第四十八首 粉雪の 静けき夜に 眠りたし 久遠に沈む 融けざる氷
だいしじゅうはっしゅ
こなゆきの しづけきよるに ねむりたし くおんにしづむ とけざるこほり
粉雪があらゆる音を飲み込む夜。
静寂に包まれて、誰人の声も届かない。
刹那が切り取られた感覚。
永遠に凍りついた感覚。
零と無限大が、同一の概念で形成される。
叶うのならば。
このまま眠りに就きたいものだ。
久遠の時へ、意識を沈み込め、無意識の底へ至り。
けして融けざる氷に封じ込められて。
この身に繋がる神経の何もかも。
この知能の納まった意識を何もかも。
もう目覚めなくても良いように。
この身に共にある君が、こんなものに守れなくてもよく。
ただただ幸せに、平穏に暮らして、生きていく。
それを見届けてから、気付かれないようにひっそりと。
君を託せる人間がいれば、すぐに叶う願いなのだが。
どうにも、この意識を眠らせてはくれないものだ。
いい加減、この負担も軽くしてほしいのだが。
他人のことなど、気を使う余裕はないと。
そんな人間ばかりではないが。
どうにも、男女の仲は儘ならない。
この現世に残した唯一の未練ばかりが何時までも残り、こんな亡霊を繋ぎ止めている。
残念なことだ。
世の中は、生きている者が切り開くもので。
消えた奴がどうこう言うべきではないのに。
粉雪の 静けき夜に 眠りたし 久遠に沈む 融けざる氷




