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だいろくじゅうししゅ こよみにて はるたつよりも うめがさき はるめくかほり つたへらるあさ
第六十四首
暦にて 春立つよりも 梅が先(咲き) 春めく香り 伝へらる朝
二月三日と言えば節分で。
明日は立春、春の始まり。
うん、今日はあったかくて、それっぽい。
いい感じ。このままぽかぽかしてくればいいんだけど。
あ、スギ花粉はのーさんきゅーで。
なぁんて、しょうもないことを考えてたら。
ふあり。
甘酸っぱい春の香り。
ああ。
桜より。
李より。
桃より。
誰よりも早く、春をウグイスと唄う花。
わたしは見つけたよ。
ひっそりと、小さな花を咲かせて、香りばかり辺りに香らせる楚々とした人よ。
今日はいい朝。
だって、太陽が春を巡らせるよりも。
人が春を告げるよりも早く。
春めく香りを知らせてもらえたのだから。
その濃い色の枝先に、ひとつ、ふたつと綻ぶ艶やかな紅の、なんて女らしいこと。
人を魅了する色香で、自分の姿は気付かれないようにして。
どんなに恥ずかしがっても、その魅力は人を惚れさせるのに。
こんなふうに、他の女性がいない間に事を済ませようだなんて、臆病な女性。
恥じ入ることなんて、なにひとつないのに。
こよみにて はるたつよりも うめがさき はるめくかほり つたへらるあさ




