 桜はもともと病気への抵抗力が弱く、菌に侵蝕されますと、それを排除できずに朽ちてしまうのです。

 まして、染井吉野は交配雑種。人によって大切にされた両親を持つその品種は、野生種と比べて遥かに、病気に弱いです。

 桜の病を見るには、花の数を見ればいいです。

 具合の悪い樹は、花を付ける生命力を失ってしまうのです。

 桜は年を重ねれば随分と大きくなるもの。梅の細い身振りと比べれば、その大きさははっきりと感じられるかと。

 しかし、大きい樹は、厄介なもの。

 時には枝が自重に耐え切れず、落ちてきます。

 数十年を生きた桜の太い樹は、車をへこませることもあります。

 それがもし、人に落下したら。

 そんな懸念が出る桜は切られてしまいます。

 仕方がありません。

 桜は痛いとは思いませんし、道行く人は桜が切られたことも気付かず心を痛めることもありません。

 いったい誰が桜のために嘆くといいましょうか。

 せめて、切るにしても、桜の眠る冬に切ってくれればいいものを。


おおさくら ひとにさはれば きられるも いたしかたなし だれぞなげくや


 ひとつ、訂正を。

 わたしは、桜のために心を痛めます。

 そして、わたしに桜が弱ってることを教えてくださった方々も、深く桜を悼み、どうにかしようと立っています。


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